秋季高校野球、長崎・大崎が九州大会初制覇

いくら清峰のDNAを受け継いでいるとは言え、群雄割拠の長崎を勝ち抜いて、九州大会まで制するというのは並大抵のことではないですよ。人口5,000人の島の全校生徒百人余りの高校、21世紀枠で選出されても不思議ではない条件のもと、延岡学園・明豊・福岡大大濠を破って勝ち上がったわけですから、文句なしの九州王者です。

人口5000人の島、全校生徒114人の大崎が初の九州王者に 高校野球秋季大会
毎日新聞2020年11月6日 19時44分(最終更新 11月6日 21時59分)

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福岡大大濠-大崎】四回裏大崎2死二塁、山口が勝ち越しの右前適時打を放つ=長崎県営野球場で2020年11月6日、矢頭智剛撮影

 長崎県の西の海に浮かぶ人口約5000人の大島に大崎はある。全校生徒114人の小さな高校が初の九州王者に輝いた。マウンド付近で歓喜の輪を作った後、ベンチ前に戻るとスタンドに深々と礼。清水央彦(あきひこ)監督は「周りの応援なしにはあり得ないチーム」と感謝の言葉を連ねた。

 大会ではエース右腕の坂本安司(2年)が目立った。準々決勝は延岡学園(宮崎)に2失点完投、準決勝も強打の明豊(大分)相手に延長十二回を2失点で投げ抜いた。

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福岡大大濠-大崎】一回裏大崎2死一、二塁、松本の中前適時打で二塁から乙内翔が生還し同点=長崎県営野球場で2020年11月6日、矢頭智剛撮影

 だが、決してワンマンチームではない。投げてはエースに代わって1年生左腕・勝本晴彦が福岡大大濠打線を1点に抑えて完投した。攻撃陣も「ショートスイング」と呼ぶバットを短く持ったコンパクトな振りを徹底。速球をはじき返し、変化球にも対応した。四回には、9番の山口剛大(1年)が勝ち越しの右前打を放つと、五回以降も攻撃の手を緩めず、11安打5得点。4番の調(しらべ)祐李(2年)は「優勝できてうれしい。応援していただいた地域の方に恩返しができた」と喜んだ。

 転機は清水監督の2018年春の着任。06年センバツ準優勝の長崎・清峰でコーチなどを務め、佐世保実を12、13年の夏の甲子園出場に導いた指導者が来たことで、廃部寸前の野球部に選手が集まるようになった。島のある長崎県西海市の支援もあって急成長。19年秋季九州大会に58年ぶりに出場すると、今夏の長崎独自大会で優勝。新チームも県大会を制した。

 「まだまだ練習の質も量も足りない。これまで以上に鍛える」と清水監督。快挙を成し遂げたが慢心なく冬に向かう。【吉見裕都】

https://mainichi.jp/koshien/articles/20201106/k00/00m/050/263000c

島の野球部、九州初制覇 長崎・大崎 休部危機乗り越え 地域に支えられ強豪撃破
毎日新聞2020年11月6日 21時51分(最終更新 11月6日 23時04分)

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福岡大大濠-大崎】高校野球の秋季九州大会で優勝し、喜ぶ大崎の選手たち=長崎県営野球場で2020年11月6日、矢頭智剛撮影

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 小さな島の高校球児が大きな勝利をつかみ取った。長崎県西海市の離島、大島(人口約5000人)にある県立大崎高の野球部が、第147回九州地区高校野球大会で、並み居る強豪校を押しのけて初優勝を飾った。6日に長崎市の県営野球場であった決勝で、福岡大大濠に5―1で快勝すると、選手やスタンドの保護者らは喜びを爆発させた。

 大崎高は1952年に開校した島内唯一の高校で、生徒数114人の小さな学校だ。学校を挙げて応援する野球部の現部員は1、2年生の29人。西海市佐世保市など、県内の広くから選手が集まっており、西海市崎戸町の寮で共同生活を送る。既に引退した3年生18人も、たびたびグラウンドを訪れて後輩の指導にあたる。島民や、島にある造船会社「大島造船所」の社員らから人気があり、練習を見に来る住民も多い。

 今大会では、エースの坂本安司投手(2年)を中心に良いリズムで守り、打線は勝負強さを発揮した。初戦で開新(熊本)に、準々決勝で延岡学園(宮崎)にそれぞれ逆転勝ち。準決勝では、昨秋の九州大会で優勝した明豊(大分)を相手に一進一退の攻防を展開し、延長十二回のサヨナラ打で劇的な勝利を収めた。準決勝まで全試合完投した坂本投手に代わり、決勝は勝本晴彦投手(1年)が登板。初回に先制の本塁打を浴びたが二回以降は零封した。

 かつては部員が足らず、他校と連合チームを組んで大会に出場していた。休部寸前の状態だった部を変えたのは、2018年4月に着任した清水央彦(あきひこ)監督(49)だ。06年春の甲子園で準優勝した長崎県佐々町清峰でコーチを務め、12、13年には監督として佐世保実を夏の甲子園に導いた。一時は指導から離れたが、指導手腕を買われて再びユニホームを着ることになった。

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大崎高校がある大島=長崎県西海市で2015年12月17日、須賀川理撮影

 決勝のスタンドでは保護者らが優勝に沸いた。秋山章一郎主将(2年)の母留里香さん(45)は「(優勝できたのは)地域の応援のおかげ。うまい下手より、地域から応援される選手であってほしい」と話した。同県五島市出身の勝本投手の母亜希子さん(45)は「大崎に行きたいと言うので入学させたが、こんなに短い期間で大きな結果を出してくれてうれしい」と息子の成長に感無量の様子だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、県外の学校との練習試合も満足にできないまま秋を迎えた今大会。明豊などの強豪と戦えたことで「全国のレベルを体感し、自分たちに足りないものを見つめ直せたのではないか」と秋吉健太部長(24)。決勝で福岡大大濠の最終打者を三振に仕留めて喜びを爆発させていた勝本投手も「もっと速く、強く、キレのある投球を身に付けて(エースの)坂本先輩を超えられるような投手になって甲子園のマウンドに立ちたい」と誓った。

 学校では、生徒や教師らが視聴覚室で決勝のインターネット中継を見守った。優勝を決めた瞬間は涙を流して喜んだ生徒もいたといい、本田美緒子教頭は「野球部の活躍は、他の部活動の生徒にとってもエネルギーになっている」と話す。

 「地域からいっぱい応援してもらっているのに、恩返ししないのは“詐欺”みたいなもの」と決勝前に語っていた清水監督。九州で頂点に立ったが、まだ恩返しは「3割ぐらいしかできていない」と話し「甲子園優勝だけでなく、地域全体の活性化など成し遂げなければならないことはたくさんある」と先を見据えた。【中山敦貴】

https://mainichi.jp/koshien/articles/20201106/k00/00m/050/340000c

いろいろ違いはあるんでしょうけど、個人的には三重の白山高校のことを思い出しました。どんな環境からでも甲子園は目指せる。高校野球ならではのロマンですねえ。

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