大学「時間講師」の処遇改善をめぐる綱引き

これ、最初に問題を認識したのは2010年のことでした。

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そこから今もってなお、解決というか、成果の獲得に至っていないってことですよ。

大学講師が“教員”になる…退職金・健康保険も保証へ
登録:2018-09-03 22:48 修正:2018-09-04 09:52

制度改善協議会で大学-講師間で単一案合意
刑事処罰など以外では免職・勧告辞職が不可能に
任用単位が延長され、退職金など安全網強化
国会・政府が先に要請…早ければ来年1月施行

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2011年、ある大学講師が教員の地位回復などを要求しテント座り込みを行っている=リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

 劣悪な処遇に置かれてきた大学講師を“教員”として認め、彼らに対する退職金や健康保険を保証するなど、セーフティネットを強化する内容の「大学講師制度改善」に大学と講師が初めて合意した。

 大学と講師代表、教育専門家など12人で構成された「大学講師制度改善協議会」は3日、「高等教育法問題が長期にわたり解決されなかったが、最近5カ月間に18回の議論を重ねた末に、単一案への合意に達した」と明らかにした。「講師法」とも呼ばれる高等教育法改善案の用意に利害当事者が同意を集めただけに、7年余り続いてきた大学講師論議も解決の糸口を見つけることになると見られる。

 まず改善案は、教授・副教授・助教のみを“教員”として認めてきた現行制度に、「講師」を追加することにした。「大学時間講師」などと呼んできた名称も「講師」に統一される。教員の地位を得ることになり、既存の教員と同じように刑事処罰や任用契約に違反しない限りは、任意に免職・勧告辞職されなくなる。任用期間も学期単位ではなく、最短1年以上に変わることになる。無念な懲戒処分や、正当な理由なく再採用を拒否されれば、請願審査も請求できる。不安定な身分のせいで「ふろ敷き講師」と呼ばれてきたが、最小限の雇用安定性を保証されることになった。

 勤労条件、賃金・福祉処遇もはるかに良くなる。まず週当りの責任講義時間が原則的に6時間以上はできなくなる。学校長が特に必要と認める場合にのみ、最大で9時間まで授業が可能だ。休み期間中に授業をしなくとも、既存教員とおなじく一定水準の賃金を支給し、3カ月以上勤めた講師は職域健康保険を適用する方案も盛り込まれた。学校を辞めた後には、講義期間と関係なく退職金を受け取ることになる。改善案は、さらに大学、政府、講師が共同で基金を出捐し「大学講師退職共済制度」を運営するよう法・制度の準備が必要という意見も出した。

 大学講師問題は、2010年に朝鮮大学で時間講師として勤めていたS氏が処遇改善を訴える遺書を残して自ら命を絶ってから本格的に火がついた。翌年国会が改正高等教育法を用意したが、当事者の反発で7年余りの間に4回も施行猶予になり、今年3月に大学と講師側の代表を含む制度改善協議会を中心に単一案合意を模索してきた。協議会は、今回の改善案の内容が反映された高等教育法一部改正案が年内に国会を通過すれば、来年1月から適用されうると見通している。

 韓国非正規教授労働組合はこの日、立場文を出して「講師の処遇改善のための初の単一案で、講師のみならず他の非専任教員にも肯定的影響を及ぼす拡大改善案」とし「国会が早急に法改正と予算配分ができるよう追加的努力をするだろう」と明らかにした。

ホン・ソクチェ記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/860487.html
韓国語原文入力:2018-09-03 17:48 訳J.S

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/31533.html

上の記事にある「朝鮮大学校での講師の自殺事件」については、これらの記事に言及があります。

ハンギョレ・サランバン : ‘透明人間’時間講師の残念な死 二度と起きないように
韓国:教員地位回復のために戦う時間講師(1)

大学講師、41年ぶりに教員の地位取り戻す
登録:2018-11-29 23:15 修正:2018-11-30 12:31

高等教育法一部改正案、29日国会本会議を通過
1年以上の任用保証、夏・冬休み中の賃金・退職金支給
維新政権が若い教育者追い出すために教員地位剥奪
私立大学講師数を減らす姑息な方案論議は続く見込み

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講師労組高麗大学分会が2013年10月28日午後、高麗大学安岩キャンパスの民主広場で時間講師の時間当り賃金の引き上げと授業環境改善などを要求し、テントで座り込みを行っている=リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

 朴正煕(パク・チョンヒ)維新政権当時、教員の地位を剥奪された大学講師が41年ぶりに教員の地位を取り戻した。

 29日、国会本会議で高等教育法一部改正案(講師法)が賛成183人、反対6人、棄権32人で通過した。改正講師法は、講師に教員の地位を付与することを明示した。任用時には大学が公開採用手順を踏むようにし、1年以上の任用と週6時間以下の講義を原則とした。夏・冬休み中の賃金と退職金が支給され、職場の健康保険加入も明示した。

 特に3年まで講師が再採用手続きを踏めるよう保証して、再採用に脱落した場合には請願審査を請求できる権利を与え雇用の安定性を確保した。政府は夏・冬休み中の講師賃金支給と講義力強化のために550億ウォンの予算を申請し、国会予算決算特別委員会の審査を控えている。

 1977年、朴正煕維新政権は批判的な若い教育者が大学に居着くことを阻む目的で講師の教員地位を剥奪した。2010年、朝鮮大学のS講師の死を契機に2011年に講師法が制定されたが、大学と講師双方の反対で4回施行が延期された。今年3月、大学・講師・国会がそれぞれ4人の専門委員を推薦し計12人で構成された大学講師制度改善協議会が構成された。協議会は、6カ月間に18回の会議を行い、劇的に合意案を作り上げ、この合意案を盛り込んで与野党超党派的に法案を発議した。

 法の施行は来年8月からだが、大学が費用増加を口実に講師を大挙解雇することによって授業の質が悪化するような方案を検討中であることが明らかになり、論議が起きている。中央大学は1200人水準の講師を来年までに500人水準に減らし、延世大学は教養授業157科目のうち98科目を廃止し、講師を1400人縮小すると言及している。高麗大学も卒業までに受けなければならない授業を130時間から120時間に減らし、講義を統合し大規模講義に切り替え、講師の採用を抑制する代わりに専任教授、兼任教授、外国人教授の講義比率を高める方案が盛り込まれた対外秘文書が公開され、波紋が生じた。

 この日、漢陽大学の教授53人は「全国の私立大学が進めようとしている時間講師の大量解雇は、学問の生態系を崩壊させ大学と国家の未来を放棄する愚かな行為だ。教授、講師、職員、学生、すべての大学構成員が連帯して講師の大量解雇と教育改悪を阻止しよう」という声明を発表した。「大学公共性強化のための共同対策委員会」は、前日国会前で講師、教授、学生など1738人が署名した宣言文を発表し「今回の講師法は、大学を名実共に学問再生産の基盤として再興するのに必要な最小限の費用、時間講師の生存権保証だけを要求したのに、大学はこれを拒否している」として「法が趣旨のとおりちゃんと施行されるよう、政府と政界が徹底的に監視してほしい」と求めた。

キム・ジフン記者

http://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/872415.html
韓国語原文入力:2018-11-29 20:05 訳J.S

http://japan.hani.co.kr/arti/culture/32243.html

被雇用者の処遇を「改善」すれば、人件費が膨らむ。その人件費を抑えようとして、被雇用人数を減らすなりなんなりの策を講じる。労働者と経営者との立場は原理的に対立するものなので、そこをどう調整するかがカギになります。大学に自ら歩み寄るように直接呼び掛けることはもちろん必要ですが、歩み寄らざるを得ないような縛りを機能させることの方がもっと重要です。具体的には、彼ら講師の生活権をめぐる世論の喚起ですね。

「彼らの苦しみは、私たちの苦しみでもある。」

それが、大学への無形の圧力となり、国会を通じた法整備を後押しするわけですから。

[社説]非常勤講師の切実な叫び、大学は無視するな
登録:2018-12-20 09:48 修正:2018-12-20 10:23

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グラフィック_キム・ジヤ//ハンギョレ新聞社

 「講師法」(改正高等教育法)の国会可決による大学の大量解雇の動きに対抗して、非常勤講師たちがストライキに入った。現在、韓国非正規教授労働組合の釜山大分会だけがストライキを宣言した状態だが、大々的な「構造調整」を準備する大学が多く、ストが複数の大学に広がる可能性も少なくない。すぐにも期末試験や成績処理など学事行政に支障が生じ、学生たちが被害を受けはしないか心配する声が出ている。しかし、身分保障と処遇の改善を期待したのに、逆に生存権の危機に追い込まれた非常勤講師らを責めることではない。

 講師法の主要な内容は、1年以上の任用、休み中の賃金と退職金の支給、職場の健康保険への加入などだ。国立と私立の大学は、来年8月に法が施行されれば年間3500億ウォン(約350億円)の追加費用が発生し、深刻な財政難に直面するとし、講師の大量解雇の不可避性を主張している。しかし、大学は国会、講師代表とともに6カ月にわたって講師法の具体的な内容を調整した「大学講師制度改善協議会」の当事者であった。無理に法案に同意させられたのではないため、最初から大量解雇を念頭に置いていたのではないかという疑念を抱かせる内容だ。

 講師法の施行による大学の追加費用と財政状態も綿密に追及する必要がある。国会と大学、非常勤講師側が推定する追加費用はまちまちだ。非正規教授労組は、大学の推計がすでに支給されている雇用保険料、労災保険料を重複計算するなど、2倍前後に水増しされていると主張する。大学の積立金総額が7兆ウォン(約7千億円)を超え、翌年に繰り越される未使用予算も6600億ウォン(約660億円)にものぼるなど、財政状態も悪くないと指摘する。にもかかわらず、国立大学や主な私立大学など財政的に余裕のある大学ほど、講師解雇の動きが活発なのは大きな問題だ。

 講師の大量解雇が大学教育の質を下げるだろうという懸念も持ち上がっている。各大学は、非常勤講師の数を減らすため、講義科目を統廃合したり教養科目を大幅に減らす代わりに、専任教授の講義時限数やサイバー講義を大幅に増やす案を推進しているという。学生の教育権を深刻に侵害することだ。非常勤講師らは大学の講義の70%を担当しながらも、学者や生活者として最低限の待遇も受けられなかった。大学は講師法の合意の精神を尊重し、教育機関として本来の使命に立ち返ることを望む。

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/875088.html
韓国語原文入力:2018-12-19 19:01 訳M.C

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/32397.html