負けから学ぶための必要条件

勝負の世界において、「負けから学ぶことは多い」なんてことは常識の範囲だと思われる。
ただ、負けから学ぶためには、最低限必要なことが一つある。
礼儀正しくあること。
これである。
潔く負けた事実を認め、勝者を称え、その姿を目に焼き付ける。
それらのことができない者に、負けから学ぶことなど到底覚束ない。

例えば、勝者の歓喜の儀式に割り込んでみたり、試合終了後の握手をすっぽかして帰ったり、試合が終わった後も延々と審判にクレームをつけて当り散らしたり、果てには味方同士で責任をなすり合いをして乱闘騒ぎを起こしたり、そんな連中が負けから何かを学ぶことなどあり得ないだろう*1

いささか僭越ではあるが、私に言わせれば、今季のレッズ転落の転機は「ワニナレナニワ」への乱入に象徴される〈敗者としての無作法〉であった。5月17日の埼玉スタジアム2002で起きたことの意味するところは、いまだきちんと総括されていないように思う。

だから、浦和レッズが今後、新監督によって立て直しを図るとして、個人的にいちばん注目しているのは、「規律の徹底・礼儀作法の浸透がどこまで図られるか」である。もし仮に新監督が、全選手に挨拶を徹底させることから手をつけるようであれば、来季のレッズは各チームにとって脅威の的になるだろう。

*1:「臥薪嘗胆」とか「捲土重来」とかいった故事成語は、いまや死語と化しているのだろうか…。