日大フェニックスのラフプレー問題:後手に回った関東学連・日大の対応

この問題、関東学生アメリカンフットボール連盟は当初、何も対応するつもりがない旨を表明したと聞いています。

news.yahoo.co.jp

 審判はアンネセサリー・ラフネス(不必要な乱暴行為)として15ヤードの反則を宣言。反則を犯した選手や日大のサイドラインに向かって、警告を発することもなかった。日大のサイドラインもこの選手をベンチに下げて、危険なプレーを注意することもなかった。

 ルール上は審判の判定は正しく、試合を主催した関東学生アメリカンフットボール連盟に電話をして確認したが、連盟としても対象選手や大学にこれ以上のペナルティーを与えるつもりはないとの回答が返ってきた

 ルール上は正しくても、スポーツ――とくに学生スポーツ――では、勝敗よりも選手の安全とスポーツマン精神が先に来るべきではないだろか?

しかし、改竄も隠蔽もしようのない試合動画が出回り、予想以上に「炎上」したことを受けて、やむなく対応するに至った、と、そのように読めます。ここまでの大事になるとは思っていなかった、ということは理解できなくもありませんし、その後とにかく対応した、という点も評価できなくはありません。

反則3度のアメフト日大選手、関東学連が異例の処分
榊原一生 2018年5月10日18時18分

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日大(赤)と関学大(青)の第51回定期戦。21対14で関学大が勝利した

 アメリカンフットボールの関東学生連盟は10日、日大と関学の定期戦(6日、東京・アミノバイタルフィールド)で3度の反則行為をし、退場処分を受けた日大守備選手に対して、対外試合出場を禁止する処分を発表した。連盟による選手への処分は極めて異例。

 出場禁止期間は今月中にも理事会内に設置される規律委員会で調査を行い、追加処分が決まるまで、としている。日大の指導者(内田正人監督)に対しても指導者責任があるとして厳重注意した。

 関学大は日大に対し、反則行為の経緯説明と謝罪を求める文書を送った。処分を受けた日大はファンや連盟、関学大の選手らに向けて、公式ホームページ上に「多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪文を掲載した。

 6日の試合で日大の守備選手は関学大攻撃の1プレー目、関学大クオーターバック(QB)がパスを投げ終えた数秒後に背後からタックル。QBはそのプレーで負傷退場した。日大の守備選手はその後のプレーでも不必要な乱暴行為を続け、5プレー目で退場処分となった。

 学連は9日の理事会で、反則行為のあったプレーを映像で検証。その結果、背後からのタックルが「不必要な乱暴行為を超えるプレー」と分かり、公式規則第6章の「(無防備なプレーヤーへの)ひどいパーソナルファウル」に当たると判断し、処分を下した。連盟は「アメリカンフットボールはもとより、あらゆるスポーツにおいて順守されるべきフェアプレー精神やスポーツマンシップ精神を著しく損なうもの」としている。

 日大の守備選手は6月の大学世界選手権(中国)の日本代表メンバーに選ばれていたが、辞退した。日大は昨季、全日本大学選手権決勝「甲子園ボウル」で関学大と対戦。23―17で勝利し、1990年以来、27年ぶり21回目の優勝を果たした。(榊原一生)

https://www.asahi.com/articles/ASL5B5CTDL5BUTQP01M.html

しかし、この問題はすでに、その選手個人の処分で終わりにできるレベルにとどまらないものになっています。

何故に、関学オフェンスの最初のプレーで、あんな殺人的な反則プレーがいきなり飛び出したのか。何故に、あんなプレーをした選手が下げられるでも叱責されるでもなく、コーチの指示を受けながら退場に至るまでラフプレーを繰り返したのか。何故に、日大サイドは、退場後も責める素振りをまったく見せずに労うような態度で当該選手を迎えていたのか。何故に、日大の内田監督は試合後、あの一連のプレーを肯定し、自ら指示したとすら疑われるコメントを出していたのか。

そうした疑問点に答えない対応は、日大フェニックスと関東学連に対する不信感を払拭することはできないでしょう。今のところは、「これで終わり」ではないことを期待しつつ、事態を見守ることにします。

2018.5.10 16:31
【アメフト】日大選手の対外試合出場を禁止 関学大戦で「度を越すラフプレー」

 関東学生アメリカンフットボール連盟は10日、東京都内で6日に行われた日大と関学大の定期戦で日大の選手が度を越したラフプレーをしたとして、追加的な処分内容が決まるまで当該選手の対外試合の出場を禁止すると発表した。日大の指導者を厳重注意とした。

 公式規則の「(無防備な選手への)ひどいパーソナルファウル」に該当すると判断し、9日に開いた理事会で決定した。今後は規律委員会を設置し、詳細な調査を行った上で最終的な対応を決めるという。

 日大は昨年12月の全日本大学選手権決勝、甲子園ボウル関学大を下し、27年ぶりに優勝を果たした。

https://www.sankei.com/sports/news/180510/spo1805100025-n1.html

2018年5月10日
日本大学の選手による試合中の重大な反則行為について

本年5月6日に行われた日本大学関西学院大学の定期戦の第1クオーターにおいて、日本大学の選手が3度のパーソナルファウルを犯し、資格没収となる事態が発生しました。本件は、アメリカンフットボールはもとより、あらゆるスポーツにおいて順守されるべきフェアプレー精神やスポーツマンシップ精神を著しく損なうものとして、関東学生アメリカンフットボール連盟として極めて重く受け止めています。
日本大学が加盟している連盟を代表し、また試合の主催者として、本件において負傷されました関西学院大学の選手ならびに対戦相手の関西学院大学の関係者の皆さま、そして国内外のアメリカンフットボールを愛する皆さまに多大なご心配とご迷惑をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

弊連盟では、5月9日に開いた理事会で本件について協議し、以下の通り決定しました。

①当該選手の1回目の行為は、その後の検証の結果、当初、試合中に審判クルーが下した「アンネセサリーラフネス(不必要な乱暴行為)」を超えるものであったことが分かり、公式規則第6章の「(無防備なプレーヤーへの)ひどいパーソナルファウル」に該当すると判断できる。よって、競技団体として、当該選手は追加的な処分の内容が確定するまでは、対外試合の出場を禁止する。
日本大学の指導者は、スポーツマンシップに則り、公式規則を遵守し、重要な規律をプレーヤーに継続して教えねばならないとして、厳重注意とする。
③一連の反則行為につき、調査・報告を行う為に規律委員会を理事会内に設置する。

今後は上記③の通り、速やかに規律委員会を設置し、詳細な調査を行った上で最終的な対応を決定する運びです。

学生スポーツの本来の目的である学生の成長とアメリカンフットボールの発展に向けて、弊連盟として力を尽くしていく所存です。アメリカンフットボールを愛する皆さまのご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
あらためまして、このたびは多大なご心配とご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした。

2018年5月10日
一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟
理事長  柿澤 優二

http://www.kcfa.jp/information/detail/id=2195

本学選手による試合中の重大な反則行為について

 5月6日に行われた本学と関西学院大学の定期戦において,本学選手による反則行為により大きな混乱を招き,関西学院大学の選手・関係者の皆さま,関東学生アメリカンフットボール連盟,また国内外のアメリカンフットボールファンの方々に多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 今回の事態を厳重に受け止め,今後はこのようなことがないよう,これまで以上に学生と真摯に向き合い指導を徹底してまいります。このたびのこと,重ねてお詫び申し上げます。

日本大学アメリカンフットボール

http://nu-phoenix.com/topics/6785/