13時開始予定で、8時過ぎにもうこれですか…。
球場は、この列を折り返した先にあります。
5時間かけて手に入れた100分は、三重県民180万の悲願成就をを紙一重で食い止めて振り切った、大阪桐蔭ナインのものでした。
誰も彼もが、お疲れ様でした。
1点めぐる攻防、両校の堅守が生む 高校野球決勝
荒川公治 2014年8月25日18時22分
三重―大阪桐蔭 7回裏大阪桐蔭2死満塁、中村は中前2点適時打を放つ。捕手中林=諫山卓弥撮影(25日、大阪桐蔭4―3三重)
質の高い守備力を持った同士の決勝。1回、大阪桐蔭の中村のライナーをつかんだ三重の稲葉。4回に中前へ抜けそうなゴロをさばき素早く送球した大阪桐蔭の福田。そのほかの選手にも堅守が見られた。
その中で5回の大阪桐蔭の守り。安打と野選から宇都宮の中前安打で勝ち越されたが、犠打を狙った西岡を一飛。さらに稲葉を右飛に打ち取り1点でしのいだことで、試合の流れを完全に三重に渡すことはなかった。
そして7回、四死球と安打で2死満塁とし、中村が中前へ逆転の2点適時打を放つ。相手のミスから得た勢いを生かした。
大阪桐蔭の右腕・福島、三重の左腕・今井もよく投げた。特に6試合目の先発となる今井のスライダーのキレは見事。強打の大阪桐蔭に連打を許さなかった。1点の攻防を巡る見どころのある決勝だった。(荒川公治)
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▼大阪勢は三重勢に3戦3勝 大阪勢と三重勢の対戦は、63回大会(1981年)の1回戦で北陽が海星に7―3で勝って以来、3度目。全て大阪勢が勝利。
▼大阪勢は決勝で12勝5敗 大阪桐蔭は決勝で4戦全勝。同じ優勝4回のPL学園は4勝3敗。
冷静にスクイズ外し 大阪桐蔭、接戦制す底力 高校野球
山口史朗 2014年8月25日19時14分
三重―大阪桐蔭 7回表三重1死三塁、宇都宮はスクイズをはずされ、この後三塁走者は三本間でタッチアウト。投手福島、捕手横井=諫山卓弥撮影(25日、大阪桐蔭4―3三重)
紙一重だった。
中前へふらふらと上がる打球。打った大阪桐蔭の中村は、猛然と突っ込んでくる三重の中堅手長野を見て思った。「やばいな」
7回2死満塁。だが、打球は予想以上に詰まっていた。飛び込んだグラブの下、白球が芝生で弾む。「あと一歩。悔しい」。長野は歯を食いしばった。
野球には試合を左右する「流れ」がある。直前の守り。大阪桐蔭は高度なプレーでそれを引き寄せていた。1死三塁、1ボール。準決勝で、三重はこのカウントからスクイズを仕掛けている。「どこかで、ある」。バッテリーは冷静だった。
サインは外角のカットボール。だが、走者のスタート、打者の構えを見て、福島は打者の遠くへ大きく外す。スクイズ失敗。走者を刺し、「次の1点」を許さない。これが、中村の逆転打につながった。
5季連続の甲子園出場がなくなった今春。過去2年は選抜に向けた練習試合を重ねた3月に、大阪桐蔭は「野球の勉強」をしていた。
無死走者なしから、2死満塁まで。あらゆる場面を想定したノックを受け、起こりうるプレーを頭にたたき込んだ。当然、スクイズも。福島は言った。「とっさに体が動きました」
桑田、清原を擁したPL学園(1983〜85年)以来となる、3年連続大阪代表。甲子園の6試合で逆転勝ちが4度、安打数で相手を上回ったのは2試合だけだった。
「接戦をものにできたのは、チーム全体の力です」と中村。圧倒的な力はなくとも、21世紀の大阪王者には、紙一重の勝負を制する強さがあった。(山口史朗)
○西谷監督(大) 「近畿地方でやっているのにスタンドがアウェーの状態で非常に厳しかった。みんなが抱き合って泣いているのを見ていいチームになったな、と。もっと早く気づいてあげればよかった」
○福田(大) 2回は右前適時打、7回は好機を広げる中前安打を放った2年生。「来年、全員で優勝旗を返しにくるという新しい目標が出来た」
○正随(大) 最後の打者の遊ゴロ送球を体をいっぱいに伸ばして好捕した一塁手。「しっかり守るのが大阪桐蔭のスタイル。それができた」
○香月(大) 3回に同点の中犠飛を放つ。「先制されてちょっと焦ったけれど、自分たちのやってきたことに自信をもってやった。うれしいです」