韓国の高校野球

日本との比較においてあまりに少ない参加校からも見て取れることなのだが、韓国では、「普通の高校生」がこういう部活に打ち込む、という図式がほとんど成り立たない。そこには、観客席以前の問題がいくつもある。部活だけの問題でもないし、「何が正常化か」というのもまた問題になるだろう。
とりあえず、「いっそ優勝校が韓国代表として甲子園大会に参加してみては?」などと言ってみたい気分になるニュースである。
(もちろん、こういう歴史は百も二百も承知の上でのたわ言です。冗談半分に聞き流してください。)
かつての佐賀北の優勝が『朝鮮日報』で大きく報じられて衝撃を与えたように、今春のセンバツ決勝戦のカード・清峰花巻東などは、韓国の視点からは好奇心をそそるのではないだろうか。

記事入力 : 2009/05/21 11:21:46
韓国高校野球の現実を物語る寂しい観客席

 第64回青龍旗高校野球大会では連日すばらしい試合が行われている。4点から5点の点差が一瞬にしてひっくり返され、優勝候補が1回戦で敗退するなどの意外性は、プロ野球とはまた違う高校野球だけの魅力だ。しかし若い選手たちの闘志やダイナミックな試合内容とは異なり、観客のいないスタンドが韓国の高校野球の現実を物語っている。

 1970年代に全盛期を迎えた高校野球は、プロ野球がスタートした82年以降人気が衰え始めたが、それでも最近まで何とか続いている。チーム数も徐々に減少し、現在全国にわずか53チームだ。

 2007年には高陽・注葉高校と城南西高校の野球部が廃部となり、昨年1月には51年の伝統を持つ春川高校も選手が確保できず、部を廃止した。

 高校野球のチーム数が4100にもなる日本と比較すると、韓国の状況はさらに悲惨に見えてくる。今年3月にワールド・ベースボール・クラシックWBC)が最高に盛り上がっていたときにも、日本の野球ファンは地上波放送で「春の甲子園」と呼ばれる選抜高校野球の生中継を見ることができた。「日本は韓国のような代表チームをいくつも作ることができる」と語ったWBC韓国代表金寅植キム・インシク)監督の言葉は、プロ野球のレベルを超えて野球全体のインフラが日本とは比べものにならない現実を指摘したものだ。

 野球関係者は、高校野球が以前とように人気を取り戻すには安定した財源を基に、チームと選手の双方を増やさなければならない、と口をそろえる。現在、韓国では高校野球チームの運営費のほとんどを父兄が負担している。

 あるプロ野球のスカウトは、「父兄の多くは自分の子供をプロ野球選手にしたいと思っているが、あまりにも金がかかるのでためらっている。学校からの財政面での支援はほとんどなく、父兄は自分の子供だけでなく、監督やコーチの面倒まで見なければならないからだ」と指摘した。

 OBS放送のク・ギョンベク解説委員は「ユース世代を中心に選手の底辺を広げることが急務だが、まずは勉強をせず運動だけにすべてを投入する風土を変えなければならない」と語る。

 高校野球が正常化するには、一部の大学が選手選抜の基準として「全国大会ベスト8以上」と定めた点や、現在九つもある全国大会を減らして試合の質を高めるべき、などといった意見も多い。大韓野球協会のイ・サンヒョン事務局長は、「高校の選手たちは数年後、プロ野球に進出する卵たちだ。アマチュアやプロに関係なく、野球界全体が高校野球の中興に力を注ぐべきだ」と語った。

チン・ジュンオン記者

http://www.chosunonline.com/news/20090521000043