ピーチアビエーションと成田空港

先日のエアアジアジャパンの資本提携解消のニュースとほぼ同時に出たこのニュース。ANA系のLCC両者の明暗が出たニュースとも言えますし、関西空港と成田空港との差が出たニュースとも言えます。

正直、首都圏在住の人が成田空港‐関西空港経由で関西圏に行くメリットが(その逆パターンも含めて)あるとは思えません。ですが、関西圏の人が成田空港の国際線に乗り継ぐために使うといった用途はあるでしょうし、首都圏から関西空港経由でピーチ(主に沖縄・韓国・香港・台湾便でしょう)やその他の国際線を利用するというニーズも見込めるようです。

そう考えてみると、関空を拠点とするピーチにとって成田はあくまで就航先の一つであって、そこを新たな拠点にする意味はあまりないということが見えてきます。関西圏から成田空港まで行って乗り継ぐ価値のあるLCC路線の設定って、国内便はもとより、国際便でもあまり考えられませんからね…。

ということはつまり、エアアジアジャパンとの単純な合併は、ピーチにとってメリットがあるようには思えない、という結論になるわけです。

2013年06月11日20時46分
LCC・ピーチ、関空―成田就航へ 10月、1日2往復


ピーチが就航している路線

 関西空港を拠点とする格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは11日、成田―関空線を就航させると発表した。10月27日から朝と夜の1日2往復運航する。ピーチが首都圏に進出するのは初めて。国内最大の市場に進出し、新たな顧客の取り込みを図る。

 東京都内で会見した井上慎一社長は「就航率の高さと価格の安さを強みに、大きなマーケットに新しい選択肢を提供したい」と語った。親類宅を訪問するなど頻繁に利用する価格に敏感な客や、関空を経由して九州やアジアへ向かう乗り継ぎ客の掘り起こしを狙う。約75%の搭乗率を見込む。

 運賃は未定としたが、井上社長は「一般に普通運賃で4万円以上する関空―石垣便を6190円から提供している。そこから推測してほしい」と手頃感をアピール。深夜バスも競合相手とみて、低価格に設定したいという。

 ピーチは現在、関空から札幌(新千歳)、福岡、長崎、鹿児島、那覇の国内線6路線、ソウル(仁川)、香港、台北(桃園)の国際線3路線を運航。14日には関空―新石垣線、9月には関空―韓国・釜山線と沖縄(那覇)―新石垣線を開設する予定だ。

 LCCを巡っては、ANAホールディングス(全日本空輸)が傘下のエアアジア・ジャパンを完全子会社化しててこ入れする方針を固めた。成田―関空線では、ピーチは、すでに運航するジェットスター・ジャパンと競うことになる。拠点のすみ分けもあって急成長してきたLCCも本格的な競争の時代を迎えそうだ。

http://digital.asahi.com/articles/OSK201306110053.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201306110053

ピーチ、成田乗り入れ発表 関西―首都圏手軽に
2013/6/12 12:00

 関西国際空港を拠点とする格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは11日、成田国際空港に乗り入れると発表した。人口が多い首都圏の利用客を取り込み、関西から首都圏へ手軽に使える足を提供する。路線が重複するLCCや深夜バスなど、交通機関による競争は今後激しくなりそうだ。ピーチは成田参入で首都圏に足掛かりを得るが、今後も関空を拠点とする方針に変わりがないことを強調した。

 就航日は10月27日で、1日2往復(4便)運航する。朝の便は関空を午前7時10分に出発し、成田空港に8時35分に到着。夜の便は午後8時55分成田発で、関空には10時25分に着く。70〜75%程度の搭乗率を見込んでいる。運賃は大手航空会社の半額以下とする。

 関空を拠点とするピーチが成田空港に参入するのは、首都圏在住の乗客が増えているためだ。都内で記者会見した井上慎一・最高経営責任者(CEO)は「深夜バスで関空に着いてから、早朝発の関空―沖縄線に乗り込む人をよく見掛けるようになった」と話す。

 首都圏でもピーチの認知度が上がり、最近では国内線に占める首都圏の乗客が1割弱まで高まっているという。成田参入で人口規模が大きい首都圏の需要を一気に取り込み、さらなる成長につなげたい考えだ。

 関西の利用者にとっても、ピーチの成田便就航で利便性が高まりそうだ。成田空港は関空が手薄な欧米路線が充実しており、関空成田線を乗り継ぎ便として使える。井上CEOは「日帰りで東京ディズニーランドにも遊びに行きやすくなる」と強調する。

 今後、交通機関同士の戦いが激しくなるのは必至だ。すでに同路線ではLCCのジェットスター・ジャパンが1日4往復を運航している。低運賃を武器に若い利用客を引き付ける深夜バスも大きな影響を受けそうだ。ピーチが就航した鹿児島など複数の地域では、深夜バスが減便や撤退に追い込まれている。

 ピーチが首都圏の空港に乗り入れるのは初めてで、今回の成田参入は巨大市場に足場を築く意味合いもある。成田空港を拠点化して路線増へ動くようなことがあれば、ピーチと二人三脚で利用客を増やしてきた新関西国際空港会社の経営に影響が及ぶ。

 11日の記者会見で成田拠点化の考えがあるか問われると、井上CEOは「24時間空港でなければ拠点化できない。関空抜きの路線も考えていない」と強調。今後も関空で路線網を充実し乗客増に取り組む考えを示した。

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO56099820S3A610C1LDA000/