興南高校春夏連覇の現場へ

行きがけの阪神電車で「入場券は全席売り切れ」という電光掲示を見たので焦ったが、外野席に何とか席を確保。しかし、13時開始にもかかわらず、12時ごろには外野席ももはや空席が見当たらないほどの状態。試合開始のはるか前から、外野席も満員札止め恒例の「通路通り抜け」が始まっていた。

ただ、外野席の封鎖が遅れ、人手不足もあったようで、通路には立ち見の人があふれかえり、階段に座り込む人も山といて、どこもかしこも足の踏み場もないほど。とても売り子さんが回れるような状態ではない。仕方ないので、踏み場にいる人を踏みつけて押しのけて買い物に行く。


試合は序盤0−0で推移するものの、ギリギリで持ちこたえる東海大相模、じっくり流れを見極める興南、という構図であることは程なく明らかになる。4回、タイムリーヒットとエラーで2点を先取した後、2死からの集中打でこの回一気に7点。一時自粛が伝えられていた「ハイサイおじさん」が一塁側アルプスから流れ出した途端の大爆発。「たぶんこれからも「ハイサイおじさん」は永遠に流れ続けるだろう」と、満員の観衆は誰もが思ったはず。

その後もつながる打線の本領を遺憾なく発揮した興南高校は、史上6校目の春夏連覇で沖縄に初の深紅の大旗をもたらした。決して島袋投手頼みではないチームの総合力は、芸術的ですらあったと思う。

興南春夏連覇 深紅の大優勝旗、初めて沖縄に
2010年08月21日

 第92回全国高校野球選手権大会朝日新聞社・日本高校野球連盟主催、毎日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で21日、決勝があり、興南(沖縄)が13―1で東海大相模(神奈川)を下し、沖縄勢として初めて選手権大会を制すると同時に、史上6校目の春夏連覇を達成した。

 興南は4回、伊礼の中前適時打など7長短打を集中して一挙7点を先行。6回にも我如古の3点本塁打などで5点を加え、左腕・島袋が1失点で完投した。40年ぶり2度目の頂点を狙った東海大相模は、連投の右腕・一二三(ひふみ)が興南打線につかまった。

 選手権大会の決勝で、沖縄勢は72、73回大会(1990、91年)で沖縄水産が2年連続敗退。19年ぶり3度目の挑戦で、悲願の大旗をつかんだ。

 大会史に残る一戦は、早朝から大勢のファンが詰めかけ、予定より1時間25分早い午前8時35分に開門となった。入場者数は4万7千人。15日間の総入場者数は84万4千人で、大会通算は3年連続で80万人を超えた。

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 相手のすきを見逃さないたくましさと、早いカウントから打つ積極性。興南打線が持ち味を発揮し、史上6校目の春夏連覇を成し遂げた。

 4回、1死一塁から山川の中前安打で一塁走者が三塁を陥れ、山川も送球間を突いて二塁へ。続く伊礼が中前へ運び1点を先取した。さらに大城からの5連続長短打などで計7点を挙げた。

 この回に出た7安打は、すべて3球目までを打ったもの。失点した動揺からか、制球が甘くなった東海大相模の一二三をとらえ、一気に試合の主導権を握った。5、6回にも長短打を集めて加点し、大きく突き放した。

 東海大相模は1回1死一、二塁など序盤から好機をつくったが、変化球を主体に丁寧に投げた興南の島袋を崩しきれなかった。(渋谷正章)



http://www2.asahi.com/koshien/news/OSK201008210088.html


追記:「ハイサイおじさんの自粛と復活」の経緯は、こんな感じだったみたいです。「野暮なこと言いなさんな」と、個人的には思います。

まあ、上にも書いたように、この「問題」の答えは今日、ハッキリ出ましたけどね。

2010年8月21日
興南逆転劇 後押し 「ハイサイおじさん」復活

 甲子園球場兵庫県西宮市)で熱戦が展開されている全国高校野球選手権大会14日目の20日、興南(沖縄)と報徳学園(兵庫)の準決勝で、興南の応援団が演奏を自粛していた沖縄勢の定番応援ソング「ハイサイおじさん」が復活。“封印”を解かれたノリノリの旋律が逆転勝利を呼んで興南は決勝に進出し、県勢初の夏Vと史上6校目の春夏連覇に王手をかけた。

 ハイサイおじさんは約30年前に沖縄で誕生した歌謡曲。沖縄勢共通の応援ソングとして定着したが、「原曲の歌詞が高校野球の応援にそぐわない」との指摘を受け、今大会での演奏を自粛していた。

 しかし、興南が勝ち進むにつれ、「演奏してほしい」との要望が激増。興南や応援演奏を手がける兵庫県尼崎市市立尼崎高校に、全国から問い合わせが相次いだという。この反響を受けて急遽(きゅうきょ)、野球部OB会が“解禁”した。

 興南が5点を追う五回、連打でチャンスが訪れる。ここでブラスバンドを指揮する元尼崎高教諭の羽地靖隆さん(62)がぶっつけ本番で「ハイサイおじさん」の演奏を指示。おなじみの旋律で一体となった満員のアルプスが後押しし、興南はこの回に3点を返す。再び演奏された七回で逆転し、県勢19年ぶりの夏決勝進出を果たした。「ハイサイおじさん」の応援で打席に立ち、逆転打を放った4番の真栄平大輝一塁手は「気持ちが伝わってきた。やはり、ハイサイおじさんがいい」と笑顔をみせていた。


【写真説明】「ハイサイおじさん」のメロディーでスタンドが一体となる興南高校の応援団=兵庫県西宮市の甲子園球場(藤谷茂樹撮影)

(2010年8月21日 07:55)

http://www.sankei-kansai.com/2010/08/21/20100821-042712.php

帰ってきた「ハイサイおじさん」 自粛に演奏の要望殺到
スポ 2010年8月21日 09時23分

 甲子園で県勢の応援歌の定番として全国的に親しまれている「ハイサイおじさん」が20日、甲子園のスタンドに帰ってきた。応援が過熱しすぎて危険、飲酒を促すような歌詞が教育的に好ましくないなどの指摘があったため、興南応援団は1回戦で1度使ったきり、演奏を自粛していた。興南が快進撃を続ける中、多くの野球ファンから「寂しい」と復活を望む声が相次いだため演奏が実現した。(金城珠代)

 準決勝の五回裏。5点を先制された興南高校が得点のチャンスを迎えると、スタンドに聴き慣れた「ハイサイおじさん」のメロディーが響き、応援団の熱気をさらに盛り上げた。

 大阪県人会連合会青年部顧問の宮城秀治さん(61)は「この曲が流れるとやっぱり血が騒ぎ、応援にも力が入る。応援の盛り上がりが選手に伝わったと思う」と久々の演奏を喜ぶ。

 吹奏楽部を率いる羽地靖隆さん(62)は「聞きたいという声があちこちからあり、チャンスが来たら使おうと思っていた。楽譜もないが、みんな覚えていた」と伝統曲の歓迎ムードに笑顔をこぼした。

 夏の甲子園の出場を前に、興南高校野球部OB会は「ヒヤミカチ節」に標準語の歌詞をのせた新しい応援歌を作成。伝統となっていた「ハイサイおじさん」の演奏自粛を求める意見が同校関係者の耳に入ったため、その是非を議論しないまま使用を先送りしていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-08-21_9478/