ドラマに地方色がないのは結果に過ぎない。

韓国ドラマの「地方色のなさ」を指摘したこのコラム。韓国では当たり前すぎてあまり指摘されないところを取り上げた、なかなかいい文章です。

おそらくそれはドラマそのものに責を負わせることはできないことで、ドラマの製作現場や出来上がってくる作品自体が「韓国社会の鏡」なのだと思います。

記事入力 : 2010/10/24 05:40:24
【コラム】地方色がない韓国ドラマ(上)

 SBSテレビで放送中のドラマ『人生は美しい』は、同性愛を扱って論議を呼んでいる。だが、同ドラマの本物の主人公は済州島ではないかと思う。ドラマに登場する済州島の風景は、胸がときめくほど美しい。海外の有名観光地にも劣らぬほどきれいで品があり、実に素敵だ。

 地方が登場するドラマは多い。だが、主人公たちは就職や進学でソウルに出ていくため、地方は思い出の故郷として扱われるにすぎない。さらに地方は、よりよい成功を収めるために離れなければならない場所、ともすれば人生における「足かせ」のように描かれる場合もある。だが、『人生は美しい』の登場人物にとって済州島は、夢と希望に満ちた生活の舞台だ。リゾート会社の役員をはじめ、ダイバー、医師、料理研究家、ペンションのオーナー、食堂の主人など、ソウルを舞台にしたドラマに負けず劣らず多種多様な職業が登場する。

 「ドラマ王国」と言われるほど韓国には数多くのドラマがあふれているが、こうした「地方中心型」のドラマは極めて少ない。地方をドラマの舞台にするのは容易なことではないからだ。出演者や制作スタッフがソウルに居住しているため、地方での撮影は時間や制作費の面でも不利となる。ソウルを中心と考える脚本家やテレビ局にとっても、勇気のいることだ。地方は、時代劇の舞台としては頻繁に使われるが、これがむしろ地方にとって負担になる場合もある。テレビ局は時代劇の撮影に臨む際、地方自治体から数十億ウォン(数億円)もの制作費補助を受け、ドラマの撮影所を作る。地方自治体は観光客の増加に大きな期待を寄せるが、人気が冷めると多くの撮影所は廃墟と化してしまう。撮影のために建てられた即席の建物であるため、維持・補修費もばかにならず、すぐに季節外れの海辺のように荒れ果てた場所に変わる。

http://www.chosunonline.com/news/20101024000014

記事入力 : 2010/10/24 05:40:28
【コラム】地方色がない韓国ドラマ(下)

 これに比べ、「あるがままの風景」は、巨額の制作費を費やしても作ることができない偉大な撮影所だ。韓国ドラマ『IRIS−アイリス−』の撮影が行われ、その美しさが評判になった日本の秋田県には、今や日本人だけでなく韓国人観光客も押し寄せるようになった。また、中国映画『狙った恋の落とし方。』(原題:『非誠勿擾』)に登場した北海道は、中国人観光客でにぎわっている。春川や南怡島が、日本人女性にとって欠かせない観光コースとなったのも、ドラマ『冬のソナタ』のおかげだ。これらの地域に観光客が集まるのは、テーマパーク型の撮影所ではなく、あるがままの自然と人間が魅力を与えてくれるからなのだ。

 公営放送までも朝からドロドロした愛憎劇を放映する韓国とは異なり、日本では、公共放送NHKの朝のドラマは、ほとんどが地方や伝統の価値を前面に押し出している。現在放送されているNHKの朝の連続テレビ小説は、大阪と広島を舞台に、少女が郷土料理の店を開店するまでの過程を描いたものだ。1961年にスタートしたNHK連続テレビ小説は、漁業や旅館、花火、庭園など、一貫して伝統文化に関連する素材を扱っている。また、北海道から沖縄まで、日本全国の都道府県がまんべんなく撮影地として登場した。ドラマは、その地域の風景や伝統文化を自然な形で全国民に紹介する役目を担っている。刺激的な商業ドラマが人気を集める日本で、NHKが伝統や地方という素材にこだわるのは、NHKが公共放送だからだ。刺激的な内容ではないが、NHK連続テレビ小説は人気が高い。ドラマの舞台となった地域では観光客が急増し、地方自治体がドラマの招致合戦を繰り広げることも多い。韓国でも、地方のプライドを高め、発展に貢献するような良質のドラマが増えてほしいものだ。

車学峯(チャ・ハクボン)記者(次長待遇)

http://www.chosunonline.com/news/20101024000015

実際問題として、釜山ですらこういう騒動の現場になってしまうのが、韓国の実態なわけです。「地方の時代」が韓国にやってくるためには、人々の常識そのものが変わっていく必要があるでしょう。その過程でドラマは一定の役割を果たすかも知れませんが、それだけでどうにかなるほど容易いことでもないはずです。

記事入力 : 2010/10/24 06:27:30
KRXのソウル志向に釜山市民が怒りの声

 釜山に本社を置く韓国取引所(KRX)が釜山市民の怒りを買っています。KRXは釜山のためにさまざまな社会貢献プログラムを打ち出していますが、約束した主な事業に背を向けているからです。国政監査のシーズンを迎え、釜山地域の国会議員らの攻勢が強まることが予想されるため、KRXの悩みは深まるばかりです。

 発端は2003年にさかのぼります。政府は当時、ソウルにある証券取引所と釜山にある先物取引所を統合し、釜山にKRXを設立しました。釜山を金融ハブに育成し、国土の均衡発展を実現するのが目的でした。この際にした約束の一つが、先物研究院と先物研修院を釜山に設立することでした。しかし最近、先物研究院の設立が中止され、釜山の市民団体と学会が反発しています。さらに、派生商品の送受信設備をソウルだけに設置し、運営していることも、釜山市民のプライドを傷つけました。

 これに対してKRXは、それ相応の事情があると反論しています。それによると、先物研究院の業務が金融投資協会傘下の資本市場研究院の業務と重複することから、別途法人を設立するのではなく、資本市場研究院の支部形態にするのが効率的だといいます。そして先物研究院の代わりに、派生商品R&D(研究開発)センター設立案を打ち出しました。さらに派生商品関連の電算設備については、加盟企業の9割以上がソウルにあるため、釜山よりもソウルに設置した方が効率的だといいます。

 しかし、釜山市民の怒りは収まる気配を見せていません。KRXは本社を釜山に置いているにもかかわらず、ソウル志向が強いからです。実際に、理事長をはじめ役員らは主要業務をソウルで行っています。金融監督院や国会など、主要機関がソウルにあるからです。さらにKRXが公共機関に指定され、政府の顔色を見なければならないことも多くなりました。昨年、金融の中心地に指定され、金融ハブに成長することに夢を膨らませていた釜山市からすれば、KRXの姿勢は釈然としません。そのため、せめて約束したことだけでも守ってほしいとし、不満を訴えているのでしょう。釜山市の関係者は、「新理事長の就任後、KRXの運営が非常にソウル寄りになった」と話しました。

 KRXは、釜山に本社を置く数少ない機関の一つです。KRXが釜山を代表する機関となるためには、業務の効率を高め、釜山市民の気持ちを推し量る知恵が必要ではないでしょうか。

ソン・ヒドン朝鮮経済i記者

http://www.chosunonline.com/news/20101024000024