全羅南道における総合国立大学である全南大学校。「5.18」は、その正門前における学生デモから始まった。市内各所にある「5.18民衆抗争史跡」の1番は、ここになる。
ちなみに、韓国映画「光州5.18」(原題「華麗なる休暇」)は、道庁前広場などは精巧なセットを作って撮影しているのだが、この全南大学校前の学生デモの場面だけは現地ロケを敢行している。
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※追記:その後、当時の写真が出てきました。
1980年5月18日…であると同時に、2006年7月30日でもある。
さて、正門を入って大きな道をまっすぐ進む前に、すぐ左手にある法科大学に向かう坂道を行くと、途中に石碑がある。
「朴寛賢烈士革命精神継承碑」とある。朴寛賢は光州事件当時、全南大学校法科大学の学生であり、尹祥源らとともに指導的役割を果たした人物である。
法大に向かわず、正門からまっすぐ伸びている道を素直に進めば、その突き当たりにあるロータリーの先にやや古びた建物が見える。その建物の中に、全南大学校の「5.18記念館」がある。記念館はこの建物の1階フロアの約半分を占めており、その他、民主人権平和センター・平生教育院*2などが入っている。
「5.18記念館」は、床面積的にはそれほどの広さではないが、展示物やパネルの密度が半端ではなく高いので、一つ一つ丁寧に目を通すとなると相当たいへんである。
ちなみに、全南大学校はこことは別に大学博物館も擁している。5.18記念館からは人工芝グラウンドや池を右手に見ながら後門に向けて歩くと建物が見えてくる。
全南大学校博物館はこの建物の2階にあるのだが、考古学・民俗学・古美術などをカバーしたなかなか立派なものである。
同じフロアの別室に学校史展示室もあって、そこにも5.18関連の展示はいちおうあるのだが、5.18記念館が別にあることもあってか、ごく慎ましやかなものにとどまっている。
大学全体の現在の印象としては「のんびりとしたごく普通の地方国立大学」といった雰囲気が濃厚である。だが、そのつもりになって記憶の痕跡を辿ってみれば、ここはやはり、ある時代の〈傷〉を深く刻み込んだ場所なのだと知れる。
やはり、「4.19の高麗大学校」と「5.18の全南大学校」には、韓国現代史の中で他の大学にはない象徴的な何かがある、ような気がする。