黒田さんと韓国と日本と保守と革新

昨日の中央日報殉国七士廟の記事も含め、8月15日前後の韓国の「大胆不敵」な動向をウォッチしたうえで書かれたと思われる黒田さんのコラム。「日本が嫌いならもっと日本を無視していいはずなのに」と言いつつも、ご自身は決して韓国を無視せず、ウォッチし続ける。そのあたりが、黒田さんの立ち位置の面白いところです。

ボクが韓国離れできないわけ

ボクが韓国離れできないわけ

【から(韓)くに便り】韓国併合はまだ続いている? ソウル駐在特別記者・黒田勝弘
2013.8.18 03:13

 韓国人にはどこか大胆不敵なところがある。歌の文句ではないが、「思い込んだら命がけ」のような、信じるところへまっしぐらみたいなところがある。

 先年、東京のJR駅で線路に落ちた人を救おうと、飛び降りて犠牲になった韓国人留学生の勇気は、日本社会を感動させたが、そうした“義侠(ぎきょう)心”ともつながりがあるかもしれない。

 そのほかイラクやイエメンなどイスラム圏に出かけ、街で堂々と賛美歌を歌うなどキリスト教の布教活動をして問題になった韓国のキリスト教徒も、実に大胆不敵である。

 そのうえでの話だが、毎年、「竹島の日」に島根県に出かけ「独島(ドクト)(竹島のこと)は韓国のものだ!」と叫んで反日デモをする韓国人もそうだ。

 逆に日本人が韓国に出かけて「竹島は日本のものだ!」とやろうものなら半殺しの目に遭うだろう。いや、そもそもまず入国させてもらえない。

 8月15日に靖国神社にやってきて、安倍政権糾弾など反日パフォーマンスをやろうとした韓国の国会議員(野党)も同じだ。靖国神社は彼らが敵対してやまない日本の右翼の“聖域”ではないか。

 多くの日本国民にとって戦没者慰霊の“聖地”である。そんなところに外国人が出かけて反日デモをしようというのだから、常識では考えられない発想だ。

 韓国国内向けに愛国者ぶりを誇示したい、政治家によくある見え見えの反日パフォーマンスではあるが、ある種の“甘え”だろうか。日本を外国と思っていないような行動には驚く。さすがに韓国マスコミにも批判が出ていた。「まるで日本の植民地時代が続いていて韓国人が独立運動をやっているようだ」と皮肉っていた(16日付「ハンギョレ新聞」東京特派員)。

 韓国併合という過去の日本統治の後遺症だろうか、それともすぐ近くにいるせいか、韓国人はなかなか“日本離れ”してくれない。解放記念日がある8月など、マスコミで見る限り連日、日本、日本、日本なのだ。8月のみならず、とくに安倍政権スタート以来、マスコミは「極右軍国主義政権」などと日本の話であふれている。

 一方で安倍政権に反対する動きも大歓迎で逐一、伝えられるから、まるで日本にいるかのようだ。知識人たちにいわせると「過去の歴史を教訓に日本への警戒が強いからだ。被害者の心情を忘れてもらっては困る」というが、いまだ韓国併合が続いているような日本への過剰な(?)関心に、自己嫌悪感はないのだろうか。

 今から30年も前の夏、最初の教科書事件で反日運動が高潮した際、韓国では「反日から克日へ」が叫ばれた。「克日」とは「日本を克服する」つまり「日本に勝つ」という意味だが、これに対し当時の知識人は「解放後数十年過ぎたが、われわれの意識を引き締めるのにまだ日本という刺激が必要なのだろうか?」と痛切に自問していたことを記憶する(1982年8月19日付「朝鮮日報」識者座談会)。

 日本が嫌いならもっと日本を無視していいはずなのに。韓国人の対日感情の不思議なところだ。(ソウル駐在特別記者)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130818/kor13081803130000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130818/kor13081803130000-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130818/kor13081803130000-n3.htm

黒田さんが言及している「ハンギョレ」の記事はこれでしょうか。この政治家さんたち、8月15日の靖国神社がどういう状況なのかを真面目にリサーチしたとは思ませんし、「見え見えの韓国国内向けパフォーマンス」という見立てには、私も同意します。しかしまあ、「大胆不敵」というか、「理はこちらにあるのだから、それも許されるべきだ」という構えで突っ込んでいってるわけで、その点で確かに相手方への「甘え」であり、ある意味「無謀」でもあります。

政治ごっこをやるのは本人の勝手ですけど、そのとばっちりを周囲にまき散らして恥じない振る舞いのツケは、いずれ巡り巡って戻ってくると思いますよ、私は。

[現場から] (韓国)民主党 靖国訪問試図と日本右翼の微笑
登録 : 2013.08.15 20:59 修正 : 2013.08.15 23:49


(c)ニューシス (韓国)民主党イ・ジョンゴル議員など民主党議員3人が光復節である15日、安倍政権の右傾化の歩みと軍国主義復活の動きに対し、日本東京の靖国神社に入り、糾弾声明を発表しようとしたが日本の極右団体との衝突を憂慮した日本警察の制止で靖国進入は失敗した。 (写真=イ・ジョンゴル議員室動画提供)

 イ・ジョンゴル議員など民主党議員3人とイ・ヨンドク最高委員が8月14日、日本東京に来た。 15日に靖国神社前で、過去事に対する安倍晋三日本総理の真心充ちた謝罪を促す声明を発表するということだった。 日本言論が大きな関心を見せたことはもちろんだ。 15日午前8時、靖国神社前には100人余りの取材陣が集まった。

 日本政府は議員たちの入国は許容したものの、彼らが靖国神社に行くことは最後まで阻んだ。 理解できる。 右翼団体会員たちはこの日、早朝から彼らを探すのに血眼になっていた。 そのまま放置すればおそらく険悪な事態が起きただろうし、不必要な外交問題に発展しただろう。

 イ・ジョンゴル議員は靖国神社へ向かう路上で警察に阻まれるや、プラカードを掲げてその場で演説した。そうするうちに日本警察に強制的に車に乗せられた。 どこに持っていたのか、イ議員が太極旗を取り出した。 それを広げる間もなく車のドアは閉じられた。 カメラに収められたその場面を写真で見て、やはり独立活動家の子孫は違うという気がした。 彼は抗日運動家 李会栄(イ・フェヨン)先生の孫だ。 ところで今、韓国が依然として日本の植民地だからイ議員が独立運動する方式で日本に対抗するべきだろうか、という疑問はなかなか拭えない。

 韓国人が見るには、靖国神社は専ら第2次世界大戦のA級戦犯が合祀されたところだ。 しかし8月15日に靖国神社を訪れる10万人を越える日本人たちにとって靖国はただ国立墓地のようなところだ。 政治家たちにはこの日が終戦記念日だが、普通の人には亡くなった先祖の祭事を行う‘お盆休暇’の最後の日だ。 静かで敬けんな気持ちで過ごしたい日だ。 進歩的なメディアで仕事をするある日本人記者は「韓国議員の行動を見て好ましく思う日本人はただの一人もいないだろう」と言い切った。 ‘議員の抗議外交’も外交だが、相手の状況を把握しようとする努力はなかったようだ。

 日本では昨年12月の総選挙で自民党の勝利に最も大きな寄与をした外国人として李明博前大統領を挙げる人が多い。 李前大統領が慰安婦問題を解決しない日本政府を懲らしめるとして独島(トクト)を電撃的に訪問したことが、反韓感情に火をつけて日本の保守勢力に大きな政治的利益を抱かせたということだ。 キム・ハンギル民主党代表も数日前、独島に行った。 李大統領は国内支持率も上がったが、キム代表や民主党の支持率が上がったかは疑問だ。 この頃は反日ならば何でも許されるような雰囲気だ。 しかし、日本の右傾化を警戒すると言いながら、かえって日本の保守・右派勢力に力を与える結果を産むことならば、賢い行動とは言えないだろう。

東京/チョン・ナムグ特派員

韓国語原文入力:2013/08/15 20:24
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/599758.html 訳J.S(1250字)

http://japan.hani.co.kr/arti/international/15395.html

「それも相手が日本だから」というのであれば、まだ対処のしようもあるのですが、もしかしたら「相手側への関心自体がなくなってきている」ということの表れであるとしたら、事はなかなか厄介です。

その点からして、韓国内の「保革の対立鮮明に」という流れはやや気がかりです。お互いの政治的な立場への想像や配慮や寛容といったことが、顧みられなくなってきているような気がしないでもありません。

日本の政治にとっても他人ごとではないのは、言うまでもないですね。

記事入力 : 2013/08/16 11:16
光復節:ソウルで集会・デモ相次ぐ、保革の対立鮮明に

 第68回光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)を迎えた15日、ソウルの中心部で保守派、革新派の市民団体による集会やデモが相次ぎ開催された。一部の参加者が違法に道路を占拠したり、ゲリラデモを行ったりして警察と衝突する一幕もあった。警察は散水車を使ってデモ隊を強制的に解散させ、301人の参加者を連行した。

 午前8時40分ごろ、韓国大学生連合など複数の革新系団体からなるデモ隊126人は地下鉄光化門駅近くの世宗文化会館前の道路を占拠し「(大統領選挙に介入したとされる)国家情報院を解体しろ」「朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は責任を取れ」などと叫び、全員警察に連行された。参加者らは、光復節記念式典のため世宗文化会館を訪れる朴大統領に国家情報院の大統領選介入を糾弾する意思を伝えるため、デモを行ったとされる。

 午前11時ごろ、ソウル駅前広場では6・15共同宣言(2000年の南北共同宣言)実践委員会の韓国側委員会が「8・15平和統一大会」を開催。全国民主労働組合総連盟(民主労総)や市民団体、野党関係者ら約5000人(主催側推計。警察推計は3500人)からなるデモ隊は、大会終了後に普信閣方面に向かって街頭を行進した。一部の参加者が道路をふさいだため、警察は散水車を使って強制的に解散させ、175人を連行した。集会の現場で散水車が使われたのは朴槿恵政権で初めて。このデモの影響で、鍾路や世宗路、乙支路入口付近は一時的に交通がまひした。

 一方、保守系団体もあちこちで集会を開催した。海兵隊戦友会のメンバー約500人(警察推計)は午後2時ごろ、地下鉄汝矣島駅付近で「北方限界線(NLL)死守決議大会」を開き「海兵隊が命懸けで守ったNLLを放棄しようとする勢力と全面的に戦う」と表明した。

 また、大韓民国枯葉剤戦友会は午後3時ごろ、光化門駅付近で「国政の混乱をあおる反国家・従北(北朝鮮に追従する)勢力摘発に向けた決議大会」を開催。「デモで国家情報院を無力化しようとしている反国家勢力に強く立ち向かうべきだ」などと主張した。

 枯葉剤戦友会のパク・ヒチャン後援会長は「従北勢力が国家情報院という大組織の小さな過失をあげつらい、国を揺さぶろうとしている。国民をあおり政権を混乱させ、政治運営を困難にする勢力を暴き出すべきだ」と訴えた。この集会には主催側推計で約7000人、警察推計で2800人が参加した。

チェ・ヨンジン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/16/2013081601148.html