風俗業の何を知っているのか

「一流」のメディアや「ちゃんとした」人が取り上げることはないような話を取り上げるところに、こうしたメディアの存在意義が存在することを、今回のことが教えてくれています。

沖縄の風俗嬢が「橋下発言」に怒り心頭
2013.05.30 雑学

 橋下市長の「米軍に対する風俗活用」発言は橋下市長の発言撤回という形で事態は収束に向かおうとしている。だがしかし、怒りが収まらないのは地元沖縄、それもこの発言の“当事者”である風俗嬢たちである。

「橋下さんは沖縄の風俗を知らないんですよ。あたしたちにも“米兵拒否権”だってあるんですよ。だから、アメリカ兵の人に風俗行けって言ったって、あたしたちが拒否したらダメなんですよ!」

 と話すのは、ソープ嬢のAさん。彼女によると、沖縄の風俗では、入店時に米兵OKか拒否かを店側から確認されるというのだ。

「ソープもデリヘルも、アメリカ兵はOKか?ってお店に確認されます。OKのコの中には、アメリカ兵しか相手にしないコもいました」

 米兵は定期的に検査を受けているので、病気の心配がないという理由で米兵専門嬢がいるというのだ。なるほど、もっともな理由である。

 では、NGにしている嬢たちの理由はどこにあるのか。何人かの風俗嬢、そして風俗関係者から聞いた話をまとめてみた。

・プレイが乱暴
・言葉が通じない
・デリヘルなどの非本番風俗での本番の強要
・体臭がきつい
・料金以外のプレイを強要する
・チンコがでかすぎる
などなど

 風俗嬢、風俗関係者共に米兵の評判はすこぶるよろしくないという。

「最近は外出禁止令が徹底されてるみたいだから、米兵はまったく来ません。もともと、規則で風俗に行っちゃダメだったみたいだけど、前はよく来てましたね。あたしは基本的にNGなんですが、以前は何度かついたことがあります。でも、もう、嫌ですね。日本人ってことで下に見てるし、おまけに風俗嬢だからものすごく下に見てる。頭持って強引にナメさせたり、アナル挿れさせろとか、注文が多いだけならいいけど、ビッチとか平気で言うのは腹が立ちますよ。『ファッキン ビッチくらいこっちもわかってんだよ!』って言ってやりたかったです」(A子さん)

 また、那覇市内でデリヘル嬢をしていたB子さんにも話を聞いた。

「あたしがいたのはデリヘルなので本番はNGなんですが、向こうの人(米兵)って本番がないって理解できないみたいなんですよ。だから、いきなり挿れようとしたりするし、できないってわかるとものすごくキレたりすることがあるんです。おっきい男の人が、通じない言葉でものすごく叫んだりするから、すごく怖かった」

 特に酔った米兵は手に負えないという。中には暴力を振るわれたケースも多々あり、沖縄の風俗界にとってアメリカ兵の存在は、目の上のたんこぶとでもいったところか。だが、こうしたたんこぶを逆手に取る輩も中にはいるというから抜け目がない。地元紙の記者に話を聞いた。

「元々、アメリカ兵の風俗店への出入りは米軍からの通達によって禁止されていました。しかし、あまり守られていなかったのも事実です。風俗店への出入りがなくなったのも、けっこう最近のことです。数年前から人気なのが、米兵専門のデリバリー業者です。そういった業者の中には特別なルートで基地内に自由に出入りし、女のコを基地内の居住地に連れていくこともあると聞きます。ここ最近の外出自粛のおかげで、けっこうな人気になっているとも聞きます」

 捨てる神あれば、拾う神ありとでも言うべきか。こうした米兵専門の風俗業者の大半は無許可業者であるとも記者は言う。


ちょんの間が壊滅した栄町。昼ともなればゴーストタウンのような静けさ

「そもそも、4年ほど前までの沖縄はちょんの間と呼ばれる裏風俗が真栄原、吉原などにあり、風俗の聖地とすら言われていました。風俗の業者も数も多かったのに、性犯罪の件数はさして変わりません。そう考えると、橋下さんの発言は“適当”としか思えませんね。また、橋下さんの発言以降、なぜか女性団体の抗議も活発化しており、沖縄の人からすれば『そんな抗議は大阪市役所でやれ』ですよ。無用な混乱をこれ以上沖縄に持ち込んでほしくないですよ」

 では、ソープ嬢のA子さんに再登場していただこう。A子さんは橋下発言についてどのように思ったのだろうか。

「そりゃあたしたちはお金を貰う代わりにHするのが仕事だけど、いくら仕事だからといっても、やっぱり裸でそういうことしたら、感情もわくじゃないですか。だから、すごく感じのイイ人だったらたくさんサービスしちゃうぞ!みたいな(笑)。だから、橋下さんみたいにただの“処理係”みたいな言い方は嫌だなぁ〜。なんか、女としてみられてないっていうか、人として見られてないみたいで嫌な気持ちになりましたね」

 橋下市長が謝るべきは、米国や米国市民ではなく、まずは沖縄の風俗嬢ではなかろうか。風俗嬢だって女性であり人間だ。飲み屋の与太話ではなく、公式の立場で「玉が重くなったらレイプする前に風俗に行けばいい」なんて言うのは、いかがなものか。飛田の料理組合の顧問弁護士をしていたなら、彼女たちの置かれた立場もわかるはずでは……いや、待て、料理組合側の顧問弁護士だったのなら、嬢たちの気持ちなどわかるはずもないか。 <取材・文/風俗(かぜ)を読む取材班 沖縄特別隊>

http://nikkan-spa.jp/447615

上の記事の最後の一文を読んで、「これはクリップしておこう」という気になったのですが、実際、その現場で当事者であったとしても、見えていないことやわかっていないことがある、ってことです。

こうして書いてみると、ごくごく当たり前のことでしたね。

風俗嬢、その後。

風俗嬢、その後。

橋下徹「米軍はフーゾクに行け」発言 現役デリヘル嬢が「風俗で性犯罪は減らない」と大反発
2013年05月15日.

橋下徹大阪市長(43)が、従軍慰安婦問題に関し「戦争当時は必要だった」などと発言したことが物議を醸している。橋本氏は在日米軍に対しても「もっと風俗業を活用してほしい」などと提言したことも告白。この発言を石原慎太郎氏(80)が「軍と売春はつきもの」などと擁護したことで、さらなる批判を招いている。

橋下氏は自身のTwitterでさらに、「慰安婦制度が認められるかと言えば、現代社会で認められるはずはない。僕が論点にしたのは、世界が日本だけ特殊な制度を持っていたと批判していることだ」とも発言。米海兵隊に風俗利用を勧めた件に関しても「法律上認められている日本の風俗は買春ではない」「風俗業を否定することは自由意思でその業を選んだ女性に対する差別だ」「沖縄の米兵が繰り返す、性犯罪について、どうすれば良いのか。僕か現実を見据え、法律上認められる風俗業を活用したらどうだと進言した」と説明した。

これを受けて、ネット上でも議論が活発化。一部では「在日米軍の性犯罪を食い止めるために風俗を利用させる」という発言に対する反発も高まっている。

性風俗がレイプを阻止している。と当然のように言うのも、いい加減にしてほしい。あたかも”一般の女”を守るために性風俗があるんだ、って正当化しているみたいで聞き苦しい」とツイートしたのは、セクシャリティーやジェンダーに関する著作が多い北原みのり氏(42)。治安を守るためには、男の性欲を解消する役割を一部の女性が担うのが当然といった橋下氏の態度を批判している。

また、デリヘルに勤務する現役風俗嬢の女性は、「わたしたちの仕事は性犯罪の代用品じゃありません」と発言。「わたしはデリヘルやそれに類する性風俗では性犯罪の代わりを果たせないと考えております」「『活用』されても暴力は減らないと思います。性犯罪をしたい人は、店で提供されるような性的サービスを受けたいわけではないからです」などと発言した。

性犯罪には暴力や支配欲が密接に関わっている。彼女はそれと風俗を結びつけられては困ると主張している。さらに、犯罪抑止効果という名目を押しつけた挙げ句に「だから風俗嬢は立派」などと言われるのは「日々まっとうな人たちの犠牲となってくれてありがとう」と言われるのと同じだと、不快感を表明している。

風俗に性犯罪の抑止効果があるのかについては、客観的なデータが存在せず、肯定・否定のいずれも推測の域を出ない。しかし、それにしても橋本氏はなぜこのタイミングで、このような過激な発言をするに至ったのか。

「夏の参院選を控え、センセーショナルな発言で注目を浴びてきた橋下氏は、『日本維新の会』の支持を盛り返すため、さらに思い切った発言をしたのでしょう。しかし、今回はあまりにも乱暴な発言で配慮に欠けていた。これでは女性票が逃げるのは当然で、従来の支持層からもソッポを向かれる可能性もある。党内からも選挙への影響を懸念し、橋下氏の責任を問う声が上がっています」(週刊誌記者)

一部では参院選の切り札として出馬も噂されていた橋下市長。だが、今回の問題発言によって自身の出馬どころか党の崩壊すら招きかねない窮地に陥ってしまったようだ。(佐藤勇馬)

http://exdroid.jp/d/56672/

風俗界まさかの“橋下黙れ”
2013年05月16日 11時00分

従軍慰安婦は必要」と“ホンネ”論を展開したことで、日本維新の会橋下徹共同代表(43)が火ダルマだ。さらに、沖縄に駐留する米軍司令官には「もっと風俗業を活用してほしい」と提案したことで建前上、大バッシングを浴びている。こんな橋下氏に風俗業界からは「業界のことを知らない。そっとしておいてほしい」と、まさかの“黙れ!コール”が出ている。

 橋下氏は13日、記者団に対し、沖縄・米普天間飛行場を視察した際に司令官に対して「もっと風俗業を活用してほしい」と進言したと明かした。司令官は凍りつき「行くなと通達を出しているし、これ以上この話はやめよう」と話題を打ち切ったという。太平洋戦争当時に「慰安婦制度は必要なのは誰だって分かる」との発言だけでは飽き足らず?米軍へ風俗行きの押し売りをした形だ。

 これに対してさらに批判が殺到。菅義偉官房長官(64)は「私はくみしない」。下村博文文科相(58)は「その辺のおじさんではないのだから、もう少し立場を認識した方がいい」。社民党福島瑞穂党首(57)もここぞとばかり「すべての女性に対する冒トクであり、人権侵害だ」と息巻いている。

 提案された米国防総省まで「問題の解決方法として(風俗利用を)検討するのはばかげている」とコメントしている。

 橋下氏は14日になってもツイッターを連投。「法律で認められた風俗業を否定することは、それこそ、自由意思でその職業を選んだ女性に対する差別だと思う」「批判者は、風俗業=売春業=性行為と短絡的に考えているね。日本人は賢いから、性行為にいたる前のところで、知恵をこらしたサービスの提供を法律の範囲でやっているよ。そして今の日本の現状からすれば、貧困からそこで働かざるを得ないという女性はほぼ皆無。皆自由意思だ。だから積極活用すれば良い」などなど。

 確かにヘルスやピンサロなどの合法風俗と非合法の売春とをごっちゃにして、批判されている面はある。風俗業界の反応はどうか。風俗情報誌「俺の旅」の生駒明編集長は「橋下氏の言わんとすることは分かりますが、業界からすると触れないでほしい」と話す。

「公の場で風俗のことは言ってほしくない。そっとしておいてほしい。目立つと摘発されるのが、この業界の常識です。一方、摘発を指示した政治家の株は上がる。そうなれば働いている人たちがダメージを受けてしまいます」(生駒氏)

 橋下氏の風俗に対する認識にも間違いがあるという。「貧困で働く風俗嬢が皆無なんてことはない。お金に困っている女性が消極的選択で働いているケースもある。現代の格差社会において、風俗は働き場のない女性のセーフティーネットなんですよ。橋下氏は風俗について知らないのでしょう」(同)

 発言の余波は広がるばかり。維新松野頼久国会議員団幹事長(52)は「誤解される発言は好ましくない」と火消しに躍起。参院選選挙協力する予定のみんなの党渡辺喜美代表(61)は「コメントに値しない」と話すも、周辺には「なんでそんなばかなこと言ったんだ」「(遊説などで)並んで立ったりしない」と困惑。永田町では「閣僚なら首レベルの発言」「1週間はこの話題だ」とささやかれている。

 橋下氏はどこに落としどころを持っていこうというのか。

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/143204/