大学を休学するということ

程度の差はあれ、日本でも見られることですけど、ここまで極端なのは現代韓国的な特徴と言えましょう。

こうした休学の原因を学生の怠慢に求めることができれば、為政者にとっては楽かも知れませんが、どう見てもこれは、社会的環境に学生が合理的に適応し、社会的要請に真面目に対応している結果として生じていることです。

これを問題視し、処方箋を考えるのであれば、既存の社会の仕組みに何らかのメスを入れることは避けられないでしょう。

新政権の懸案リストが、また少し長くなりそうですねえ。

記事入力 : 2013/01/07 14:04
韓国で大学休学者100万人、社会発展の妨げに

韓国の大学生、3人に1人は休学
就職・結婚・老後問題まで絡んで社会問題に

 慶尚南道にある国立大学の中国学科に在学中のキム・ミンウさん(25)=仮名=は、4年生になる直前の昨年2月、大学を休学した。その後は、毎日午前8時になると大学の図書館に行き、午後11時まで英語と一般常識を勉強している。食事や休憩の際には、図書館で勉強している同じ学科の同期5人と一緒に動く。その5人も、全員が休学中だ。同大学の中国学科では、4年生の定員50人のうち、半数近くの24人が休学している。キムさんは「すぐに卒業すると青年失業者になるので、休学して学生の身分を維持する方がいい。今時の大学生に、少なくとも2−3学期の休学は欠かせない」と語った。

 韓国で、大学生の休学者数が100万人に迫っていることが明らかになった。教育科学技術部(省に相当)傘下の韓国教育開発院(KEDI)が発表した「2012年教育基本統計」によると、2012年の休学者数(4月1日基準)は93万2703人に達した。これは、前年に生まれた新生児(47万1400人)の2倍に相当する数字だ。学生でも社会人でもない「休学者」という新たな階層が生まれているわけだ。

 同時に休学は、韓国社会で大学の文化の一つにもなった。休学者数は01年に初めて90万人を超え、11年までの12年間、一度も90万人を下回らなかった。また本紙の取材チームが昨年、韓国の四年制大学216校・8069学科の休学率を全数調査した結果、休学率30%以上の大学は95校(43.98%)に達した。また休学率30%以上の学科は3390学科(42.01%)で、そのうち1002学科では休学率が40%を超えた。休学者が半数以上に上る学科も、249学科に達した。本紙取材チームが最近インタビューを行った休学者100人のうち、90人は「スペック(大学の単位や語学の成績などを指す)を積んだり授業料を稼いだりするためには、休学が避けられない」と答えた。

 専門家らは「休学者100万人時代」に懸念を抱いている。韓国職業能力開発院の蔡昌均(チェ・チャンギュン)センター長は「学生が休学することにより、若者の労働市場参入が遅くなる。これは結局、結婚や出産の遅延、不十分な老後対策につながるなど、各種の社会問題として現れかねない」と語った。また高麗大学社会学科の李名鎮(イ・ミョンジン)教授は「大学生の3人に1人が休学しているという事実は、学生たちが社会に円滑に参入できず、韓国社会の成長を妨げるということになりかねないため、深刻に受け止めるべき」と語った。

ソク・ナムジュン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/07/2013010701518.html

記事入力 : 2013/01/07 14:06
アジア通貨危機後に増え始めた韓国の休学者

休学者100万人時代…休学が大学の「文化」に
青年雇用率が改善しても休学者は減らず

 韓国のではおよそ10年にわたり、大学の休学者数が100万人前後をキープしている。2001年に初めて休学者の数が90万人を突破した後、11年までの12年間、休学者数が90万人を下回った年はなかった。2000年代に入り「休学者90万人、休学率30%」は韓国社会の常識的な数字になったわけだ。

 休学者数の増加は、韓国社会の青年雇用率(15−29歳の雇用率)が低下し始めたアジア通貨危機のころに表面化した。96年に46.2%だった青年雇用率は、99年には40.9%まで低下し、同時に休学率は22.3%(96年)から31.3%(99年)へと大幅に上昇した。

 問題は、青年雇用率が回復した年も、休学率は下がらなかったという点だ。青年雇用率は、99年の40.9%から、2002年には45.1%に上がった。しかし休学率は31.3%から33.4%へと、むしろ上昇した。世界金融危機後の11年、核心就業年齢層(25−29歳)の雇用率は金融危機前よりも高い水準にまで回復したが、休学率は少しも良くならなかった。

 延世大学経済学科の具成烈(ク・ソンヨル)教授は「韓国社会で、休学のラチェット効果が見られる」と分析した。「ラチェット効果」とは、歯車(ラチェット)などでは歯が一定方向を向いているため逆回転しないように「入るのは簡単でも出るのは難しい」という状態を表現した言葉だ。ここでは、不況を機に始まった韓国の休学者数の増加は、景気が上向いても容易には変化しないという意味に使われている。

 慶尚南道のある国立大学を休学しているキムさん(24)は「2000年代初めに卒業した先輩たちから『景気は回復しているようだが、気にせず休学して、就職の準備をしっかりやれ』という話を数え切れないほど聞いた」と語った。

 具教授は「経済指標とは無関係に、休学率が10年間も30%台を保ってきたということは、それだけ『休学者100万人時代』の解決は容易でないということを意味している」と語った。

オム・ボユン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/07/2013010701527.html

記事入力 : 2013/01/07 14:10
「休学者が一つの階層と化している国は韓国だけ」

休学者100万人時代
韓国の四年制大学を全数調査、休学率50%以上は249学科

 ソウル市内にある私立大学のA学科で開講している「北朝鮮の対外関係史」の講義は、6人の学生しか出席していない。別の専攻で開講している「北朝鮮憲法と法体系」の講義も、受講者はわずか7人しかいない。どちらの講義も、55人が座れる大学本館講義室が割り当てられているが、座席は1割程度しか埋まっていなかった。

 講義室がこのように閑散としている理由は、人気がない講義だからではない。受講すべき学生自体がいないからだ。現在、A学科の学生は半数近くが休学している。前学期は104人のうち56人(53.8%)、今学期は112人のうち54人(48.2%)が休学している。

 休学率の上昇は、大学の文化を変えた。A学科の学生代表を務めるキムさん(26)は「学期初めのTきも、学科室を訪れる学生がおらず、毎年学園祭のときに開いていた飲み屋も、一昨年が最後になった」と語った。開講・閉講総会、MT(メンバーシップトレーニング=親睦を深める集い)、農村活動などの学科活動は、夢見ることもできないありさまだ。この学科のイ主任教授も「就職を控えて『スペック(大学の単位や語学の成績などを指す)積み上げ』真っ最中の2007年度入学者は、80%が休学している。最近は講義室ががらがらなので、大学の講義ではなく、まるで小グループの課外講義のような感じ」と語った。

 休学者数が多い状態は、ほかの大学でも同じだ。ソウルにある別の私立大学では、公共人材学部の在籍者639人のうち290人(45.4%)が休学している。学生会長のキムさん(24)は「公務員試験の準備、海外語学研修、大企業のインターンが必須のコースになっており、休学せずに卒業する学生の姿は消えた。兵役での休学と一般休学が集中する2年次や3年次の場合、特定年度の入学者がまとめて消えてしまうこともある」と語った。また、首都圏のB大学の機械工学科では、在籍している学生95人のうち79人が休学を申請し、休学率は83%に達した。

 本紙取材チームが、韓国国内の四年制大学216校・8069学科の休学率を全数調査した結果、休学率が30%を超える学科は計3390学科(42%)に達した。このうち、休学率が40%台の学科は753学科、休学率50%以上の学科も249学科あった。

 地方大学の状況はさらに深刻だ。慶尚南道のある国立大学の中国学科では、現在4年生の学生50人のうち24人が休学している。4年生のキムさん(25)は「ほかの大学に編入学したいという友人が多く、将来への不安から大学に対する愛着もない。周りの友人が休学したら、みんな引きずられてしまうようだ」と語った。

 休学率が高いため、学生が正常な大学生活送れなくなるだけでなく、大学の財政も大きな負担を強いられている。授業料を払って大学に通う学生が減ることで、おのずと大学の収入も減るからだ。韓国私学振興財団が2012年6月に、韓国の四年制私立大学198校の今年の予算収入を分析した結果、在学者の授業料が占める割合は61.7%に達した。つまり、大学財政に占める授業料の割合が高いということだ。教育科学技術部(省に相当)によると、こうした大学の中には、授業料依存率が90%に達する大学もある。

 各大学は現在、授業料の分割納付や語学研修費の大学側負担などといった支援策を掲げ「在学者確保」に必死になっているが、休学者の数は減っていない。ある国立大学の財政企画チームの関係者は「休学者が増えたことで、学生が払う期成会費が、昨年は一昨年に比べ18億ウォン(約1億3700万円)ほど減った」と語った。韓国職業能力開発院の蔡昌均(チェ・チャンギュン)センター長は「休学者が一つの階層を形成している国は、世界の中でも韓国しかないだろう」と語った。

ソク・ナムジュン記者 , チョン・ギョンファ記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/07/2013010701563.html

記事入力 : 2013/01/07 14:13
「休学コンサルティング」が人気、授業は満席

休学者100万人時代
週1回8週間の講座で受講料38万ウォン


ソウル市松坡区のあるオフィステルで開かれた「休学スクール」。休学者を対象に、カウンセリングおよび人文学・社会トレンド・SNSの授業を8週間かけて行う。/写真=蔡承雨(チェ・スンウ)記者

 「休学者100万人時代」が12年も続く韓国では、休学者を「固定客」と見なす「休学コンサルティング業」も生まれている。

 2012年9月、ソウル市松坡区のあるオフィステル(住居兼オフィス)に、17人の休学者が集まった。17人は1カ月間にわたり「休学スクール」という名の下、広さ50平方メートルほどの講義室でカウンセリング、人文学の授業、ソーシャル・ネットーワーキング・サービス(SNS)の授業を受けてきた。2組に分かれて座った17人の休学者は、1時間半にわたり「休学スクール」4週目の授業を受けた。この日、講師を務めたのは、休学者専門コンサルティング会社の代表を務めるユン・ソジョンさん(25)。ユンさんは、休学スクールの科目の一つであるSNSの授業を行っていた。

 一昨年2月に立ち上げられたこの会社は「韓国の大学生にあえてアドバイス。『是非、休学を』」というキャッチフレーズを掲げ、休学者対象講座「休学スクール」を運営している。8週間の休学スクールでは、カウンセリングおよび人文学・社会トレンド・SNSの授業が行われ、「私はなぜ、休んでいるときでも罪悪感を抱くのか」といった「休み方」に関することから、人文学の書籍の読み方に至るまで、さまざまなことを教える。週1回ずつ8週間の日程で行われ、受講料は38万ウォン(現在のレートで約2万8900円)。これまでに計6期にわたり会員を募集したが、いずれも募集期間が終わる前に定員に達したという。授業を受けるために慶尚南道統営から来ている学生もいる一方で、全羅北道全州からソウルに向かう便に乗れず、欠席した学生もいた。

 この授業を受けたカン・ガラムさん(23)=金剛大学行政学科を休学中=は「大学は『自分は何者なのか』と考える上であまり役に立たなかった。自分が本当に望んでいるのは何なのか知るため、休学してこの講座の受講を決めた」と語った。東国大学土木学科を休学中のチョン・ソンギョさん(22)は「自分の夢の話をこれほど真剣に語れる所はなかった。大学でそんな話をしたら、いつの間にか就職の話になってしまう。就職ではなく自分の夢について考えるため、休学した」と語った。

 会社の代表を務めるユンさんは「休学者の悩みは、驚くほどよく似ている。皆、世間体を気にしてそれなりにいい職業に就くことを願うばかりで、自分が本当は何を望んでいるのかについては、考えることすらしていないのが問題」と語った。

チョン・サンヒョク記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/07/2013010701571.html