高校生の就職希望の増加

このコロナ禍で遠隔授業が続く大学に見切りをつけて…というよりは、もっと深刻な「家計の悪化」が前面に出てきています。

問題は、大学だけでなく就活にも、コロナの影響は深刻に出てきていることです。永遠に続くわけではないコロナ禍を前に何を選ぶか、すごく難しい選択です。

コロナで進学断念、増える就職希望 高校生に不安広がる
土屋亮 2020年10月7日 23時49分

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夏に開かれた高校生対象の合同企業説明会。参加者は各企業の説明を熱心に聞いていた=2020年7月8日、横浜市、土屋亮撮影

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高校新卒者の求人・求職状況の推移

 コロナ禍が高校生の就職活動を揺さぶっている。休校が長引いたため、今年は採用選考の開始が例年より1カ月遅い今月16日に後ろ倒しになった。観光や飲食業を中心に求人数が急減する一方、家計の悪化で急きょ進学から就職に切り替える生徒も少なくない。春から就活に臨んだ大学生は選考の中断やオンライン化に振り回されたが、高校生にも不安が広がる。

 「コロナで家計が苦しくなり、進学から切り替える子が目立っている」

 千葉県立松戸南高校の職業指導主任、今村達教諭はそう話す。例年、卒業生の4分の1にあたる約50人が就職を希望していたが、今年は70人に増えたという。

 高卒求人は売り手市場が続いてきた。リーマン・ショックで落ち込んだ後、求人倍率は2012年から9年連続で前年を上回り、今年3月卒は2・52倍だった。少子化で子どもの数が減るなか、製造業などを中心に現場で働く若い人材を希望する企業は多かった。

 しかし、コロナ禍で就職市場は変調を来している。厚生労働省によると、7月末現在で高校新卒者の求人数は前年より24・3%減り、求人倍率は0・44ポイント減の2・08倍になった。どの業種も減少しているが、特に宿泊・飲食サービス業は減少幅が大きく、求人数は前年の半分にとどまる。

 求人倍率が1倍を切っていたリーマン・ショック後に比べれば、まだ高水準にみえるが、求人を出した後に取り消す会社も目立ち、選択肢が狭まっているのは間違いない。首都圏の高校の就職担当教諭は生徒に広がる不安を感じ取っている。「こういう時期はブラック企業に引っかかりがちだ。注視して指導したい」

 進学から就職に進路を変更した生徒が多い普通科総合学科では、準備に追われている。東京都立葛飾総合高校で進路指導を担当する浦部ひとみ主任教諭は例年、夏休みに就職希望者の面接や作文の指導をしてきたが、今年は休みが短く、思うように対応できなかった。「コロナでスケジュールがずれ、学校行事も立て込んで、時間がとりにくい」と言う。

「今就職は不利」

 高校生たちも不安を口にする。横浜市で開かれた合同企業説明会に来ていた相模原市の私立高3年の男子生徒(17)は「今年は希望する企業には採用されにくい気がする」。神奈川県横須賀市の私立高3年の男子生徒(17)も「コロナで不安定な今のタイミングで就職するのは不利。進学に切り替えたほうがいいのか」と不安を口にした。

 何社も並行して選考を受ける大学生と違い、高校生には「1人1社制」の慣行がある。先生と相談しながら1社ずつ受けるケースが大半だ。大学生と違ってオンライン選考は少なく、ほとんどの企業が対面での面接を想定する。選考開始が1カ月ずれ込んだうえに、新型コロナウイルスの感染が再拡大すれば、内定を得る時期が年明け以降になる恐れもある。

 地方経済の落ち込みも深刻な問題だ。主力の観光業が打撃を受けた沖縄の求人倍率は0・83倍と1倍を割り込み、青森や長崎なども1倍台前半と低い。

 高校生の就職支援を手がける企業「ジンジブ」(東京)の佐々木満秀代表は「高校生は地元での就職希望が圧倒的に多いが、今年は特に地方の就職環境が厳しい」と指摘する。(土屋亮)

https://digital.asahi.com/articles/ASNB766RSN9TUTIL01L.html