大学の秋入学のお話

今回、これを最初に打ち出したのは東京大学でした。「日本経済新聞」が一面に取り上げたのが最初でしたっけか。

この話、3月入学が主流の韓国でも、気になるニュースだったようです。

記事入力 : 2012/01/25 10:10
日本の大学が秋入学を検討、春入学は韓国だけに?

東京大学など12大学で協議会
韓国でも法的には可能、入試体系の見直しと大学のグローバル化が必要

 東京大、京都大、慶応大、早稲田大など日本を代表する12の名門大学が、春入学から秋入学への変更を検討するなど、韓国と同様に春入学を実施してきた日本の大学で、秋入学制への移行を目指す動きが急速に進んでいる。まずはこれらの大学が協議会を設置することを決定した。読売新聞が24日、日本全国の国立大学を対象にアンケート調査を行った結果、計36校の大学が、秋入学の導入を検討していることが明らかになった。欧米など海外の有名大学と日本の大学との交流を活性化させる狙いがあるとみられる。

 一方、韓国では大学(学部課程)の大半が3月入学制を維持している。大学修学能力試験(修能、日本のセンター試験に相当)が毎年11月に行われており、この点数を基に大学入学が決まるため、秋入学をの導入には問題が伴うというのが主な理由だ。欧米だけでなく、中国や東南アジアの大学も大半が秋入学となっている。今回、日本が秋入学を導入すると、主要国の中で春学期制を実施するのは韓国だけとなる見込みだ。

 法的には韓国国内の大学も秋入学の導入は可能だ。2011年7月に改正・公布された「高等教育法」によると、大学は2、3、4学期制を選択できるだけでなく、秋入学・春入学を自由に選択できる。

 教育科学技術部(省に相当)のク・ジャムン大学先進化担当官は「国際的に通用しやすい秋入学を、大学の裁量により導入できるよう制度を整備した。しかし入試制度などが変わらない状況で、大学が秋入学を選択するのは容易ではないようだ」と話した。

 日本の場合も、秋入学を導入する最も大きな理由として、大学の国際化を挙げている。秋入学の導入に最も積極的な立場を取っている東京大学では、海外に留学している学生が学部生の0.4%、大学院生の2.1%にすぎない。日本全体で見ると、海外への留学生の人数は2004年の8万2945人から、最近は5万人台に減少した。

 5年後から春入学を秋入学に転換するという内容の中間報告書を最近発表した東京大学は「外国の大学の大部分が秋入学を実施しており、(現在は)外国に留学するにも、外国から留学に来るにも困難だ」という立場を明らかにした。各種の国際的大学評価で、東京大学の順位が30位にとどまっているのも、学期制が異なり外国の教授や学生の誘致が難しいためだという。東京大学の秋入学導入について、藤村修官房長官も最近「グローバルな人材育成の観点から、東京大学の動きは一つの突破口になるだろう」と歓迎している。

 しかし、日本の大学の秋入学導入には障害も多い。日本も韓国と同様、幼稚園、小・中・高校だけでなく、企業の採用も春入学・卒業に合わせている。東京大は、入学までの空白期間は新入生が勤労体験、国際交流、ボランティア活動などを行う機会にすることを計画している。

 日本が秋入学を本格的に導入する場合、韓国の大学も「大学のグローバル化」に後れを取らないためにも制度変更を考慮せざるを得ないという指摘が出ている。

 延世大行政学科のチャン・ヨンソク教授は「国際化の流れに合わせ、韓国も大学の秋入学を検討する必要がある。ただし修能一つで大学に入学する現行の入試制度を見直すという議論も、同時に進めるべきだ」と話した。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/25/2012012500873.html

しかし、これ、全部まとめて秋入学に移行する必要があるんですかね…。

単純に、春入学と秋入学の両方を実施すればいいだけの話ではないんですか?そのためのセメスター制だと思うんですけど。今どきの大学なら、春卒業も秋卒業も珍しくないですし、入学を年1回に固定すること自体がそもそも不合理でしょう。

入学機会を年2回、卒業機会も年2回ということが当たり前になれば、単純に浪人や留年も半年単位になりますし、3年半の飛び級とか、卒業延期しても4年半で済むとか、いろいろ融通が利く制度が構築できるでしょう。そうなれば、留学にも融通が利く(行く側にも来る側にも)はずです。

そう考えてみると、この話ってけっきょくはグローバル化がどうというよりも、入学試験というドメスティックな要因の問題な気がします。現行のアホみたいに煩雑な入試を年2回もやってられませんからね。

要するに、「入試業務の苦労を増やしたくないから、入学機会を1回にしたままで制度をいじる」という図式が、今回のお話の核心なのかもしれません。

とすれば、考えるべきは「入試制度の簡素化」によって「入学時点での学生の質保証」をある程度放棄し、代わりに「学位授与時点での教育の質保証」へといかに移行するか、という問題こそ、本来は論じられなければならないのだ、ということになるでしょう。

なんだか、いかにも欧米を引き合いに出す「出羽の守」が言いそうな結論になってしまいました。

いずれにせよ、秋入学を導入したからって、そのおかげで世界から優秀な留学生がやってくる、なんてことはあるはずもないでしょう。留学生が思うように来ない根本的な理由は、そんなところではないはずです。

メジャーリーグと日程がかぶっている日本プロ野球の事例や、秋春制の導入がたびたび論議されるJリーグの事例などを、日本の大学はもっとよく見たほうがいいと思います。日本人メジャーリーガーやサッカーの海外組などの姿は、グローバル化の波に晒される大学人とも無縁ではないはずですから。

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