昔ながらの商習慣、では済まない話

一つのお店が流行って成功すると、同じようなお店が周囲に集まってきて一種の専門街を形成する、というのは、韓国では昔からよくあるパターンなのですが。

新堂洞トッポッキ通り - ソウルナビ

東大門タッカンマリ通り - ソウルナビ

奨忠洞豚足通り/チャンチュンドンチョッパルコリ - ソウルナビ

新林洞スンデ通り - ソウルナビ


でも、近年になって急にできたモクチャコルモクには、「昔ながらの」では済まされない事情もあるようです。40代・50代の人たちが、その年になってからこうした自営業に参入してくる背景を考えれば、けっきょくは「IMF以後」というのがキーワードになってくるのでしょう。

この記事は、その部分には踏み込んでいませんけどね。

記事入力 : 2012/10/24 14:23
ソウル・新道林洞にフライドチキン店が集中するワケ

 古い工場やマンションが混在するソウル市九老区新道林洞は、約1万世帯の中間層が居住する一方、新道林駅を利用する人たちでごった返す町だ。面積が1.46平方キロにすぎないこの新道林洞に、ここ数年間、フライドチキン店が雨後のたけのこのように増え続け、現在は約30店舗が密集している。新道林中学校を中心とする徒歩5分の範囲内に約10店舗がある。「キョチョン・チキン」「BBQチキン」「ドゥルドゥル・チキン」「オーブンにはまったニワトリ」などの大手チェーン店から、見慣れない名前の小さな店までさまざまだ。

 この町にあるマンションに併設された商業施設で、10年にわたってフライドチキン店を営んでいる50代のAさんは「ここ5−6年の間に、1軒おきにフライドチキン店がオープンしたため、かつては月に500万−600万ウォン(約35万−42万円)の売り上げがあったが、今は人件費を工面するのもやっとだ。高度な技術を必要とせず、簡単に金を稼げると考えているのか、1軒の店がつぶれても、すぐにまた新しい店がオープンする」と語った。

 最近、韓国では自営業者の増加が続いているが、このような動きを主導しているのは、フライドチキン店を含む飲食店や不動産仲介業者、美容室、カラオケボックスなど、市民の生活と密接な関わりを持つ、どこにでもある自営業者だ。国税庁によると、2009年に創業した92万5000人の自営業者のうち、35%に当たる32万5000人が、このような生活密着型の業種だった。

 現代経済研究院の調査によると、韓国では09年末現在、飲食店の数は44万店舗に上り、114人に1人が飲食店を営んでいる計算だ。ソウル市麻浦区には約1100店舗のビアホールがある。また、全国単位で見ると、衣料品店は595人に1人、不動産仲介業者は650人に1人、美容室は746人に1人の割合となっている。

 このような過当競争は、収益性の低下につながっている。中小企業庁が10年、小規模な商工業者約1万人を対象に行った実態調査によると、回答者の73.4%が「月平均の純利益が減少した」と答えた一方「増加した」という人は6%にとどまった。また、その原因について「周辺の業者との競争が激化した」と回答した人(30.5%)は「消費者の購買パターンの変化(20.1%)」や「家賃など原価の上昇(15.5%)」などを挙げた人たちを抑えており、「競争激化」を純利益減少の最大の理由として挙げていることが分かった。

 現代経済研究院のキム・グァンソク研究員は「40−50代のベビーブーム世代が、相対的に創業しやすい飲食店など生活密着型の業種に就こうと、先を争っている状況だ。今後、各業種での生存競争はさらに激しくなる見通しだ」と語った。

チェ・ギュミン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/24/2012102401452.html

そういえば、この映画も、父親が失業してチキン屋を始めた一家のお話でした。クォンサンウではなくて、キムハヌルのほうです。

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追記:上記のような現象の結果として、このような事態も生じるわけです。見出しには「定年者」とありますが、日本的なイメージの「定年退職」とは程遠い早期退職者の例が並んでいる点がポイントです。

記事入力 : 2012/10/26 14:12
定年者が起業失敗、個人再生手続きの申請最多

 2008年に始まった金融危機で職を失った中産階級が、生活のための起業に失敗し、裁判所に個人再生手続きを申請するケースが増えている。個人再生手続きとは、借金のために正常な生活が送れなくなり、裁判所の決定に従い、負債を整理する手続きを指す。

 今年5月に裁判所に個人再生手続きを申請したHさん(52)は、4年前の08年には堅実経営の中小企業に勤めていた。ソウル市内にマンションを持っており、子供2人を育て上げた後には帰農を夢見ていた。

 Hさんの夢は08年の金融危機で泡と消えた。リストラで早期退職し「どうにかして暮らしていかなければ」と思い、マンションを担保に2億ウォン(約1390万円)を借り入れ、豚焼き肉店を起業したが、経営は赤字続きだった。Hさんは昨年、マンションを売り払い、借金を一部返済したが、カード会社と貯蓄銀行から追加で借り入れた約8000万ウォン(約550万円)を返済できなかった。さらに折り悪く、母親が認知症と診断され、治療費の負担がのしかかった。耐えられなくなったHさんは、裁判所に個人再生手続きを申請した。

 08年まで中小企業に勤めていたLさん(47)も、退職後に開店した豚足店が閉店に追い込まれ、約1億ウォン(約690万円)の借金を抱え、今年初めに個人再生手続きを申請した。Lさんが職場を追われたのは、それまで聞いたこともなかった為替デリバティブ商品が原因だった。勤務先の会社が為替差損で倒産の危機に追い込まれ、Lさんは退職せざるを得なかった。豚足店を経営し、借金を返済しようとしたが、思うようにはいかなかった。

 ソウル中央地裁によると、年初から6月までの個人再生手続きの申請件数は1万80件で、過去最高を記録した。申請件数は金融危機が始まった08年には5763件だったが、09年に8699件、10年に8908件、11年に1万3806件と年々増え続けている。

 個人再生手続きが金融危機から4年後の現在まで増え続けているのはなぜか。専門家は「中産階級の崩壊が本格化し、それが裁判所の統計に反映されているためだ」と説明する。中産階級金融危機が始まった当時には何とか耐え忍んでいたが、失業、そして起業失敗という連鎖爆弾でついには持ちこたえられなくなっている。個人再生手続きを扱う専門弁護士は「失業が最初の没落、起業失敗が2回目の没落で、まるで中産階級崩壊の公式を見ているようだ」と指摘した。

 個人再生手続きの申請急増は、所得がある人まで正常な経済活動から脱落する点が、社会的に見て問題だ。所得がなく、借金だけを抱えている人が行う個人破産の申請とは異なり、個人再生は所得があっても、正常に借金を返済できない人が行うものだ。個人再生手続きの申請が殺到し、ソウル中央地裁は担当職員数を昨年の約20人から最近30人へと増員した。また、書類を審査する再生委員も昨年の11人から今年は29人へと拡充した。

 韓国社会の中間が崩壊する減少は企業も同様だ。ソウル中央地裁によると、年初から6月までの企業再生手続きの申請件数は122件で、昨年通年(190件)の64%に達した。全国ではアジア通貨危機当時の最高(876件)を更新するとみられている。特に碧山建設、三煥企業、豊林産業など有名な中堅建設会社が相次いで法定管理(日本の会社更生法適用に相当)を申請した。さらに最近は中規模の病院経営会社が法定管理を申請する例も相次いでいる。

趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/26/2012102601519.html