朝鮮半島出身者の遺骨、韓国返還へ

遺骨と言えば、こちらのニュースが日韓で出ていました。


遺骨115人分、韓国返還へ 戦時下の北海道で労働
2015年9月12日19時53分


朝鮮半島出身者の遺骨が納まった箱に頭を下げる韓国からの参列者=12日午前9時38分、北海道浜頓別町、恵原弘太郎撮影

 戦時下の北海道内で過酷な労働を強いられた朝鮮半島出身者115人分の遺骨について、道内の市民らが12日、韓国・ソウルまで届ける旅に出発した。韓国人の遺族7人も来日し、同行している。政府レベルで民間人の遺骨の韓国返還は実現しておらず、民間レベルでもまとまった数の遺骨を返還するのは珍しいという。

 遺骨を届けるのは、北海道深川市の浄土真宗本願寺派一乗寺住職の殿平善彦さん(70)ら約30人。殿平さんは1976年、深川市に隣接する幌加内町の廃寺で70余りの位牌(いはい)を発見。戦時下に町内のダムや鉄道の建設に従事した朝鮮人や日本人のものだとわかり、遺骨の発掘を始めた。道内の別の場所にも発掘を広げ、日韓の若者が一緒に発掘する取り組みも続けてきた。

 今回届けるのは、現在の韓国にあたる地域の出身者の遺骨。殿平さんらが発掘したほか、旧三菱美唄(びばい)炭鉱(北海道美唄市)などでの労働に従事して死亡し、地元の寺に安置されていたという。

 一行は12日朝、北海道浜頓別町の天祐寺で法要。安置されていた旧陸軍の飛行場工事現場で亡くなった現韓国出身者34人分の遺骨を受け取った。

 一行はさらに道内3カ所の寺を回って遺骨を受け取り、本州に移動。東京や京都、大阪、広島などでの追悼行事に参加した後、山口県下関市からフェリーで韓国・釜山に渡る。19日にソウルで追悼行事を開き、20日にソウルの追慕公園に遺骨を納めるという。

 義理の弟の遺骨を13日に受け取る李玉順(イオクスン)さん(88)は「弟とふるさとに帰れるのはうれしいが、同時に生きて会いたかった。つらい」。

 今回返還する遺骨の多くは、日本人や中国人、現北朝鮮出身者の遺骨と交じり合った状態になっている。保管していた札幌市の寺が97年、遺骨を預けた所属企業の一つと協議して合葬したためで、氏名などの一覧はあったものの合葬がネックとなって返還が進んでいなかった。だが、一部の遺族から「返してほしい」と要望があり、今回の返還が実現したという。

 戦時下、炭鉱やダムなど、日本国内の民間事業所で働き、死亡した現韓国出身者の遺骨をめぐっては2004年、韓国の盧武鉉ノムヒョン)大統領(当時)が小泉純一郎首相(同)に民間徴用者の遺骨の所在確認と遺骨返還への協力を要請。その後、日本政府は雇用主の企業や仏教団体、各自治体に依頼し、調査を続けている。

 厚生労働省によると、2798人の情報が寄せられ、うち1014人が朝鮮半島出身の可能性があるという。だが、返還は実現していない。

http://digital.asahi.com/articles/ASH9C4KFQH9CIIPE00P.html

日本に強制徴用された朝鮮人労働者の遺骨115体、70年ぶりの帰還
登録 : 2015.09.14 23:41 修正 : 2015.09.15 06:44

70年前に日本に強制動員された道を遡る
韓日市民が100体以上の返還を推進
1997年から7回にわたり共同で遺骨発掘
東京経て20日、坡州追悼公園に安置


北海道に連行され強制労働で犠牲になった朝鮮人の遺骨115体が14日午後、「遺骨奉還東京追悼会」が開かれた東京の築地本願社に到着した。18日に釜山を経由して韓国に入国し、20日に京畿道坡州にあるソウル市立追悼公園に安置される予定だ=東京東京/連合ニュース//ハンギョレ新聞社

安倍政権集団的自衛権などに関心を持っているだけで、遺骨問題には全く関心がない。市民たちのこのような連帯が、これから国を動かしていけたらと思う」

 14日午後6時、東京中央区築地本願社(本願寺)。北海道各地に保管されていた朝鮮人強制徴用犠牲者115人の遺骨奉還追悼会の演壇に上がった池田行信「遺骨奉還東京追悼会」共同代表が述べたのは、日本に連れて来られ過酷な労働を強いられた末に亡くなった朝鮮人たちの遺骨返還に対する国の責任だった。池田代表は「2004年、盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領と小泉純一郎首相が会って遺骨返還に合意した後、日本全域にある朝鮮人たちの遺骨に対する調査が行われたが、それ以降、遺骨の返還が実行されていない」と指摘した。韓日両国政府は、2008年から2010にかけて東京の祐天寺に安置されていた朝鮮人軍人や軍属の遺骨423体を奉還したものの、後続の作業に着手していない。

 解放後70年ぶりに帰国の途に就いた北海道の朝鮮人115人の遺骨が14日、東京に到着した。11日に北海道深川市一乗寺から旅程を始めた彼らは14日に東京に到着し、京都(15日)〜広島(16日)〜山口(17日)などを経て、18日に釜山(プサン)に上陸する予定だ。70余年前の朝鮮人労働者が釜山で関釜連絡船に乗って下関に到着した後、日本を横断して北海道に行ったルートを遡っていくのである。彼らの遺骨は19日、ソウル市庁前広場で開かれる追悼行事を経て、20日、京畿道坡州(パジュ)龍尾(ヨンミ)里にあるソウル市立追悼公園に安置される。

 100体以上遺骨が70年ぶりに故国に帰ることなら当然、日韓両国政府が積極的に乗り出しそうだが、現実はそうではない。国が責任を放棄した隙を埋めたのは、韓日両国市民たちの友情だった。

 今回の遺骨奉還は一乗寺の住職殿平塚善彦氏(69)とチョン・ビョンホ漢陽大学文化人類学教授の縁から始まった。1989年に寺で行われている共同育児保育園を研究するために一乗寺を訪れたチョン教授は、殿平住職を中心に1976年に作られた「空知(深川市周辺地域)民衆史講座」の活動を耳にする。深川周辺の朱鞠内では、1940年代に森林資源を運ぶための名羽線鉄道と雨竜川にダムを作る大規模な土木工事が行われた。この工事に動員され犠牲になった朝鮮人や中国人の被害事実を知ったこの地域市民たちは、北海道に残っていた在日朝鮮人1世の故チェ・マンジンさんなどの助けを借りて、20年近く遺骨を発掘して遺族を確認する活動を行ってきた。

 彼らの活動に感動したチョン教授は「韓国の学生を集めて発掘作業を手伝う」と約束した。その結果、1997年から韓日の若者たちの中心となった「東アジアの平和のための共同ワークショップ」(以下ワークショップ)が結成され、最初の遺骨発掘が行われた。それ以降、韓日の若者たちは、共にワークショップを開いて、7回も遺骨を発掘し、不幸だった歴史的経験を克服して互いを理解する交流の歴史を積み重ねることになる。

 この日の追悼式には遺族など韓日市民約300人が参加した。1944年北海道で強制労働の途中に亡くなったキム・イクチュンさんの甥であるキム・ギョンス氏(65)は、「70年はあまりにも長い時間だ。今回の送還が市民たちの力だけで実現したことを遺憾に思う。日本政府と関連企業の謝罪と補償が伴わなければならない」と述べた。殿平住職も「このような遺骨返還は、日本政府と企業がやるべきことだ。これまでの交流を通じて積み重ねてきた両国の若者たちの友情と人間関係が、今回の奉還を可能にした」と述べた。

 チョン・ビョンホ教授も「韓国が解放されて70年になる年の秋夕(中秋節、今年は9月27日)を迎え遺骨を故郷に返すために、この行事を企画した。この問題を単に被害者、加害者の関係ではなく、強制労働という人類に対する普遍的な犯罪という観点から捉えなければならない。韓日の若者たちはこのような認識に基づいて、真の和解を模索し、未来を語るようになった」と述べた。北海道新聞などの報道によると、現在日本全国に残っている朝鮮人の遺骨は1014体に達する。

東京/キル・ユンヒョン特派員

韓国語原文入力:2015-09-14 19:34

http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/708817.html 訳H.J

http://japan.hani.co.kr/arti/international/21934.html

遺骨の納め先についてですが、遺骨が個別性を確保された状態ではないため、おそらく散骨の扱いとなると思われます。ソウルであれば、おそらく選択肢は二つで、火葬場のあるソウル市立昇華院の幽宅の丘(유택동산)か、龍尾里1墓地の散骨公園である「追慕の森」になります。

사이버 추모의 집 - 산골이용안내

前者は無縁遺骨などをまとめて処分するものですから、そっちになることはあり得ないでしょう。

ソウル近郊日帰り 知らない人のお墓参りツアー 1

『朝鮮日報』日本語版の葬墓文化関連記事

朝日新聞では「ソウルの追慕公園」となっていますが、この書き方は誤解を招きますね。「ソウル追慕公園」と言えば、通常は市内第2の火葬場があるところを指しますが、そこには幽宅の丘以外に遺骨を納める場所がありません。いっぽう、ハンギョレを記事を読むと「경기 파주 용미리 서울시립추모공원」となっていますから、坡州市にあるソウル市立の龍尾里1墓地内の「追慕の森」に散骨し、慰霊碑を建てたりなどすることになるのではないでしょうか。

下記の記事を書いた時に訪れた2010年の時点では、この墓域は完成しておらず、自然葬地である芝生葬地だけが一部オープンしている状態でした*1。その後ご無沙汰なのですが、今は樹木葬林や散骨用の場所もあるはずです。どうなってるんでしょうかね?

ソウル近郊日帰り 知らない人のお墓参りツアー 2

芝生と自然

ともあれ、火葬場と幽宅の丘のあるソウル市立昇華院と、龍尾里1墓地と、龍尾里2墓地とは、ソウル市外の高陽市や坡州市にありますし、それぞれ場所も違います。訪れるのであれば注意が必要です。詳しくは過去記事をどうぞ。

*1:混乱して用いられることもよくあるのですが、韓国では「自然葬」と「散骨」は別の概念として用いられています。