引き取り手のない遺骨の一時保存先:千葉県市原市のケース

んー。どこが批判されるべきなのか、イマイチよくわからないのですが…。

引継ぎがされなかった点、長期間放置されていた遺骨があった点は、確かに問題かもしれません。が、少なくとも散逸したりどれがどれかわからなくなったりしてたわけではなく、ちゃんと市の管理下に保管されてはいたわけです。市役所の庁舎内に保管してても、例えば斎場の建物の一室に保管してても、たいして違いはないと思うのですが、後者であればこんな言われ方はしてなかったのではないでしょうか。

「ロッカーに保管」と言ってもなあ。韓国の例なら色々見てきましたけど、無縁遺骨の保管場所なんて、大体そんなもんですよ。

例えば水原蓮花場だとこんな感じです。

blue-black-osaka.hatenablog.com

千葉・市原市 ロッカーに遺骨57体 生活保護受給者ら
毎日新聞 2018年10月31日 09時43分(最終更新 10月31日 11時09分)

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遺骨が保管されていたロッカーと同型のロッカー=千葉県市原市役所で、加藤昌平撮影

 千葉県市原市生活保護受給者や身元が分からない人の遺骨57体を庁舎内のロッカーに保管していたことが同市への取材で判明した。保管が3年以上に及んだ遺骨もあり、同市は厚生労働省に「不適切だった」と報告。識者は「死者を冒とくする行為だ」と指摘している。【加藤昌平】

 独り身で遺体の引き取り手がない生活保護受給者や身元不明者の遺体は生活保護法や墓地埋葬法などに基づき市区町村が火葬から埋葬まで行うことになっている。同市は斎場で火葬後、引き取り先を探す間、遺骨を庁内の一室のロッカーで保管。この部屋には就労支援員4人が常駐し、生活保護や就労支援の相談に応じ、ロッカーは入り口付近にあった。3カ月ごとに合葬墓に移すことになっていたが、2017年4月に担当者が代わった際に引き継ぎがなされず、庁舎内に保管されたままになっていたという。

 毎日新聞が入手した遺骨の一覧表によると、54体は16~17年に火葬され、00、11、14年に火葬された遺骨も各1体あった。市によると、00、11年の2体は火葬後に遺族が保管していたが埋葬されないまま遺族が死亡したため17年までに市が引き取った。14年の遺骨は遺族に引き取りを要請したが、引き取られないまま保管された。

 市民から指摘を受けた市は17年9~10月、57体を合葬墓に移し、同11月からマニュアルを作って、火葬業者が遺骨を合葬墓に届ける仕組みに変えた。

 生活保護法には、火葬から納骨までにかかる費用を市区町村と国が負担する「葬祭扶助」の規定がある。一方、保管期間や保管場所などの規定はない。厚労省保護課によると、同市から今年6月、「外部の人が出入りするところで保管していたのは不適切だった」と報告があった。同市生活福祉課の担当者は取材に「(遺骨を)長く保管してしまったことや保管場所などが多少行き届いていなかった」と釈明している。

 生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤広喜弁護士は「必要最低限の生活を保障する生活保護法の趣旨に照らせば、死後の扱いをないがしろにされて良いわけではなく適切ではない」と話している。

https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00e/040/181000c

少なくともこのケース、「死者を冒とく」とか「死後の扱いをないがしろ」とかいった表現を軽々しく使うのはちょっと控えたほうがええんとちゃうの?と思いました。

何といいますかねえ、これの〈改善策〉が「保管遺骨は合葬墓へ直行&火葬遺骨は葬祭業者を通じて斎場から合葬墓へ直行」ということみたいなんですけど、それで遺骨の扱いの丁重度が増したと言えるんですか?よくわからんです。

ちなみに、市原市の場合、「納骨堂」は遺骨の一時保管(1年単位)のための施設、「合葬墓」は個別の遺骨を納骨壇で20年安置したのちにいわゆる「合葬」をして永代供養するための施設、という分け方になっているようです。「合葬墓」の納骨壇は有料で抽選にもなってるみたいですから、上に出てくる遺骨はたぶん、その段階をすっ飛ばして合葬・埋蔵されるんでしょう。

ま、良し悪しは別にして、行政的には「業務が合理化された」と言えるでしょう。

不幸があったとき 市原市

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