韓国の大学関連

この手のランキングは、これ自体で一喜一憂してもあまり意味はないのですが、まったく意味がないわけではなく、ある程度は世間的な「格」がこういうので決まってきます。

こういう記事では日韓の大学ばかりに注目しがちですけど、香港やシンガポールの大学の評価の高さにも、もっと注目してもいいと思うんですけどね*1

記事入力 : 2011/05/29 07:34:52
アジア大学評価:1位は香港科学技術大

韓国の大学が軒並み上昇
ソウル大6位、KAIST11位、ポステック12位
成均館大、慶熙大、中央大などが「躍進」

 韓国の上位圏大学が、論文発表や卒業生の評判度などで高得点を獲得し、国際評価の順位が上昇した。

 本紙が、世界的な大学評価機関であるイギリスのクアクアレリ・シモンズ(QS)と共同で実施した「2011年アジア大学評価」で、ソウル大学がアジア6位(韓国国内1位)、KAIST(韓国科学技術院)とポステック(旧・浦項工科大学)がそれぞれ11位(国内2位)、12位(国内3位)となった。KAISTとポステックは、昨年よりも2位ずつアジアでの順位が上昇した。

 延世大学は18位で昨年より1ランク上昇、高麗大学は26位で昨年より3ランク上昇し、成均館大は27位で昨年より16ランク上昇した。慶熙大は昨年より20ランク上昇し42位に浮上した。漢陽大(アジア44位)、梨花女子大(アジア45位)も、それぞれ5ランクと3ランクずつ順位を上げた。中央大は昨年よりもアジアでの順位が36ランク上昇して93位となり、100位圏内に浮上した。

 アジア全体の1位は香港科学技術大で、香港大、シンガポール国立大(NUS)、東京大が2、3、4位を占めた。

 本紙とQS社が09年から実施している「アジア大学評価」は、アジアの大学を対象とした唯一の国際評価として、今年は14カ国・地域(香港は別途地域として区分)437校の大学を評価した。評価は▲研究能力60%▲教育水準20%▲卒業生の評判10%▲グローバル化10%−の四つの分野を点数化し、順位を出した。

 海外の研究者らが参加する「学界評価(研究能力の項目に含む)」で、昨年よりも高い点数を獲得したことが、韓国の大学の順位が上昇した主な原因だという分析結果が出た。海外の専門家が、韓国の大学の研究能力を以前よりも高く評価した理由は、発表論文数が増加し、優秀な論文が増えたためとみられる。

 QS社のベン・ソウター評価総括責任者は「全体の評価指標で30%の比重を占める学界評価で今年、韓国の大学は非常に優秀な成績を挙げた。これはアジア全体で韓国の大学教育が認められているという意味だ」と話した。

〈大学評価チーム〉
アン・ソクベ次長
兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
卓相勲(タク・サンフン)記者
李智恵(イ・ジヘ)記者
キム・ヨンジュ記者
オ・ヒョンソク記者
大学評価事務局 イ・ウンジ

朝鮮日報QS

http://www.chosunonline.com/news/20110529000005

また、内容はもちろん別途議論があるでしょうが、実利実学しか考えない世間的風潮に抗するように人文学に力を入れるという傾向は、悪いことではありません。

記事入力 : 2011/05/29 07:42:33
アジア大学評価:韓国勢は人文学系で「躍進」(上)

韓国の人文学、世界の舞台へ
50位以内に9校…日本と同レベル
慶熙大、人文教養学部を新設し45ランク上昇
高麗大は慶応大を逆転、弘益大・東国大・国民大も上昇
「論文の質まで高まったわけではない」

 本紙が、世界的な大学評価機関であるイギリスのクアクアレリ・シモンズ(QS)と共同で実施した「2011年アジア大学評価」では、韓国の大学の人文学分野での躍進が際立った。

 昨年の学界評価では、人文・芸術分野でアジア50位以内に入った韓国の大学は6校にすぎなかったが、今年はソウル大(6位)、延世大(13位)、高麗大(14位)、慶熙大(22位)、梨花女子大(26位)、西江大(32位)、韓国外国語大(41位)、成均館大(45位)、漢陽大(49位)の9校と、大幅に増加した。

 9校のうち、昨年と順位が同じだったソウル大を除く8校は、全て順位が上昇した。高麗大は日本の慶応大(18位)を追い抜き、慶熙大は大阪大(23位)と中国の南京大(24位)を追い抜いた。韓国は日本と共に、この分野の50位以内にアジアで最も多くの大学がランクインし、中国(8校)と香港(5校)がこれに続いている。

 2006年に各大学の人文大学長(人文学部長に相当)が集まり「人文学の危機」を宣言しなくてはならなかったほど、守りの姿勢に入っていた韓国の人文学が、5年たった今、国際舞台で本格的に研究成果を認められるようになってきた。

■慶熙大と梨花女子大の飛躍

 人文・芸術分野で目立った上昇を見せたのは、昨年アジア67位から今年22位へと55ランクも上昇した慶熙大学だった。慶熙大のキム・スジュン文科学部長は「優秀な論文に重点を置いた上、海外の有能な教授たちを招き、共に研究しながら国際学術誌に論文を出すなどの努力を重ねたことが成果となって表れた。この2、3年で、文科系学部全体の論文数は40‐50%増加した」と話した。慶熙大は、人文学と教養科目の講義だけを専門に行う「ヒューマニティーカレッジ(人文教養学部)」を設立するなど、大学全体が人文学振興のために努力したという評価を受けている。

 梨花女子大も今年、アジアの人文・芸術分野で30位以内に入った。梨花女子大は「07年に梨花学術院を設立し、国内外最高級の人文学者を招聘(しょうへい)するなど、人文学振興のために積極的な投資を行ってきたためだろう」と説明している。09年には「人文学的素養を備えた創意的な人材は競争力が高い」という判断に基づき、教養教育課程に15科目の人文学講座を開設。さまざまな基礎学問について、人文学と連携した講義を実施するなど、学生たちが人文学を身近に感じられるようにした。

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/news/20110529000009

記事入力 : 2011/05/29 07:42:39
アジア大学評価:韓国勢は人文学系で「躍進」(下)

■外大、漢陽大、弘益大の善戦

 韓国外国語大は今年、人文・芸術分野でアジア41位となった。韓国外大は「外国語能力を土台とした人文学など、専攻間の融合に力を入れてきた結果だ」と話した。外大は最近、ソウル市の「希望の人文学課程」の専門教育機関にも選ばれた。

 この分野でアジア49位となった漢陽大の成果も際立っている。漢陽大は、伝統的に「理工系が強い」ことで知られているが、最近は、東アジア文化研究所と比較歴史文化研究所など代表的な人文学研究所を中心に、イム・ジヒョン教授(西洋史)、パク・チャンスン教授(韓国史)、チョン・ミン教授(古典文学)などの研究者が活発に活動している。

 弘益大は、この分野のアジア62位に浮上した。「美術の名門」として有名な弘益大は、論文で評価を受けるのが難しい芸術方面で目覚ましい成績を収めたという評価を受けている。弘益大は最近、仏文科のチン・ヒョンジュン教授が人文学と経営学の連携を試みるなど、人文学分野でも注目を集めている。東国大と国民大もこの分野ではいい評価を得た。

■韓流など国家イメージの上昇も影響

 韓国の人文学の躍進について、専門家は「各大学が研究実績の評価を重視した結果ともいえるが、いわゆる韓流現象がアジア全体に広がる中、韓国の国家イメージが上昇したこととも無関係ではないだろう」と分析した。

 崇実大学のチョ・ギュイク人文学部長は「人文学は自国の文化を扱う比重が高いので、韓国が自動車や冷蔵庫を作る国だという認識から抜け出し、今やハイレベルな『文学・史学・哲学』が世界の知識人たちに影響を与え始めたという意味だ」と話した。ある研究財団のA博士は「最近になって各大学が海外の学界との交流を活発化する中で、人文学の対外認知度を高めたことが大きな影響を与えたのだろう。しかし、人文学の論文の質まで高まったと見るのは難しい」と話した。今回の調査の学界評価は、世界の研究者たちを対象に行ったアンケート調査を基にしている。


〈大学評価チーム〉
アン・ソクペ次長
兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
卓相勲(タク・サンフン)記者
李智恵(イ・ジヘ)記者
キム・ヨンジュ記者
オ・ヒョンソク記者
大学評価事務局 イ・ウンジ

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

http://www.chosunonline.com/news/20110529000010

ただ、こういう記事に名前が出るのはごく一部のトップ層の大学であって、こうした現実も一方であるわけです。

もっとも、「授業料を半額に」という主張も、「まず大学生を減らして若者の就職の時期を前倒しに」という主張も、対立しているようで実はしていないような気がします。

記事入力 : 2011/05/29 06:55:03
定員割れ大学向け財政支援に疑問の声(上)

授業料半額」を主張する声も
1年に5兆ウォン掛けて授業料を支援すれば、大学側は楽に金もうけ

 23日に地方小都市のある大学の食堂を訪れたところ、昼食時間なのに人影はまばらだった。人数を数えてみると、学生と教職員を合わせても100人ほどしかいない。この大学は財政面で問題を抱えており、その影響で学校経営もずさんな状態にあるため、ここ数年は新入生の定員を満たすことができていない。

 この大学は1990年代に専門大学(短大に相当)として設立され、それからわずか数年で四年制の総合大学となった。ところが2000年代半ばになると、新入生の定員を50%から60%ほどしか満たせなくなった。財団は大学の設立には力を入れたが、その後は学校を発展させるための資金投入を一切しなかった。そのため、これまでは学生が支払う授業料だけでなんとか大学を運営してきたが、財団の理事長はその資金まで横領し、数年前に検察に起訴されている。

 この大学の教授たちは、毎年秋になると周辺の高校を訪ね歩き「生徒たちを入学させてほしい」と訴えている。学校の正門前にある食堂の経営者は「学生がいてこそ大学といえるだろう。この大学はもう大学じゃない」「こんなところに国が金を投入するのは、間違いなく税金の無駄遣いだ」と語る。

 与党ハンナラ党黄祐呂(ファン・ウヨ)院内代表をはじめとする与党議員の一部は「大学の授業料を半額にすべき」と主張している。しかしこれに対しては「経営に問題を抱える大学を放置し、税金で授業料を支援するのは、大学を通じて金もうけをしようとする一部私学財団の商売を手伝うだけの結果に終わる」との批判が相次いでいる。大学の授業料が半額になれば、学生にまともな教育さえ行えない大学にも、国民の税金が投入される結果となるからだ。

 教育科学技術部(省に相当)の大学情報公示システム「大学アルリミ」によると、首都圏以外の地方にある126校の四年制大学のうち、定員を満たせていないのは65校(51.6%)に達する。首都圏にある大学まで合わせると、さらに77校にまで増える。兵役や就職準備で休学する学生の数を考慮しても、これらの大学が正常に運営されているとは到底考えられない。もし授業料が半額となり、これらの大学に通う29万8000人の学生に、年間500万ウォン(約37万円)が支援されたとすると、年間で1兆4900億ウォン(約1110億円)の予算が必要となる。

http://www.chosunonline.com/news/20110529000003

記事入力 : 2011/05/29 06:55:08
定員割れ大学向け財政支援に疑問の声(下)

 定員を満たせない大学に対して教育科学技術部は、2009年から段階的な構造改革に取り掛かっている。具体的には、特に問題が深刻とされる50以上の大学を閉鎖するというものだった。しかし、大学側や地域住民の反発で、この改革もまだ目に見える成果を出していない。大学を統廃合するために昨年国会に提出された「私立大学の構造改善促進および支援に関する法律」も、いまだに成立していない。

 ある教育関係者は「問題のある大学に対して構造改革が必要な今のこの時期に、学生が大学に支払う授業料を半額にするという与党の主張はつじつまが合わない」「この政策は、最終的には大学を抱える私学財団に金もうけをさせるだけで終わるだろう」と指摘する。教育科学技術部は昨年、全国にある350校以上の大学(専門大学を含む)のうち、23校を「経営などに問題がある大学」に指定し、新入生に対する学資ローンを制限した。

 ハンナラ党は「授業料半額制度」が実際に施行された場合、年間でおよそ4兆9000億ウォン(約3700億円)の予算が必要になると試算している。これは野党・民主党が掲げる「小学校給食無償化」に必要と見込まれる年間7000億ウォン(約522億円)の、実に7倍に相当する。

 「授業料を引き下げる前に、まずは大学生の数を減らすべき」という主張も根強い。ソウル市内のある私立大学の教授は「大学に進学する学生の数を減らせば、授業料を支援するのに必要な予算も減らすことができ、若者の就職の時期も前倒しされる」と提案した。


呉荽錫(オ・ヒョンソク)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110529000004

金勘定の話をする前に、まずやることがあるような気がします。そもそも、「大学を通じて金儲けができる」ようなシステムの存在自体が、尋常ではないんじゃないでしょうか。

記事入力 : 2011/05/29 07:48:13
韓国の大学進学率82%、OECD加盟国で最高レベル

「大学授業料半額」で学生が増えれば青年失業者問題が悪化する可能性も

 昨年、韓国国内の一般系高校の卒業生の大学進学率は82%で、経済協力開発機構OECD)加盟国のうち最高のレベルに達した。高卒者10人のうち8人以上が大学に進学している。欧州では大学進学率が40%、米国は同60‐70%台、日本は50%台だ。しかし、韓国は職業教育を行っている実業系高校でも70%以上が大学に進学している。

 1990年代半ばに大学の設立が自由化されてから、大学生の数が急増した、と教育界ではみている。実際、大学生の数は99年度の159万人から2010年には203万人と25%以上増加した。

 このように高等教育を受けた学生は大幅に増加したが、企業での大卒者の需要はあまり変化していないことから、高学歴者の就職難が深刻化している。教育科学技術部(省に相当)の統計(2009年)によると、全国の大学205校のうち、148校で正規職への就職率が50%に達していなかった。そのため、せっかく大学に進学しても卒業の時期を遅らせ、社会進出を先送りしたり、生活苦に陥る学生が増えている。

 専門家たちは、大学授業料の半額引き下げで大卒者が爆発的に増加すれば、青年失業者問題がさらに悪化すると予想している。

卓相勲(タク・サンフン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20110529000013

*1:ちなみに、表にある「南陽理工大」というのは、シンガポールの「南理工大」のことですね。他の記事ではそうなっていますし。