『週刊東洋経済』2010年7/31号

本屋の雑誌コーナーでも目を惹いていた、この『週刊東洋経済』の表紙。

週刊 東洋経済 2010年 7/31号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2010年 7/31号 [雑誌]

やはり気になったので買って目を通してみましたが、非常によくできた特集です。「韓国の現在」を知り、その強みと弱みとを知るのには、たいへん参考になるものだと思います。

冒頭でインタビューに答えている朴世逸・ソウル大学校国際大学院教授は韓国保守派の知性を代表する存在といってもいいでしょうし、その他の筆者の選定も納得のいくところです。それ以外の無署名の記事も読み応えがあります。

旬の話題であるKARAや少女時代のマーケティングにも言及がありますし、企業経営・政治経済・教育生活などにも広く目配りされています。関心のある方にはお勧めの特集でした。


追記:
朴世逸さんと言えば、カチッとした本を次々に刊行しているという印象があるのですが、残念ながらそれらの著作は日本語に翻訳されてはいないようです。代わりに、下記の『中央日報』の記事でもクリップしておきます。

北朝鮮民主化より産業化を急ぐべき」(1)

「15年以内に先進国になれなければ永遠に後進国」。朴世逸(パク・セイル)韓半島先進化財団理事長(60)が2年前に出した『大韓民国先進化戦略』の表紙折り込み部分に書かれている言葉だ。 朴理事長が望んだ通り保守右派政権が執権したが、先進国入りの時限が2年短くなっただけだ。

朴理事長が慌しく動いている。 今年6月には『共同体自由主義』という本を出した。 米国に滞在中だが、年末に入って頻繁に帰国している。 今度は『大韓民国国家戦略』(21世紀ブックス)を出版した。 米国発金融危機の余波の中でだ。 「短ければ1年、長ければ2年以内にわれわれはこの難局を乗り越えて成長基調を回復できる」と、朴理事長は序文で強調した。 2年前の『先進化戦略』を整理し、最近の講演とフォーラムで朴理事長が述べてきた「国家戦略」を集大成した本だ。 共同体自由主義という理念的基調の下、政治・経済・教育・安保・統一観を網羅している。 ‘21世紀の警世家’朴理事長の「国家改造論」をまとめた。

北朝鮮民主化よりまずは産業化=朴理事長の「先進化革命」は、韓国の先進化完成と北朝鮮の近代化革命(産業化・民主化)が同時に達成されることをいう。 朴理事長は、北朝鮮の産業化プログラムが北朝鮮民主化より優先されるべきだと考えている。 北朝鮮の人権・民主化問題を主張している保守派と立場が異なる部分だ。

しかし北朝鮮が変化を拒否する場合は最後の段階で軍事デモも考慮すべきだという強硬な立場も見える。 朴理事長は「軍事デモなどある程度の緊張を覚悟してこそ、むしろ戦争を避けることができ、変化を誘導できる」と明らかにした。

2008.12.29 17:33:50

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109397&servcode=500§code=510

北朝鮮民主化より産業化を急ぐべき」(2)

◆「地方分権」ではなく「地方主権」時代へ=05年、行政都市特別法の通過に反対して国会議員職を放棄した朴理事長の主張は「首都圏集中論」とは違う。 高度な中央集権制を維持しながら地域に工場や政府機関の一部を分けるような「均衡発展」は、経済的な実効性がない政治的ポピュリズムにすぎないと指摘する。

朴理事長は「均衡発展ではなく発展均衡を目標にしなければならない。 地方が予算・権力まで持ち、世界に向かって独自の発展戦略で競争するとき、本当の意味で地域均衡を実現できる」と話す。 「地方分権」ではなく「地方主権」を強調しているのだ。 人口4800万人の韓国全体を4つの圏域に分け、人口500万−1500万人規模の‘強小国’をつくるということだ。

◆進歩の「共同体」、保守の「自由主義=進歩陣営の学者らも朴理事長の「共同体自由主義」が持つ談論的な重みを認めている。 自由主義という保守の価値を中心軸としながら「共同体」という進歩的あるいは東洋的価値が結合し、理念的な力は小さくないということだ。

朴理事長は▽合理的進歩は主体思想国家主義集団主義を捨てて「共同体主義」へ▽改革的保守は官僚独裁権威主義を捨てて「自由主義」へ進むのが先進化革命の基本哲学だと話す。 朴理事長は「新保守を基本原理に、新進歩を補強原理にすべき」と、保守の価値を優位に置いている。

2008.12.29 17:34:04

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109398&servcode=500§code=510