山口県周南市の高校生自殺事件をめぐって

報告書が出たのを受けて報道がありましたから、それを見ていたのですが。

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命を絶った高校生がそれまでに見たこと、考えたことは、想像するほかありません。が、その彼の目の前にいた人たちが見たこと、考えたことは、証言を通して知ることができるはずです。「それがいじめだったか」というのは、話を先に進めるためには必要な論点ですが、「あなたたちが何を見て、何を考えたのか」というその部分を知り、共有することはできないものでしょうか。

というのも、私には、教職員の言動や行動が、どうしても理解できないのです。なんでそんなことをしたのか、ぜんぜんわからん。

そこで何があったのか、何を考えて何をしたのか。そこがわからないと、再発防止に向けた行動も何もないのではないですか?

「オマエの荷物全部池に捨てる」 高2自殺でいじめ認定
井上怜、棚橋咲月 2019年2月5日16時01分

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山口県の村岡嗣政知事(左)に報告書を手渡す、県いじめ調査検証委員会の堂野佐俊委員長=2019年2月5日、山口県

 山口県周南市で2016年、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺し、いじめの有無を調べていた調査検証委員会は5日、報告書を公表した。LINEメッセージによる仲間外れなど、いじめがあったと認定し、自殺に影響があったと結論づけた。

 男子生徒は16年7月の未明、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。スマホに「オマエの荷物全部池に捨てる」「顧問に退部届けもらって」というメッセージが残っていた。

 報告書などによると、テニス部に所属していた男子生徒は同月、野球部顧問に「助っ人」を頼まれて入部。テニス部の練習に十分参加できず、部のLINEグループから強制的に退会させられ、部室の荷物引き取りを求められた。

 検証委はLINEの強制退会について「つながりを重視する現代の高校生にとって残酷な行為の一つ」として、いじめと認定した。

 検証委は教職員らの聞き取りを実施。別の生徒から身体的特徴を揶揄(やゆ)したあだ名をつけられ、リボンを頭に付けられてスマホで撮影されるなど計18項目のいじめを認定した。教職員も野球部の雑用を押しつけるなど「いじめに類する行為」があったと指摘した。

 そのうえで「教職員による十分な配慮と対応があれば、自死は防げた可能性があった」と指摘した。

 県教委は16年8月に第三者委を設置し、17年11月に「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」とする報告書を公表。遺族が再調査を求め、検証委が調べていた。(井上怜、棚橋咲月)

男子生徒のLINEに残された主なメッセージ
(テニス部員から)

「部室にあるオマエの荷物全部池に捨てる」

「顧問に退部届けもらって」

「さよなら」

「しねや」

(亡くなる直前、友人と)

「たすけて」

「野球部には行かんって野球部顧問にいっとって」

「なんか俺もう無理やわ」

「なにが?」(友人)

「いろいろ」

「俺もう無理かも」

「どうしたん」(別の友人)

※報告書と遺族への取材から

男子生徒の自殺をめぐる主な経緯

2016年7月 山口県周南市で県立高校2年の男子生徒(当時17)が列車にはねられ死亡

     8月 県いじめ問題調査委員会が調査開始

  17年8月 男子生徒の遺族が調査委にいじめと自殺の因果関係を明確に盛り込むよう求める意見書を提出

    11月 調査委が報告書を公表。「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」と結論

    12月 遺族が県に再調査申し入れ

  18年2月 調査検証委員会が初会合

  19年2月 検証委が調査報告書を公表

◆調査検証委員会の報告書の骨子

・「仲間はずれ」など、学校生活での多くの要因が複雑に絡み合い相乗的に作用したことが自死に大きく影響した

・雑用の押し付けや、全校生徒の前で名前を呼び周囲が笑うなど5項目で教職員からの「いじめに類する行為」があった

・女子生徒の制服のリボンを頭に付けられてスマホで撮影されるなど18項目を「いじめ」と認定

・教職員による十分な配慮と対応があれば、自死は防げた可能性があった

https://digital.asahi.com/articles/ASM247KCZM24TZNB01M.html

遺族・教育長コメント全文
02月05日 21時53分

今回の報告書について男子生徒の遺族と県教育長は次のようにコメントしています。

【男子生徒遺族】
再調査が始まって約1年。
ようやく声が届きました。
いじめの認定に消極的だった前回調査では、具体的ないじめの件数すら示されませんでした。
しかも県教育委員会の調査は「いじめ」を「いじり」と言い換え、被害の深刻さから目を背けました。
しかし、今回の再調査を通じて「いじり」は「いじめ」であると明確に認定されたほか、いじめ加害行為が計18件認定されるに至りました。
真相究明に向けた大きな前進であると評価しています。
さらに、今回の調査で注目されるのは「教員によるいじめ」5件が認定されたことです。
いじめ防止対策推進法の規定に照らし、被害者の目線に立って、教員の態度、言動、振る舞いに、厳しい目を向けるものであると、評価しています。
他方で、いじめを防止すべき教員が、いじめを自ら行い、息子を傷つけていたことには強い憤りを禁じ得ません。
これまで第三者調査委員会が「教員によるいじめ」を認定した事例は全国的にも例がなく、今回の検証委員会の判断は、今後のいじめ防止対策推進法の改正にも影響を与える可能性があると受け止めています。
また、前回調査では、遺族の要望があったにもかかわらず、全く調査されなかったクラブ活動の問題点が明らかにされました。
教員から半ば強引にクラブを転部させられ、過剰な練習メニューを押しつけられたこと、その中で、急速に疲弊し、追い詰められていったことなど、不適切な部活動のあり方が浮き彫りになりました。
こういった教員や生徒による計23件のいじめ、不適切な部活の運営、教員の配慮不足といった学校生活上の問題が折り重なる中、息子は追い詰められ、そして自死に及んでしまった。
そのことが、再調査を通じて明らかになりました。
さらに、検証委員会は、前回調査が触れようとしなかった「学校の責任」についても明確な判断を示しました。
いじめ対策を実施し、適切な部活動の運営が行われ、教員が生徒に対する配慮と対応を尽くしていれば、自死は防ぐことができた。
このように結論づけられました。
再調査を通じて、学校の責任が明確に認定されたことは高く評価されるべきであると、私たちは考えています。
そして、学校と教員は、この結論を重く受け止めてほしいと願っています。
今回の再調査では、検証委員会として関係者への幅広い聞き取りとアンケート調査、加えて資料の収集が綿密に行われました。
このような徹底した取り組みが、県教育委員会の調査で、なぜ実現できなかったのか、残念でなりません。
今回の再調査は、前回の調査結果を大きく覆し、その調査のあり方と結論に鋭い疑問を突きつける内容となりました。
なぜ、前回調査で真相究明を図ることができなかったのか、なぜ結論が覆されたのか、県教委は自ら、これまでの取り組みを見つめ直し、どこに、どのような問題点があったのか、そして、どのように改めていくか、こういった課題に正面から向き合い、信頼回復に努めてほしいと思います。
最後になりましたが、これまで精力的に再調査に取り組まれた検証委員会の皆さん。
そして事務局の皆さんに、この場を借りて深い感謝の意を表したいと思います。

【県教育委員会の浅原司教育長】
はじめに、亡くなられたご本人のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に、心からお悔やみを申し上げます。
本日、知事から山口県いじめ調査検証委員会の調査報告書を受け取りました。
改めまして、生徒の自死を防げなかったことについて、心からお詫びを申し上げます。
教育委員会といたしましては、本報告書を厳粛に受け止めるとともに、今後、その内容を十分に踏まえ、こうした痛ましい事案が2度と起こらないよう、全力で取り組んでまいります。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/20190205/4060002040.html

教員によるいじめに「最も怒り」 高2自殺、両親が会見
棚橋咲月、藤牧幸一 2019年2月6日12時54分

 山口県周南市で2016年、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺したのは、いじめが主な要因だったとする県の調査検証委員会の報告書が公表されたのを受け、男子生徒の両親が6日会見した。父親は「学校の対応がきちんとしていれば息子は亡くならずにすんだ。報告書を重く受け止めて」と訴えた。

 男子生徒は16年7月、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。いじめの有無を調べていた県の調査検証委員会は、LINEメッセージによる仲間はずれなどのいじめや、教職員によるいじめに類する行為があったと認定し、自殺の主要な要因になったと結論づけた。

 会見に臨んだ父親は時折声を震わせながら、「最も驚き、怒りを感じたのは教員によるいじめ。子どもたちへの接し方をいま一度問い直してほしい」と要望した。母親は「報告書が出て終わりではない。再発防止に向けてどう行動に移していただけるか見つめていきたい」と話した。(棚橋咲月、藤牧幸一)

https://www.asahi.com/articles/ASM263K7KM26TZNB004.html

「不必要に名前連呼」教職員もいじめ類似行為 高2自殺
棚橋咲月、藤牧幸一 2019年2月7日07時37分

 山口県周南市の県立高校2年男子生徒(当時17)の自殺について、いじめが主な要因と認定した県の調査検証委員会の報告書が公表され、生徒の両親が6日会見した。教職員のいじめに類する行為も認定され、父親は「報告書を重く受け止めてほしい」と訴えた。

 男子生徒は2016年7月、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。検証委は、LINEメッセージによる仲間外れなど18項目のいじめを認定したほか、教職員のいじめに類する行為を5項目指摘した。

 具体的には、①全校生徒の前で名前を呼ぶ②部活動の雑用押し付け③試験中の話しかけ④対応に困るようなことを言う⑤不必要に名前を連呼する――が、生徒のストレス要因になったと結論づけた。

 父親は「最も驚き、怒りを感じたのは教員によるいじめ。責任を重く受け止めてほしい」と述べ、時折声を震わせた。「学校の対応がきちんとしていれば息子は亡くならずにすんだ」と訴えた。母親は「報告書が出て終わりではない。こういう事実があったということを教員一人ひとりにきちんと伝えてもらいたい」と話した。(棚橋咲月、藤牧幸一)

https://www.asahi.com/articles/ASM264DRMM26TZNB00X.html