全北現代のACL出場権剥奪へ

この話が出て以来、ニュース記事をいくつかチェックしていましたけど、これがいちばん詳細で丁寧なものだと思います。

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この事態を引き起こした原因である審判買収事件が事実認定され、制裁も受け入れている以上、そのような処分を受けても仕方がないでしょう。もちろん、全北現代はその処分の再考を要請することはできますけど、その異議申し立ての正当性をどこまで訴えることができるか。まあ、難しいのではないでしょうかね。最終的には出場権剥奪を受け入れるほかないと思います。

ところで、現代自動車現代重工業って、ルーツはもちろん現代財閥であるにしても、今では企業系列として別々の存在でしたよね…?なので、名前の上ではともかく、浦項と全南のような意味での「兄弟クラブ」(両クラブともにPOSCOがスポンサー)ではありません。

全北ACL除外、提訴も逆転は不可能か。同じ現代の“兄弟クラブ”が棚ぼたも

審判買収事件が引き金となり、全北現代の2017シーズンのACL出場権がはく奪されてしまった。全北は提訴することを発表しているが、代わりに出場権を手にしたのは全北と同じく運営・親会社が現代財閥の系譜である蔚山現代だ。蔚山ACL出場に向け、選手補強にも拍車をかけている。果たして、兄貴分の恥を“弟分”が晴らし、Kリーグの名誉を回復させられるのか。(取材・文:キム・ドンヒョン【城南】)

2017年01月20日(Fri)10時00分配信
text by キム・ドンヒョン photo Getty Images

全北は提訴を準備。現地の反応は「正当な結果」

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ACL出場権をはく奪された全北現代【写真:Getty Images】

 2016シーズンのアジアチャンピオンズリーグ(ACL)覇者、全北現代が2017シーズンの出場権をはく奪されてしまった。全北はAFCから関連資料の提出を求められていた。17日に書類を提出したが、翌日、出場資格不可の通知を受けた。

 18日(日本時間)、アジアサッカー連盟AFC)連盟機構の1つである出場管理機構(Entry Control Body)は、AFCのクラブ大会出場規約第11条第8項「国内外問わず試合結果に対し直接的または間接的に影響を及ぼそうとする行為をしたクラブは、AFC主催大会への参加を即座に拒否される」というルールに基づき、はく奪を決定。

 昨季のACLを制した全北現代だったが、2013年にクラブのスカウターがレフェリーに2回にわたって500万ウォン(現在のレートで約48万円)を渡し、有利な判定を要求していたことが判明、実刑判決を下されている。Kリーグクラシックでも勝ち点9の没収処分や1億ウォン(約970万円)の罰金の懲戒を受け、2位に終わっている。

 全北はACL出場を諦めていない。判決直後、「出場に対する正当性を求めるため、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する」と発表。だが、現地・韓国では「正当な結果」というムードが流れている。

 オンラインメディア『デイリアン』は「AFCの決断とKリーグの温度差は明らかだった」としたうえで「レフェリー買収事件が全北の2連覇挑戦に歯止めをかけた」と痛烈に批判。メジャーなサッカー専門誌『フットボールリスト』も「ACL出場権(はく奪)を覆すのは難しい」と悲観的な論調だった。

 オンラインスポーツメディアのSPOTVは「カンボジアプノンペンクラウンが八百長に巻き込まれ、AFCカップ(ACLの下部大会)出場権をはく奪されたが、CASに提訴し、出場権を復権された例がある」と指摘している。だが、「どのような結果が出るかは少し時間を置くべき」とした。

 プノンペンの事例ではプレーオフ予選に出場するはずだった同クラブが、期限までに復活できなかった。ところが「予選」ではなく直接プレーオフに出場させたという疑問の残る決定が下された。これを契機として出場管理機構が新設されており、判決に大きな影響を及ぼすだろう。

棚ぼた出場に喜ぶ蔚山。全北と同じ現代財閥系統の系譜

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棚ぼたでACL出場の可能性が高い蔚山現代【写真:Getty Images】

 物理的な期限も全北に不利な状況だ。はく奪決定を覆すためには、大会出場選手登録期間より前にCASが全北の勝訴を発表しなければならない。ACLプレーオフは2月7日にスタート。2週間弱の時間内にすべてのプロセスがなされるには時間が足りない。全北の場合はACLグループステージ開始にも間に合わない可能性が高い。

 この判決でほくそ笑むクラブがある。全北と同じように運営・親会社が現代財閥の系譜である蔚山現代だ(全北は現代自動車蔚山現代重工業)。昨季まで元日本代表MF増田誓志が所属し、ACL経験も豊富な強豪クラブである。蔚山はいきなりの出場権獲得により「いろいろ忙しくはなったが、うれしい気持ちで大会に備えている」と喜びの色を隠していない。

 ただ、この棚ぼた決定は想定内だ。クラブ関係者は「AFCの決定を待つべきで、細かいところは準備できなかった」としながらも「ある程度、予想はしていたしACL出場経験もある。これらを活かしてしっかりと準備したい」と明かした。現在蔚山はスペインでキャンプ中。2月10日まで滞在しKリーグに備える予定だったが、ACL出場となったことで今月末の帰国を決定した。2月7日、蔚山のホームでACLプレーオフを行う。

 キャンプ終了だけでなく、選手補強にも拍車がかかる。ACL選手登録に間に合わせるように選手探しを早めるという。

 増田誓志も中東に移籍したため、現在埋められている外国人選手枠は3枚(アジア枠1枚を含む)。合意済みと噂されるオランダ出身の長身FWヘンク・フェールマン(ヘーレンフェーン所属)との契約を進め、アジア枠の選手を含む残りの枠をACLで競争力を持つ選手で埋めるという。兄貴分の恥を“弟分”が晴らすことができるのか。Kリーグの名誉も蔚山の足にかかることとなった。

全北現代・審判買収事件】
2016年9月:スカウトが審判へ賄賂を渡していたことが発覚。勝ち点9のはく奪と1億ウォンの罰金が決定
2016年11月:Kリーグで2位に、ACL出場権獲得。この年のACLは優勝
2017年1月:AFCが全北のACL出場権をはく奪。クラブはCASに提訴

(取材・文:キム・ドンヒョン【城南】)

【了】

https://www.footballchannel.jp/2017/01/20/post194609/