こちらのさらに続きです。
blue-black-osaka.hatenablog.com
前の記事で見た境内の案内図には見えませんが、この徳島県護国神社の境内に、戦没者記念館があります。平成26年開館というだけあって、境内でもここはひときわ新しさを感じます。
訪問時には特段の予備知識を持たずにいたのですが、ここは護国神社ではなく、徳島県遺族会が主体となって開設されています。徳島県遺族会のサイトへは、徳島県護国神社サイトから飛ぶことができます。
「徳島県戦没者記念館-あしたへ-」 ※入館料:無料 休館日:年末のみ
日頃は、徳島県遺族会の運営、事業に対しまして格別のご理解、ご支援賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、本県遺族会は、戦没者の顕彰と悲惨な戦争・平和の大切さを語り継いでいくための施設「徳島県戦没者記念館-あしたへ-」を、ご遺族各位はじめ、県内外の各種機関・団体・施設等、そして工事関係者のご理解とご協力をいただき、徳島県護国神社のご配慮により境内地に、10月5日開館いたしました。
当記念館には、ご遺族からご提供いただいた7千4百柱を超える徳島県出身戦没者の肖像写真・ご芳名、数多くの貴重な遺品を展示するとともに、肖像写真の検索ができるパソコンシステムも導入いたしております。
また、館内壁面のパネルでは、「対米開戦と戦時中の暮らし」、「戦時中の徳島」、「戦後日本と遺族の歩み」に大きく区分し、戦前、戦中、戦後の歴史をまとめた「年表」、さらには先の大戦の空爆被災地に関する「地図」「写真」等も展示いたしました。
開館後は、戦争体験を語り継いでいく取組を行っている県内団体の皆様とも連携をとりながら、毎月1回、第2土曜日に「語り部」による体験談発表を行っていただきます。
なお、お話しいただいた体験談は録画保存し、来館なさった方が、いつでも録画された「語り部」の体験談を視聴できるようにいたしております。
老若男女を問わず広く県民の方々にお使いいただける、また、小中学生をはじめとする多くの若人にもご来館いただきたく思っております。
皆様方のご来館をお待ちしております。
http://izokukai.jp/memorial.html
平成26年10月吉日
一般財団法人徳島県遺族会会長 増矢稔
で、その記念館のなかの展示なのですが、基本的に遺品とパネルの展示、そして戦没者の遺影からなっています。遺品や遺影は他の護国神社の展示施設でも見られるものですが、ここのパネル展示は、他で見るものとはどうも違っています。
一言で言うと「護国神社っぽくない」んです。遊就館をはじめ、それ系の施設では拭い難く残る「戦争の正当化」への志向と試みは、ここでは見ることができません。「事実を伝える」ことを展示の目的とし、そのために「経験者の経験を記録する」というだけでなく、歴史学分野の研究成果も取り入れて、展示が構成されています。
出るところに出れば、ごく普通の内容と言われるかもしれませんけど、それが護国神社境内の遺族会が設立運営する記念館にあることは、正直かなり特異であると思います。
最初は誰が研究者が主導して展示を構成したのかとも思ったのですが、どうやらそうではなく、遺族会が主導的に資料を集め、内容を検討して、作成したもののようです。一つ一つのパネルから、丁寧に作りこまれていることが伝わってきます。
徳島市の中心地からはちょっと不便な場所ではあるのですが、見学するだけの価値はあるところです。
いや実際、ここから帰るのにはえらく難儀しましたよ。最終的にはタクシーを呼んで来てもらいました。