この週末はいくつか博物館を回ってきたのだが。
これが意外なほど面白かったのである。
規模としてはどちらもそれほど大したことはない。ソウル歴史博物館は現在改装を進めつつの展示であるし、鉄道博物館は大阪の交通科学館を思わせるくたびれぶりである。屋外展示している車両の保存状況もあまりよくない。
それでも、春のような陽気の週末でもあったせいか、どちらも子供連れの団体や親子連れが目立ち、なかなか活気があった。
当たり前といえば当たり前の話なのだが、人は逃げることができても、都市や線路は逃げることができない。併合されようが、敵が攻めて来ようが、ソウルはそこにあるし、朝鮮半島の鉄道はそこにある。
とすれば、ソウルの歴史・朝鮮半島の鉄道の歴史を描こうとすれば、臨時政府や光復軍によって根拠付けられる〈正統なる歴史〉とは一味違った〈歴史〉が、そこに姿を現すことになる。
両博物館とも、最初に私が予想していたよりもはるかに堂々と、そのあたりを描いているように見えた。
それはあるいは、国内随一の都城としての、また使命を担う鉄道人としての、プライドがなせる業であるのかも知れない。
このような歴史をどのように扱っていくのか。これは案外、この国の未来に少なからぬ影響を与えていくかも…と、子どもたちの歓声を聞きながら、想像を巡らせたのである。
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