鯉の泳ぐ街でガンバに出会う。

ガンバ大阪サポーターの末席を汚す者として、

「ガンバ寿司」の文字を見過ごす手はありません。




ほうじゅう - 島鉄本社前 - ふぐ[食べログ]

もしよろしければ、期間限定でもいいので、「安かろう悪かろう」ではない意欲的なコストダウンと、サポーター目線に立った設計とで注目を集めている、吹田スタジアムの新スタグルメに…。

この半島出身の選手、ガンバ大阪にもいなくはなかったのですが、このガンバが万博に登場したことは、今までなかったんとちゃいますかね?

ガンバ - 島原市観光情報

単価「新国立の2割」 設計のカギは屋根にあり
吹田スタジアムに学ぶコストダウン(上)
2016/2/9 6:30 日経アーキテクチュア

 Jリーグガンバ大阪」の新しいホームスタジアムとなる「吹田スタジアム」(大阪府吹田市)は、建設費140億円の全額が寄付金と助成金で賄われる。コストダウンが大前提となるなか、屋根に複数の役割を持たせるなどの工夫により、観戦しやすさとの両立を図った。1席当たりの工事単価は、見直し後の新国立競技場の2割以下だ。


図1 スタジアム内観。屋根の最高高さを抑えることでスタジアム内の日射範囲を拡大。さらにスタンドの1階部分を約80cm持ち上げて四方から内部への風通しを良くすることで、芝生の良好な育成環境を整える。2015年10月10日の竣工記念イベントで撮影写真:生田将人)

 「吹田市吹田サッカースタジアム吹田スタジアム)」は、ガンバ大阪の新しいホームスタジアムだ(図1)。寄付金と助成金で大規模な公共施設を建設した日本初のプロジェクトとして、注目を集めている。2015年9月末に竣工した。

 建設費は約140億円。約4万人を収容可能、国際サッカー連盟FIFA)の基準を満たし、国際試合に対応できる(図2)。


図2 天井を張らずにコストダウン。コンコースには設備配管がむき出しとなっている。スタジアムの側面を包み込むような屋根の形状は、これを隠す役割もある(写真:生田将人)

 収容人数8万人で建設予算1550億円の新国立競技場(新整備計画)と比較すると、1席当たりの単価は2割以下の35万円と破格だ(新国立競技場は約194万円)。設計・施工はコンペで選ばれた竹中工務店が担当した。

 ガンバ大阪のホームスタジアムだった「大阪府営万博記念競技場」は、老朽化に加え、収容人数や屋根面積の不足といった問題を抱えていた。そこでガンバ大阪は2009年、寄付金で建設費の大部分を賄うという異例の事業スキームでサッカー専用スタジアムを建設すると発表。ガンバ大阪が中心となってスタジアム建設募金団体を設立し、プロジェクトがスタートした。

 各種の税制優遇を受けられるようにするため、完成したスタジアムを吹田市に寄贈する契約を2011年末に同市と交わした。ガンバ大阪最大の株主であるパナソニックをはじめとするスポンサー企業からの寄付に加え、サポーターら個人からも資金提供を募った。2014年末に募金は目標の140億円に達し、コンペ時の設計案ほぼそのままに、竣工を迎えた。

■「3Dトラス」で屋根を軽量化

 吹田スタジアムのデザインの特徴は、折り紙を思わせる直線的な屋根にある(図3)。屋根に曲線を用いず徹底的に合理化・軽量化したことが、スタジアムの計画全体のカギだ。


図3 吹田スタジアム外観。屋根には亜鉛合金めっき鋼板を使用した。仕上げ塗装は美観に影響を及ぼしやすい屋根の裏面など最小限に抑え、メンテナンスの負担を軽減した(写真:生田将人)

 国際試合に対応する条件を満たすため、屋根の設置は必須だった。しかし、スタジアムで一般的に採用される2方向トラス構造では平面の長方形と平行に梁を架けるので、スタンド内に柱を立てないようにするには、最大約200mのスパンを飛ばす必要があった。柱スパンが大きくなれば、使用する鉄骨量が増えコストも膨らむ。

 そこで新たに開発したのが、長辺方向、短辺方向、斜辺方向の3方向にトラス梁を架ける「3Dトラス構造」だ(図4、図5)。メーンの鉄骨梁を平面形に対して斜めに架ける。そうすることで、既成の鋼管を用いたシンプルな平行弦トラスでありながら、スパンは最大で約100mで済む。2方向トラス構造の約半分だ。



[上]図4 曲線を用いない屋根形状。トラス梁の最大スパンは約100m。従来の2方向トラス構造の場合の約半分で済む(資料:竹中工務店
[下]図5 合理的な3Dトラス構造の屋根。屋根免震と合わせて鉄骨量を約40%削減できた(資料:竹中工務店


図6 屋根材はほとんどが既製品。曲線を使わず、部材の寸法・形状を統一した。施工のしやすさだけでなく修繕のしやすさも考えてのこと(写真:生田将人)

 1つひとつの部材断面を小さく抑えられることで施工が容易になった。加えて、屋根の鉄骨重量が約30%軽量化され、下部の構造体への負担を減らすことにつながった。既成の鋼管を用いて寸法や形状を統一したことは、将来の修繕を容易にする狙いもある(図6)。

 竹中工務店大阪本店設計部設計第4部の大平滋彦部長は、スタジアムの設計をこう振り返る。「曲線の部材を使わない屋根形状は、ドイツをはじめとする欧州のスタジアムを視察することで得たアイデアだ。建設費や事業スキームが異例のプロジェクトだったので、既成概念をいったん外して設計に臨んだ」

■屋根免震で自由な平面計画

 軽い屋根の実現に大きく貢献した技術がもう1つある。屋根免震だ。屋根と観客席躯体(くたい)の縁を切り、免震装置を設置した(図7)。スタジアム4辺の外側各中央の柱に積層ゴムを2基ずつ、外周の各コーナー全8カ所に直動転がり支承を設置。計16基の免震装置で総重量3500トンの屋根を支える。


図7 各辺中央柱に2基ずつ設置した積層ゴム。このほか外周の各コーナー全8カ所に直動転がり支承を設置し、吹き上げ風の引き抜き力にも抵抗した(写真:生田将人)

 屋根そのものの揺れを抑えるだけでなく、直射日光を受ける鉄骨トラスの熱伸縮を吸収する狙いもある。仮に屋根免震にしなかった場合、熱伸縮のひずみによって屋根を支える柱には約600トンもの水平荷重がかかり、スタンド内に3×3mというメガ柱を設置しなくてはならなかった。免震装置によって平面計画の自由度も増したわけだ。

(日経アーキテクチュア 橋本かをり)
[日経アーキテクチュア2015年12月10日号の記事を再構成]

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96504460V20C16A1000000/

安さだけでない 「ガンバモデル」に建設オファー続々
吹田スタジアムに学ぶコストダウン(下)
2016/2/12 6:30 日経アーキテクチュア

 前回紹介した屋根の軽量化や免震技術のほかに、職人不足をいかに克服するかも大きな課題だった。基礎工事に要する職人は、建築面積から計算して通常は1日当たり300人以上。震災復興で職人不足が顕在化していた当時、とても手配できる人数ではなかった。

 そこで取り組んだのが、基礎のプレキャスト(PCa)化だ(図1)。杭頭に鉄筋を設けずに基礎と接合できる竹中工務店の既存の技術をもとに、フーチング(基礎底盤)をPCa化。底部を凹状にして杭との接合を簡易にした。


図1 設置精度の向上には廃材の平板ブロックを活用。現場に設置したフーチングと基礎梁(右)。PCa化したフーチングは設置精度を上げるため、平板ブロックを位置決めに活用した(左上)(写真:竹中工務店

 実現のカギとなったのは、PCa部材の設置方法だ。フーチングの位置と水平の精度を高めるため、廃材の平板ブロックを利用した。位置を決めて固定し、周囲を地盤改良土で埋め戻して墨出しした後、フーチングを据え付けた。フーチングの設置面全体に捨てコンクリートを打設する通常の手法に比べ、よりフラットに設置することが可能となった。

 フーチングと基礎梁のジョイント部分も工夫した。機械式の鉄筋継ぎ手を採用し、現場での溶接作業を不要にした。こうした施工上の工夫によって、在来工法に比べて鉄筋工は130人から15人に、型枠大工は100人から20人に、それぞれ大幅に人員を削減できた。

 竹中工務店大阪本店の中野達男総括作業所長はこう語る。「少人数だからこそ行き届いた施工ができた。ローコスト、短工期、高品質を実現した『ガンバモデル』は、後世に残るプロジェクトになったと思う。このスタジアムが完成したことで現在、全国からサッカースタジアム建設のオファーが集まってきている」

■「劇場のような」客席との近さ

 吹田スタジアムは全国にある4万〜5万人模スタジアムと面積を比較すると、突出してコンパクトな設計であることが分かる(図2)。


図2  スタジアムの空撮。屋根の形状は、肩を組む姿をイメージしたほか、襟元を合わせたような日本らしさも込めた(写真:竹中工務店

 最前列の席からピッチまでの距離は、長手方向で10m、短手方向で7m。国内のサッカースタジアムではここまでピッチと客席が近いものは無いという(図3)。建築面積だけでなく、高さの面でもコンパクトだ。

 敷地面積が9万m2(平方メートル)と狭く、4万人を収容するためにコンパクト化は必須だった。しかしこれがコストダウンにつながるとともに、日本に無かったスタジアムの形を生んだ。



[上]図3 施設規模の比較。収容人数が4万人程度の他のスタジアムに比べ、建築面積は20〜45%、延べ面積は22〜37%それぞれ小さい(資料:竹中工務店
[下]図4 屋根を低くすることで、日射範囲を拡大させ芝生の育成を促すほか、観客席への雨の吹きさらしも軽減した(資料:竹中工務店

 スタンドに立つと、観客席が4層に積層していることが分かる。スタジアムの見学に訪れた建築家の香山壽夫氏は、急勾配のスタンドがピッチを取り囲む様子を見て「劇場のようだ」と表現したという。

 最後列の席は床面から梁の下面までの距離が2.1mと、屋根の高さを限界まで低く抑えている(図4)。第一の理由は騒音対策だ。敷地の用途地域は第二種住居地域であるため、騒音などの規制は厳しかった。屋根を低く、後部スタンドを包み込む形状とすることで音の反響を低減した。この形状は、冬の寒さから観客を守る効果もある。

■サポーター目線で設計


図5 スタジアム募金特設ホームページ上では募金と建設工事の進捗を示す図を随時公開した。図は2014年12月31日時点での募金と建設工事の進捗状況。募金者であるサポーターに状況を分かりやすく伝えた(資料:スタジアム建設募金団体)

 「募金で建設」ということで注目を集めたこの施設だが、着工したのは募金が完了する前で、資金的には建設中も不安定だった。そのため、目標金額が集まらない場合も想定し、建設は優先順位を設定して進めた。大型液晶ビジョンやソーラーパネルなど、後付けできるものは募金の進捗状況を見て設置を決めた(図5)。

 140億円という限られた予算のなかで、無理をしても観戦のしやすさにこだわった箇所がある。その代表例が、センターゴール側1面の客席配置だ。応援に一体感が欲しいというガンバ大阪サポーターからの要望で、ピッチから客席が1つの面として見えるよう、ここだけ客席の積層を1層減らして3層にした。着工後に、竹中工務店が設計変更で対応した。

 芝生の育成環境にもこだわった。スタンド1階部分を約80cm持ち上げ、スタジアム外部四周から芝生へ風が通るようにした。風向きが変わることも考慮。四周すべてをピロティ(1階部分を柱だけの空間にし、2階以上を居住空間などにする建築方式)化したスタジアムは国内初だ。

 スタジアムでは2016年2月14日にこけら落としとなる試合を予定している。

(日経アーキテクチュア 橋本かをり)
[日経アーキテクチュア2015年12月10日号の記事を再構成]

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96504490V20C16A1000000/

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