何がゆるいんでしょう。とんでもなく厳しいですよそれ。
そんな若者が若者でなくなった時、年金も社会保障も当てにできない境遇の中高年を大量発生させたいのでしょうか?「最後は生活保護に寄り掛かればいいや」とでも思っているのでしょうか?*1
申し訳ないけどそれ、人生も社会も舐めた態度ではありませんか?
もちろん、生き残る人は生き残るでしょう。でも逆に言えば、ほとんどの人が途中で死んじゃいますよ。そんな過酷な弱肉強食の未来が見える選択にそのネーミング、若者相手の悪意ある詐欺と言ってもいいような気がします。
私の立場から言えるのは、「こんなしょうもない連中に騙されるな」ってことです。こんなのを持ちあげる人間がいるとしたら、そいつも信用なりません。
ゆるい就職:若者が正社員で働くのは「負け」 慶大助教が提案
2014年09月24日
「週休4日には何をするか」「週3日で仕事の効率を上げるには」。ワークショップで討論する参加者=東京都中野区で2014年9月18日、長谷川直亮撮影◇「人生、仕事のためじゃない」…使い捨ての懸念も
慶応大特任助教、若新雄純(わかしんゆうじゅん)さんが提案する「ゆるい就職」が話題だ。若者に「週休4日で15万円」の仕事を紹介する人材派遣サービスという。若者の正社員志向や安定志向が高まっていると言われる今、「ゆるい就職」が若者を引きつけるのはなぜなのか。【小国綾子】
「今どき、若い世代が正社員で働くのって『負け』だと思うんです」。正社員で長時間労働に苦しむシステムエンジニアの男性(23)が発言すると、会場に集まった約60人の若者から賛意のどよめきが起こった。
次々に発言が出る。「週休2日じゃ自分の好きなことなど何もできない。それで退職しました」「残業続きで生きるために働くのか、働くために生きるのか分からない」「会社説明会に行っても金もうけ以外に働く目標が見えない。意味があるのか」「起業をしたい。週5日、会社に合わせて働く気はない」。そのたび若者たちは深くうなずく。
これ、「ゆるい就職」に関心を持つ若者たちが18日、東京都内で「週4日の休みをどう使うか」などを話し合ったワークショップの一場面だ。「ゆるい就職」は人材紹介会社「ビースタイル」(本社・東京都新宿区)の事業。週休4日、つまり週3日働いて月収15万円の仕事を紹介するという。派遣など非正規雇用。15万円は額面。手取りでは12万〜13万円か。週3日勤務は社会保険の適用外だ。
企画した若新さんは「週5日勤務を『人生すべてを仕事に支配される働き方』『仕事のために人生があるわけじゃない』と感じる若者が増えています。大多数は違和感を抑え、安定にしがみつくが、そこから一歩を踏み出そうとする若者がここに集まった」と説明する。
「ゆるい就職」のうたい文句は「週5日勤務の『あたりまえ』がバカらしい」。ウェブサイトには「正規雇用など安定した就職を希望している方は間違っても応募しないでください」の注意書きも。それでも9月上旬の説明会には、定員の4倍、360人が応募した。
実際に説明会に足を運んだ約150人の内訳は、既卒が7割、現役学生が3割。男女比は7対3。学歴は比較的高く、いわゆる「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)以上」が35%を超えた。若新さんによると「3分の1が芝居や音楽などの趣味や芸能活動を続けたい人、3分の1が起業やプロジェクトをはじめる準備時間がほしい人、残り3分の1が『今後やりたいことを模索したい人』」。共通点は、勤務地や労働時間、職務に制限のない「正社員」という働き方への疑問だ。
時代背景もあるのだろう。今や15〜24歳の労働者の非正規雇用の割合は46・7%、25〜34歳では28・2%。正社員と非正規労働者との二極化を緩和するため、職務・勤務地・労働時間を限定した「限定正社員」などの制度を採用する企業も増えてきた。
一部で「ゆとり世代の新しい働き方」などと好意的に取り上げられる中、「『週休4日で15万円』は別に新しくない。どんなに言葉で飾っても内実はアルバイトやパートタイム労働と同じ。使い捨てられかねない」と指摘するのは、ブラック企業対策プロジェクトのメンバーでNPO法人POSSE事務局長、川村遼平さん。「かつての『フリーター』、最近の『ノマド』など、サラリーマン的働き方へのアンチテーゼはどの時代も若者を魅了する。しかし働き方の多様化を実現するには、非正規でも安定した暮らしができる社会制度が前提です。『ゆるい就職』では年齢が上がると、収入や社会保険などの面で生活に行き詰まり、ダブルジョブ、トリプルジョブを強いられる危険もあるのではないか」
東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長の宮原淳二さんは「主婦や高齢者、セカンドキャリアを考え始める55歳くらいの人にはこの選択肢は面白い」と評価しつつ「新卒などこれからキャリアを積む20代には、雑多な仕事をこなし実力をつける『雑巾掛け』が重要だ。それをはしょると30、40代の仕事に響く。また『週休4日』の仕事は転職時の職歴として評価されない可能性が高い。『週休4日』を短絡的に捉えず、自身のキャリアを見据えた選択が必要だろう」と助言する。
ビースタイルの「ゆるい就職」プロジェクトリーダー、宇佐美啓さん(30)は「若者全員にこの働き方を押しつけるわけではない。選択肢を増やしたいだけ。安定を得る代わり単身赴任も長時間労働も受け入れ、家族を養うのが当然だった50、60代男性と今の若者とは見える光景が違う。ワーク・ライフ・バランスを大事にし、仕事以外にも充実感を得たいのが僕ら、そしてより若い世代」と説明する。
採用に関心を寄せる企業はIT業界を中心に広告、印刷業界など約20社。社員約100人を抱えるIT企業「イノベーション」の富田直人社長は「景気が良くなり、中途採用で良い人材が採れない。チャレンジ精神のある優秀な人材が採れるなら、週休4日でも構わない」。しかし、ほしい人材は「新卒者と同等レベル、つまり一流大卒で高校で生徒会長をやるくらいリーダーシップがあり、コミュニケーション能力が高く、人当たりも良く、企業文化になじめる人」。結構ハードルは高い。
ブラック企業に疲れ、リハビリ的に週3日勤務を求めるような層は「ターゲットとは違う。来てほしいのはあえて社会からはみ出す賢い若者」と若新さん。ウェブサイトに「安定を希望する人は応募しないで」「対象者は未来志向の健全な若者」と書いたのも「何かにすがりたい人が申し込みにくい雰囲気を作る」ため。企業とのマッチングは10月末開始予定。「最大目標は50人だが30人に仕事が決まれば成功」と予測する。
2時間を超える白熱したワークショップの間、ほとんど誰も「安定」の2文字を口にしなかった。
起業志望の会社員男性(25)は笑って言う。「安定を求める人はこんなところに来ません。僕は元公務員。消防士時代は安定もやりがいもありました。でも満足できなかった。そもそも正社員なら安定って今信じられますか?」
会社の言うままに長時間労働し、単身赴任するしかない正社員の「安定」にしがみつくか、逆に、安定を手放し非正規で働くか−−二者択一しかないように見えるこの社会に、彼らは風穴を開けうるのだろうか。
http://mainichi.jp/feature/news/20140924mog00m040009000c.html