日大フェニックスのラフプレー問題:外部で確定した「結論」、日大内部の「課題」

なお現在進行形の事案ですが、ここまでの経緯を備忘のために並べて記録しておきます。

日大選手が声明文「指示に盲目的に従い」/原文まま
[2018年5月29日17時25分]

 日本大アメリカンフットボール部の選手による悪質な反則行為で関西学院大の選手が負傷した問題で、日大の選手が29日、声明文を発表した。

 全文は以下の通り。

 本年5月6日に行われました関西学院大学アメリカンフットボール部と私たち日本大学アメリカンフットボール部の第51回定期戦での私たちのチームメイトの反則行為について、ケガを負ったQBの選手とご家族の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、関西学院大学アメリカンフットボール部関係者の皆様、関東学生アメリカンフットボール連盟その他の関係者の皆様に、多大なご迷惑とご心労をおかけしてしまったことを、私たち日本大学アメリカンフットボール部選手一同、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。また、私たちの行為によりアメリカンフットボールという競技そのものへの信頼が損なわれかねない状況に至ってしまったことについて、アメリカンフットボールを愛する全ての皆様、そして社会の皆様に深くお詫び申し上げます。

 今回の件が起こってから、私たちは、どうしてこのようなことになってしまったのか皆で悩みながら何度も話し合ってきましたが、まだ明確な答えが見つけられたわけではなく、これからも話し合いは続けていきたいと思います。また、これから捜査機関による捜査や大学が設置する第三者委員会の調査が行われるようですので、私たちも全面的に協力して、その結果も待ちたいと思います。なお、それらの捜査・調査に際しては、関係者の皆様にも、私たちが信じているチームメイトのように、誠実にありのまま全てをお話しして、その責任をしっかり受け止めて頂きたいと思っています。

 ただ、少なくとも、私たちは、私たちの大切な仲間であるチームメイトがとても追い詰められた状態になっていたにもかかわらず、手助けすることができなかった私たちの責任はとても重いと考えています。これまで、私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまいました。それがチームの勝利のために必要なことと深く考えることも無く信じきっていました。また、監督・コーチとの間や選手間のコミュニケーションも十分ではありませんでした。そのような私たちのふがいない姿勢が、今回の事態を招いてしまった一因であろうと深く反省しています。

 私たちは、日本大学アメリカンフットボール部全体が生まれ変わる必要があることを自覚しています。今後、具体的に何をしていかなければならないかについては、これから選手一同とことん話し合って決めていきたいと思います。ただし、絶対に必要だと今思っていることは、対戦相手やアメリカンフットボールに関わる全ての人々に対する尊敬の念を忘れないこと、真の意味でのスポーツマンシップを理解して実践すること、グラウンドではもちろんのこと、日常生活の中でも恥ずかしくない責任ある行動を心がけるなど常にフェアプレイ精神を持ち続けることを全員が徹底することです。そのために何をしていく必要があるのか、皆様にご指導頂きながら、選手一人ひとりが自分自身に向き合って考え抜くとともに、チーム全体でよく話し合っていきたいと思います。

 そして、いつか、私たち日本大学アメリカンフットボール部が、部の指導体制も含め生まれ変わったと皆様に認めていただいた時には、私たちが心から愛するアメリカンフットボールを他のチームの仲間たちとともにプレーできる機会を、お許しいただければ有難いと思っています。また、そのときには、もし可能であれば、私たちのチームメイトにも再びチームに戻ってきてもらい、一緒にプレーできればと願っています。

 私たち選手一同の今の思いは以上のとおりです。私たちは、今回の件の深い反省のもと、真剣に、謙虚に、一丸となってチーム改革を実行していく所存ですので、どうかご指導のほど、よろしくお願い致します。

平成30年5月29日

日本大学アメリカンフットボール部選手一同

https://www.nikkansports.com/sports/news/201805290000560.html

関東学生連盟は日大・内田前監督の供述を虚偽と認定
[2018年5月29日22時53分]

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経過報告をする関東学連の森本専務理事(左)。右へ柿沢理事長、寺田幹事(撮影・丹羽敏通)

 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題を受け29日、関東学生連盟が緊急理事会を開催し、日大アメフト部関係者の処分を決めた。

 内田正人前監督と井上奨(つとむ)コーチは最も重い除名処分。反則行為を行った宮川泰介選手と日大アメフト部自体は18年度シーズン終了まで公式試合の出場資格停止処分となった。森琢コーチは資格はく奪処分が科された。

 関東学生連盟は緊急理事会の後に会見を行い、この件についておわびするとともに、この処分にいたる連盟の規律委員会の調査について委員長を務める森本啓司専務理事(48)が説明した。宮川選手は22日の会見で悪質な反則を内田前監督、井上コーチによる指示と供述したが、翌23日には両者が会見で否認。調査を行った関東学生連盟の規律委員会は内田前監督による「(悪質行為を)見ていなかった」という内田氏の供述は虚偽であると認定。「QBをつぶせ」にこめられた意図も、相手選手をけがをさせる意味だったと認めた。

 規律委員会は9日に発足。日大関係者、当該選手、関学の関係者、審判、当日の試合会場で目撃した人ら20名にヒアリングを実施。また、当該試合の動画、独自ルートで入手した音声データなども参考に28日まで調査を行った。

https://www.nikkansports.com/sports/news/201805290000870.html

www.youtube.com

関東学連の裁定に対して、日本大学側は異議を唱えることなく受け入れる方針のようです。ま、ここまで来て監督コーチの言い分を正当化して強弁することは難しいでしょうからね。外部的には。

日大アメフト部「連盟の裁定重く受け止め」原文まま
[2018年5月29日21時49分]

 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題を受け29日、関東学生連盟が緊急理事会を開催し、日大アメフト部関係者の処分を決めた。

 内田正人前監督と井上奨(つとむ)コーチは最も重い除名処分。反則行為を行った宮川泰介選手と日大アメフト部自体は18年度シーズン終了まで公式試合の出場資格停止処分となった。森琢コーチは資格はく奪処分が科された。

 裁定を受けて日大アメリカンフットボール部はコメントを発表した。以下の通り(原文まま)。

   ◇   ◇   ◇

◎関東学生アメリカンフットボール連盟の裁定を受けて

 平成30年5月6日に行われました関西学院大学アメリカンフットボール部との定期戦において発生いたしました弊部選手の反則行為について、改めて、負傷されました関西学院大学アメリカンフットボール部選手へ謝罪させていただくとともに、心よりお見舞い申し上げます。また、関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様、関東学生アメリカンフットボール連盟加盟各校関係者の皆様、ひいてはアメリカンフットボール界全体に大変なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 弊部といたしましては、本日受領いたしました、関東学生アメリカンフットボール連盟のご裁定を重く受け止め、真摯に対応させていただきたく存じます。今後、今回の事案の反省のもとに、早急に具体的な改善策を策定、実行し、二度とこのような事案が起こらないよう不退転の覚悟ですすめて参りたいと存じます。

 また、弊部当該選手の一日も早い復帰並びにチーム活動の再開をお許しいただけるように、部を一新して、誠心誠意努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成30年5月29日

            日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール

                           部長 加藤直人

https://www.nikkansports.com/sports/news/201805290000803.html

日大大塚学長が声明/関東学連からの厳罰受け 原文
[2018年5月30日18時59分]

日本大学の今後に向けて

 本学の教学責任者として、あらためて被害選手及び保護者並びに関西学院大学アメリカンフットボール部の関係者の皆様に、深くお詫び申し上げます。

 5月29日及び30日、関東学生アメリカンフットボール連盟から正式に裁定を受領いたしました。前監督やコーチの処分、また当該選手やチームに対しては2018年シーズン終了までの「出場資格停止」という教育的な判断をいただきました。

 本学アメリカンフットボール部選手一同の声明文にあるとおり、選手たちはこれまで指導者へ依存してきた事実を反省し、ことの責任を重く受け止めるとともに、「部の指導体制も含め生まれ変わったと皆さまに認めていただいた時には、私たちが心から愛するアメリカンフットボールを他のチームの仲間とともにプレーできる機会を、お許しいただければ」としております。

 本学としましては、同連盟の裁定を真摯に受け止め、本学アメリカンフットボール部選手たちの気持ちを無にしないよう、誠実に対応いたします。また、本学学生である当該選手が今後の学生生活を充実したものにできるよう支援いたします。

 あらためて本学の教学責任者として、アメリカンフットボール部のみならず、本学運動部組織のあり方とこのような事案の再発防止に向けて、早急に本学全体の問題として取り組んでまいります。

 学内の教職員はもとより、大学の主役である学生のほか、関係するすべての方々とともに日本大学の未来を創っていけるよう改革を実行してまいります。

平成30年5月30日

日本大学学長

大塚吉兵衛

https://www.nikkansports.com/sports/news/201805300000630.html

問題は、外部からの影響力が届きにくい日大内部の動きです。関東学連としては、内田前監督の影響力が残る形でのフェニックスの復帰はあり得ないでしょう。内田氏は日大の常務理事なわけで、アメリカンフットボール部という組織の改革だけで解決できることではありません。彼の除名処分に実質的な意味を持たせるためには、大学本部そのものに手を付ける必要があります。

今のところ教職員組合の要求は出ていますが、組合と大学本部とは労使交渉を行う関係ですから、その要求が実現される保証はありません。この件がどうなっていくか、先行きはまだ見えてきていません。

日大教職員組合が理事長、内田氏ら辞任要求書を提出
[2018年5月31日19時55分]

 日大アメリカンフットボール部の悪質な反則問題で、日大教職員組合は31日夕方、内田正人前監督の常務理事などの全ての役職と、田中英寿理事長、大塚吉兵衛学長の辞任を求める要求書を田中理事長宛てで日大本部に提出した。趣旨に賛同する教職員の署名も集め始めた。

 教職員組合の菊地香委員長(生物資源科学部准教授)は「このままでは日大の教育、卒業生の誇りが失われるとの観点から、このような行動に至った」と要求書提出の理由を語った。

 大学トップである田中理事長の辞任を求めた経緯を要求書では「ハラスメントの温床にもなる上意下達の権威主義的な体質、権限・権力が1点に集中するピラミッド型の組織構造のあり方、といった日本大学が抱える問題に論点がシフトしている」と指摘。

 吉原令子副委員長(商学部教授)は「トップダウンで何もかも降りて来る」と話し、「教員室で多くの先生が『今回の問題、対応はまずい』と話していた。(日大の体質を)本当に変えないといけないと思っている先生方がたくさんいる」と切に語った。

 教学の現場を知らない人材が理事長、常務理事を務めていることで、現場とはかけ離れた体制になっていることも問題視した。

 3人の辞任の他に、内田氏以外の全4人の常務理事にも辞任を求めた。その理由について山本篤民書記長(商学部准教授)は「この間、謝罪、説明の不手際があった。(幹部を)一新しないと、日大のイメージも刷新しない」と説明した。

 要求書提出と同時に賛同署名も開始。組合員は約250人だが、署名募集の対象は日大、付属校全体の教職員に向けた。報復人事を恐れる教職員に配慮し、無記名賛同も許可した。菊地委員長は「100人以上は集めたい」とし、吉原副委員長は「集まらなかった場合のことは考えない。この問題を受けて、教員が変わらなかったらおかしいですよね」と語気を強めた。

 組織改革も要求した。職員採用において保健体育審議会出身者の優遇など、不透明な仕組みを改めること、同審議会下の運動部の監督、部長を常務理事・理事に登用することや、兼任を禁止することなどを求めた。

 田中理事長の辞任も含めた実行期限を1カ月後の6月30日と定めた。菊地委員長はこうも言った。「首を替えただけで、現幹部と同じ考え方の人が(常務理事などに)就任しては、報復人事も考えられる」とし、徹底した刷新を求めた。期限までに要求が実行されなかった場合、ストライキの可能性はあるか問われると「それも考えたいのは山々だが、ストライキをすれば不利益を被るのは学生。それはできない」と述べた。

 要求書には、内田前監督・井上コーチの会見、大塚学長の会見など一連の対応で「学生を守ることが出来ない、自分たちの保身や組織防衛のためには学生を平気で切り捨ててしまう大学という『負の烙印(らくいん)』が世間から押されてしまった」と厳しく指摘し、日大の信頼が失墜している現状を嘆いた。

https://www.nikkansports.com/sports/news/201805310000528.html