研究する理由

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就職できない者の研究など、何の価値もありません。

ポスドクの正規職移行率は年平均6%
掲載日:2014年6月6日

大学院を修了して博士号を取得したポストドクター(ポスドク)の就職難は誠に深刻である。その実態の一端を、科学技術・学術政策研究所の小林淑恵(こばやし よしえ)上席研究官と渡辺その子総括上席研究官がまとめ、6月5日発表した。

それによると、任期付きで不安定なポスドクの人が毎年、「常勤で任期なし」の正規職員に移行する比率は、男性で7.0%、女性で4.4%、男女平均で6.3%になっていた。この率は、ほかの調査(慶応大グループが実施している「慶応家計パネル」)が示した、契約社員や派遣職員らから正規職員への移行率に比べると、極めて低かった。ほかの学歴の比較では、男性の正規職への移行率が特に著しく低いことがわかった。

研究グループは、文部科学省基盤政策課(当時)が実施した「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査−大学・公的研究機関への全数調査(2009年度実績)」の個票データを用い、研究機関や大学で任期制の研究員として在職していた延べ1万7千人について分析した。ポスドクは「博士号を取るか、大学院博士課程を修了するかして、大学や研究機関に任期付きの非常勤で在籍している人たち」として調査した。日本の社会はもともと、非正規雇用の人々に厳しいが、ポスドクは正規職に就くのが難しい実態がよりはっきりした。

調査したポスドクは、4分の3が男性、4分の1が女性、全体の4分の1は外国籍。分野別では、理学と工学でそれぞれ約30%を占め、農学、保健(医・歯・薬・看護)、人文・社会は各10%台だった。年齢は40歳未満が87%を占め、30〜34歳が全体の半数近くで、最も多かった。年齢が上がるにつれて、全体数が急減する中で、女性の比率が増加していた。女性の方が正規職になれないまま、少数だがポスドクに滞留する傾向が浮かび上がる。

正規職への年間の移行率は35〜39歳で最も高くなっていたが、それでも、平均7.2%にとどまった。全般に女性の正規職移行率が低い。大学卒の女性は、ほかの学歴より移行率が高いが、大学院を終えてポスドクになった女性の場合、4.4%と中・高卒以下だった。博士号取得後に正規職に就くまでは平均4.8年かかっていた。半数程度が大学の教員、4割が研究機関の研究開発職になり、非研究職に移るのは1割に達しなかった。主婦や無職になる人も1割程度いた。

研究グループは「ポスドクの移行率を示したのは初めてだ。近年は、任期を繰り返して不安定な地位にいる期間が長引く傾向にある。任期の変わり目の5年目あたりで、安定した職への移行を支援することが必要だろう。今回は2009年のやや古い調査結果なので、12年の調査データを基に現在分析を進めている。正規職への移行の低さは、特任助教などの任期付き雇用制度とも関連していると思われ、今後明らかにしていきたい」としている。


グラフ1. 正規職への移行率の比較


グラフ2. ポスドクの年齢構成と女性比率


グラフ3. ポスドクの正規職への移行率(性・年齢階級別)
(いずれも提供:科学技術・学術政策研究所)

関連リンク
•科学技術・学術政策研究所 プレスリリース
http://www.nistep.go.jp/archives/16860
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-DP106-AbstractJ.pdf pdf
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-DP106Fullj.pdf pdf

http://scienceportal.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/06/20140606_02.html

なので、そんな「ポスドク問題」の解決のためには、「問題ポスドク」を選別して隔離し、専門的に指導する措置*1が必要なのでしょう。半数を「排除」できれば、ポスドクの正規職移行率は年平均12%にも跳ね上がります。素晴らしい。

もちろん、問題校長や問題市長、問題教育行政等々については不問に付すところがポイントです。

【社会】問題生徒を隔離指導 橋下大阪市長が了承方針
2014年6月11日 朝刊

 大阪市橋下徹市長は十日、教育行政に関する会議で、悪質な問題行動を繰り返す公立小中学校の児童・生徒を隔離し、特別指導する場を外部に設ける市教育委員会の方針を了承する考えを示した。来春から始まる見通しで、モデル校で先行実施することも検討している。問題がある子どもの一方的排除につながるとの批判が出る可能性もある。

 橋下市長は会議で「問題のある生徒のせいで真面目な生徒がばかを見ることは絶対にあってはならない」と強調。会議終了後、「学校以外の指導現場が必要だ。市教委の制度設計を待って予算化する」と表明した。

 市教委は、さまざまな専門性を持った常勤・非常勤のスタッフを配置する専用施設「個別指導教室」(仮称)の設置を提案。在籍する学校と連携して問題行動の克服を図るとともに「大多数の児童・生徒の安全、安心と教育を受ける権利を保障する」としている。

 市教委はこれまで、いじめや校内暴力などの問題行動を五段階に分類。凶器の所持や極めて重い暴力など最も悪質なレベル5と、これに次ぐ4の児童・生徒のうち出席停止が必要となるケースが対象。出席停止中は原則、保護者が指導することを基本とするものの、家庭での指導に問題がある場合、「指導教室」を活用する。具体的には児童・生徒ごとに個別指導計画を作成、在籍する学校と連携しながら、個別指導することで、問題行動の克服を図る。学校教育法は、問題行動を繰り返し周囲の教育を妨げた場合、出席停止を認めている。市教委によると、出席停止後の児童・生徒のフォローが国レベルで整備されておらず、独自の取り組みを検討していた。

◆現場は支持するか

 教育評論家の尾木直樹法政大教授(臨床教育学)の話 暴力行為がひどい児童や生徒を緊急避難的に隔離せざるを得ないケースはあるが、一部の教育関係者だけでうまく管理できるというのは甘い考え。愛情不足から人間不信に陥っている子どもが多い中で、現場の先生は本当に支持するのか。従来対応してきた児童相談所や少年院には専門のカリキュラムがある。それらの機関の職員を増やしたり、荒れた学校への力量豊かな先生の配置を増やす方が大事ではないか。

◆どこで線引きする

 精神病理学が専門の評論家野田正彰さんの話 「問題児は頑張らないから悪い」という従来の橋下徹大阪市長の発想にも沿っている。制度が機能するかどうかという以前に、どの生徒や児童が問題なのか、どこで線引きするのか。そうでない者までもが学校の判断で恣意(しい)的に排除されてしまうという危険性がある。悪いことをすれば学校が隔離するぞと脅して解決を図るような方法では、子どもに余計な負荷がかかるだけだ。逆効果だと思う。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014061102000121.html

*1:誰が何をどう指導するのかは、知ったことではありません。どうせ現場に丸投げです。