【大田の風景】大田追慕公園の自然葬地・その2

こちらの続きです。

【大田の風景】大田追慕公園の自然葬地・その1

ここのように、韓国の典型的な自然葬の葬法を一か所にかつコンパクトに集めて見せてくれるところは、他ではあまり見たことがありません。前にも書きましたが、これをモデルケースとして、周囲の土葬墓地整理事業はおそらくここを拡張する形で進められようとしているのではないでしょうか。この場所自体、たぶんもともとは周辺と同じ土葬墓域だったと思われますし。

さて、下から順番に見ていきましょうか。

まずは、花草葬です。要するに、花壇のようなものを作って、そこに遺灰を埋める形式です。



様々な種類の植物が植えられ、石板が見える通り既に埋葬された方もいます。

ただこれ、手入れして綺麗な状態を維持するのってけっこう大変ではないですか?かなり手間がかかりそうで、維持管理が疎かになった時に荒れ果てる可能性を考えてしまいます。

何年か後にここがどうなっているか、もう一度見てみる必要がありそうです。

続いて、その上にある芝生葬地。見ての通り、広い芝地を作り、そこに遺灰を埋めていきます。現時点では、通路などを特に設けず、サッカーのピッチのような芝生に、石板がずらっと並ぶ形になっています。見た目の維持管理という面では、花草葬よりは楽そうです。




入口の説明版にも書かれていますが、葬法を問わず、ここの遺灰の埋葬の仕方は容器等を介さない直掘り・直埋めです。遺灰にした上での直埋めですから、墓地としての個別性は確保されていますが、これ以上の移葬はできません。「安葬の最終形態」と言ってもいいでしょう。墓地使用期間終了後は「完全に自然に還ったもの」としたうえで、用地を「リセットする」ことも想定されていると思います。


さらにその上、自然葬地の最上部にあるのが樹木葬地です。これより上は地続きで旧来の土葬墓が点在するエリアになっています。


で、下の記事を書いた時には失念していたのですが、この樹木葬地の入り口に「九峰塚」と書かれた石碑があります。1999年に大田市長名義で建立されています。

【大田の風景】大田追慕公園に移されてきたお墓の数々


さて、樹木葬のほうですが、ここでも花草葬と同様、いくつかの種類の樹木が植えられ、実験的なモデルケースとしての試行錯誤が見られます。



現在、根元を取り巻く形での埋葬が進んでいるのは、いちばん奥の高木のエリアです。見る限り、家族や縁者で固まるというわけではなく、来た順番に埋葬していっているようです。


で、そのエリアの端っこに、先の記事で見た都市開発で掘り起こされた遺骨を埋葬していることを示す石碑と、他で言う「幽宅の丘」に相当するであろう「散骨場」があります。これは、墓域を作らない死者の遺骨が納められるところです。


だいたいこんなところです。全体として、よく整備されてきれいに維持されています*1。が、納骨堂の埋まり方と比べて見てみると、そのペースは速いとは言えません。利用者がいないわけではないものの、大田追慕公園の利用者全体としては今のところ、なお少数派と言わざるを得ないでしょう。事業としての気合いに見合ったニーズがあるとは言い難い状況です。

まあ、開場してまだ4年ちょっとですから、ここももう少し経過観察が必要ですね。

*1:維持管理費用もそれなりにかかっているはずです。