大学の学費関連
こちらの記事と併せ読む必要があると思われます。
実際、韓国の大学の学費は日本の大学と比べても遜色がないくらいの高さになってきています。ただ、問題はその額面にとどまらないでしょう。
より構造的なところ、具体的には大学の財務構造を問題にせなならんのではないか、と改めて思います。学費をただ半額にするだけでは、そこのところが何も解決しないままになるのではないでしょうか。
記事入力 : 2011/06/06 11:24:38
大学の学費が世界で2番目に高い韓国(上)
学費1000万ウォン時代釜山で中小企業の部長として働くキムさん(52)の年収は6500万ウォン(約484万円)だ。韓国の1800万世帯を、所得に基づいて区分した場合、キムさんは上位20%に入る、いわゆる高所得世帯となる。
しかしキムさんの生活に余裕はない。2人の息子はソウルの大学に通っており、大学の学費をはじめ教育費が生活を圧迫しているからだ。給与から税金や年金、健康保険などを天引きすると、キムさんの手取りは年間およそ5800万ウォン(約432万円)ほど。その中から息子の学費を支払っているが、その額は1人当たり750万ウォン(約56万円)で、年間で計1500万ウォン(約112万円)の支出となる。また、息子2人が生活するワンルームマンションの家賃は45万ウォン(約3万3500円)で、年間540万ウォン(40万円)かかる。さらにテキストなどの教材費が1人当たり月15万ウォン(約1万1200円)で、年間360万ウォン(約27万円)。これらを合計すると、年収の40%に当たる2400万ウォン(約178万円)が教育費として投じられることになる。さらに息子の食費や交通費で月30万ウォン(約2万2300円)が必要だが、これらの生活費は息子たちが家庭教師などのアルバイトで稼いでいる。キムさんは「定年が迫っているが、老後の準備はまったくできていない」と語る。
大学の学費が一部大学の医学部などで年間1000万ウォン(約74万円)にまで跳ね上がり、大韓民国の家計を圧迫している。特にここ10年間での上昇率が目立っており、庶民はもちろん、中産層にとっても大きな負担となっている。大学に入学するまで予備校や家庭教師の費用で圧迫される家計は、大学に入ってからも学費の負担で、時にはさらに借金を重ねなければならなくなる。とりわけソウルや首都圏の大学に子供を通わせている家庭は負担が大きい。学費だけでなく、家賃や生活費も負担しなければならないからだ。
2010年の経済協力開発機構(OECD)教育指標によると、韓国の私立大学の学費は購買力平価基準で8519ドル(約68万3400円)だった。これは米国、日本、英国など調査対象11カ国のうち米国に次いで2番目に高い。国立大学も4717ドル(約37万8400円)で、やはり米国に次いで2番目に高かった。
大学の学費が世界で2番目に高い韓国(下)
学費1000万ウォン時代韓国大学教育協議会によると、ソウル市内にある34校の四年制私立大学のうち、20校の年間授業料は平均800万ウォン(約60万円)を上回った。医学部がある場合は、1人当たりの授業料平均は900万ウォン(約67万円)近くなる。授業料の額は、2002年に政府が国公立大学独自の判断に任せたことをきっかけに急激に上昇した。01年の時点で上昇率が4.9%だったのが、02年から08年には毎年7.4%から10.3%も値上がりした。
同様に、私立大学も毎年5.1%から6.9%ずつ学費が引き上げられた。政府が大学の自主性に任せて導入した制度だったが、結果的に学費の急激な上昇を招いてしまった。06年から10年までの物価上昇率は16%だったが、国公立大学の授業料は32%、私立大学は25.3%上昇した。
学資金融資を2回受け、その返済のためアルバイトに励む京畿道抱川市のキムさん(23)は「学費の負担と返済に追われ、勉強するために大学に入ったのか、借金を返すために入ったのか分からない」と語る。
このように多くの大学生が借金をしながら学費を支払っているにもかかわらず、先進各国に比べ、それほど高いレベルの教育を受けているわけでもない。韓国の私立大学では、1年間に学生1人当たりの教育費に占める学費の割合は95%で、日本の48%や英国の30%に比べ、2倍から3倍以上に達する。
淑明女子大学のソン・ギチャン教授は「大学の財源のうち、学生が支払う授業料の割合は非常に高い。このような状況は)、現在のいびつな財務構造が変わらない限り続くとみられる。そのため、授業料を半額免除する制度について結論を見いだすのも容易ではないはずだ」と述べた。
卓相勲(タク・サンフン)記者