【仁川の風景】仁川家族公園の公園化は止まらない・その10:「幽宅の丘」とその周辺
続きです。ようやく終わりが見えてきた気がします。
外国人墓域の工事現場を過ぎた先にあるのが昇華院。葬礼式場と火葬場、また遺族待機室や食堂・売店などが入っています。が、今回は省略します。
さて、どちらから行きましょうかね。
とりあえず、黄色い方に向かいます。この辺にも再開発の波が押し寄せていますね。
少し行き過ぎて昇華院の方向を振り返ると、こんな感じです。手前にある墓石群については、また後日改めて。
今回取り上げるのは、「幽宅の丘(유택동산)」です。
ここには、個別に納骨堂に納めたり、個別の墓地を造ったりしない個人の遺骨を納めるわけですが、上の写真に見える案内文を見てもわかる通り、この「幽宅の丘」に遺骨を納めることを、韓国では「散骨」と称しています。他人の遺骨と一緒に1ヶ所に納めるわけで、決して撒き散らすわけではないのですが、「個別性を失う」というニュアンスがこの言葉には込められているのかもしれません。
壇上中央の壺状の投入口を開けて、遺骨を納めます。納めた遺骨は、そのままにされるのではなく、この築山の下で集められ、横からまとめて運び出せるようになっています。
そうして集められた遺骨は、近くの合葬墓に改めて納められることになります。
幽宅の丘のすぐ隣にあるこの「無縁故合同墓」は、少し年代的に古いものです*1。その後は、その向こうに見える合葬墓のほうに、幽宅の丘の遺骨を埋葬していたようです。いくら合葬とは言え、遺骨は日々納められるわけですから、こうした合葬墓の需要も増えこそすれ、減ることはないでしょう。
*1:かつては、こうした場所に合葬される者はほぼ無縁者であったでしょう。近年は、有縁の遺族がいたとしても幽宅の丘に合葬される者も少なくないと思われます。