笑えない喜劇

現場見てれば始める前からこうなるのは分かりそうなものですが、雲の上の方々はしばしばその声に耳を貸さないものです。

英語を最優先の物差しにするということは、一般の韓国人学生*1を初期設定の段階で劣位に置くということでもあります。その上で、ここに報告されているような実態を踏まえて、どうするのがいちばんいいんでしょうかね?

英語公用語化について (内田樹の研究室)

記事入力 : 2011/03/06 12:12:25
揺れる大学の英語講義、その実態とは(上)
教授は英語で講義しているというが…「内容が理解できない」 外国人学生たちからも不満
名ばかりの英語講義:科目だけ開設、講義は韓国語で
実績のための英語講義:漢文学の講義を「英語でやれ」とは
なぜこのようなことが…:国際化競争の過熱化が中身の伴わない講義を招く

 ソウルの有名私立大学社会科学系学部4年生のパクさんは、昨年英語で行われる授業を履修したが、全く理解できなかった。教授が話す英語が、韓国の方言混じりのイントネーションだったためだ。講義の進め方も、教授が学生たちの顔を見ながら行うのではなく、あらかじめ準備した資料を読む形式だった。

 この授業を受けていた十数人の外国人留学生たちは内容が理解できないとして、教授に対し7、8回ほど質問したが、教授は意味の分からない英語でしどろもどろに答えた。

 パクさんは「このような講義が数カ月間続いたため、外国人学生も後半はあきらめた様子で教科書だけを見ていた」と話す。

 2005年ごろから韓国の大学が、専攻科目を英語で講義する制度を本格的に導入した結果、大学では笑って済まされないような出来事が起こっている。大学側が、英語で講義を行う上で教授や学生たちの準備、実力がまだ不十分だという現実を考慮せず、無理やり英語の講義を開始したためだ。現在、全国200校の4年制大学の多くが英語での講義を実施しているが、まともに行われている講義は指折り数える程度しかない、と教育関係者は口を揃える。

■形だけの英語講義

 ソウルのある大学の工学部では昨年、「名ばかりの英語講義」が学生たちの間で人気を集めた。担当教授は英語での講義を開設したにもかかわらず、実際の授業は韓国語で行われたからだ。現在、大学は英語での専攻科目履修を奨励するため、該当科目については相対評価ではなく絶対評価を許容しており、学生たちの成績もよいという。

 昨年、ある地方の国立大学である教授が専攻科目の講義を英語で行っていたが「もうこれ以上は無理だ。今から韓国語で(授業を)しよう」と言って、韓国語での講義に変更し、話題になった。教授が韓国語で講義を始めたところ、深い内容まで説明するようになり、学生たちも目を見開いて「この先生はこんなに博識だったのか」と驚いたという。

 このため「英語+韓国語折衷型の講義」も登場した。昨年、ソウルのある私立大学社会科学部4年生のチェさんが受けた授業は、50分の授業時間のうち、40分は教授が英語で講義を行い、10分は韓国語で要点整理を行うという形式で進められた。教授の英語能力と学生たちの理解力不足を同時に考慮した苦肉の策だった。しかし、一緒に授業を受けていた外国人留学生たちは、要点整理の時間になるとぼんやり窓の外を眺めるか、授業終了前に荷物をまとめて教室を出ていくしかなかった、とチェさんは話す。

http://www.chosunonline.com/news/20110306000024

記事入力 : 2011/03/06 12:12:29
揺れる大学の英語講義、その実態とは(下)


イラスト=オ・オジン記者

■強引な大学当局

 一方の教授たちは、学生たちの英語能力不足を指摘している。延世大学人文系学部のある教授は「授業中に意思の疎通ができず、講義をまともに進められない。授業が終わってから『先ほどおっしゃったのは、こういう意味ですよね』と質問に来る学生もいる。さらには、試験の日程がいつなのか尋ねてくる学生もいるほどだ」と話した。

 大学当局による「強引な英語講義」に対する批判も少なくない。ソウルのある大学の社会科学科教授はフランスで中国史を専攻し、フランス語と中国語が堪能だが、大学の方針に従い、東洋史の講義を仕方なく英語で行っている。

 この大学の人文系のある教授は「中国の資料などは、韓国語でも表現が難しいという点を考慮せず、機械的に英語講義の原則を適用した結果だ」と指摘した。

 ソウルのある私立大学で4年前、大学本部が漢文学の講義を英語で行うとの指針を発表し、大騒ぎとなった。結局、教授たちが反対したため、この方針は撤回された。

 大学が強引に英語で専攻科目の講義を行うのは、2000年代半ばから大学に「国際化」の波が押し寄せたためだ。外国人教授や外国人留学生の数が増加している中、英語での講義を増やすべきだとして、各大学が「英語講義増進」の実績競争を繰り広げている。

 このため、延世大学高麗大学など主要大学は教授を新規で採用する際、一定以上の単位を英語で講義するという義務を課している。

 ソウル大学工学部のホン・ククソン教授は「科目によっては英語で講義を行うことによって、50%前後の知識しか伝えられないケースもある。可能な分野のみを英語講義を行うよう検討すべきだ」と話した。

 延世大学教育大学院のキム・ウンジュ教授は「国際化時代に英語は避けて通れない必須科目だが、英語講義の割合にこだわるよりも、学生たちが実質的にグローバルな人材として成長できるよう育成する方向で補完策を見出すべきだ」と話した。

卓相勲(タク・サンフン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110306000025

記事入力 : 2011/03/06 12:19:05
【コラム】付け焼き刃の英語講義(上)

 大学で専攻科目の講義を英語で行うようにとの指針が出され、無理やり英語による講義を開始したところ、コメディのような事態が続出してるという。ある新聞放送学科の教授は、韓国語の新聞記事の作成法を英語で教えた。また、ある史学科の教授はフランスで中国史を専攻したのに、大学の方針により東洋史を英語で教えている。いくつかの大学では、韓国史国語国文学科にまで英語での講義を開設するよう求めている。

 ソウル市内のある大学の社会事業学科は、今まで10%程度だった英語講義の割合を、今年3月の新学期から30%に引き上げるようにとの学校側の要求に従い、2カ月にわたり新たなカリキュラムを組むために苦労した。5人の教授のうち2人が英語講義を担当し、外部講師の講義のうち4科目を英語で行うことにして、なんとか30%まで引き上げた。新学期を目前に、多くの大学でこうした事態が起きたという。

 韓国の大学が競うように英語講義を導入し始めたのは5、6年前からで、国際化時代にふさわしい人材を育てるという名目で始まった。しかしその実情は、英語講義の割合を高め、大学評価の国際化指数で高い点数を得るためという側面がより大きい。大学によっては、英語講義の割合の目標値を50%に設定しているところもある。英語で行う講義は、履修登録をした学生が2、3人しかいないというケースも多い。大学は通常、受講生が5人未満の場合には開講を中止するが、英語で行う講義は例外としている。

 グローバル時代が叫ばれる中、学生の英語力向上と大学の国際化はもちろん重要だ。しかし、専攻科目の特性や教授の(英語での)講義能力、学生の理解力を考慮せず、付け焼き刃の英語講義を増やすことで、英語よりもさらに重要なものを失う可能性もある。

http://www.chosunonline.com/news/20110306000026

記事入力 : 2011/03/06 12:19:09
【コラム】付け焼き刃の英語講義(下)

 昨年、西江大学が学生を対象に英語講義の満足度を調査した結果、「満足だ」という回答は27.4%にとどまった。延世大学のキム・ウンジュ教授は最近、高校での英語の内申成績がトップクラスで、修能(大学修学能力検定試験、日本のセンター試験に相当)の英語で満点を取った学生に、専攻科目を英語で講義することについて尋ねてみた。すると大部分の学生が「内容を半分も理解できず、深い挫折を感じた」と答えたという。

 大事なのは、英語で講義するか否かよりも、どうすれば充実したレベルの高い講義ができるかだ。韓国語でも説明が難しい内容を英語で講義すれば、わかりきった常識的なレベルにとどまる可能性が高い。本当に教えなければならない重要で複雑な内容は飛ばし、聞いても聞かなくても影響のない内容ばかりを伝えることになる。学生たちと踏み込んだ討論を行うのも難しい。中には、1時間の講義の間ずっと「You know?(えーと)」だけを繰り返す教授もいるという。ソウル大学社会学部のある教授は、授業の半分は英語で行い、残りの時間は韓国語で内容を確認する。(大学では)一つでも多くのことを教え学ぶべきなのに、いつまでこのようなことが続くのだろうか。

 英語講義は必要な分野で、準備ができている教授から始めるべきだ。国際ビジネスや国際政治のような分野は、優先的に英語講義が必要だろう。英語講義は、英語力に自信があり学生にも認められている教授に任せるべきだ。そして、そのような教授は厳格な審査を通じて選び、それ相応の報酬を与えるべきだ。英語が必要ならば、英語と全く関係ない科目を巻き添えにするのではなく、英語力を集中的に伸ばすための機関を大学内に設置するという方法もあるはずだ。全ての学生に受講を義務付け、一定の点数以上取らなければ卒業できないようにする。英語は必要だが、そのために講義が犠牲となってはいけない。

金泰翼(キム・テイク)論説委員

http://www.chosunonline.com/news/20110306000027


ま、個人的には完全に蚊帳の外で眺めるのみの騒ぎですから、どうなろうと知ったこっちゃないですけど。

*1:教員も、ですが。