承前・無縁化と孤独死:「朝鮮日報」の特集
昨日も取り上げたこの特集、実はまだまだ興味深い記事が載っています。いかにこの問題が韓国社会の問題でもあるかということを、これらは示しているのだと思います。
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記事入力 : 2011/08/01 13:44:11
孤独死増える日本、「臨終ノート」が人気(上)
10年後の韓国の姿、独り暮らしと孤独死が増える日本
【東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員】 東京で独り暮らしをするタカシ・エリコさん(65)は最近、自分が埋葬される予定の女性専用共同墓を20万円で契約した。きょうだいはいるが、ほとんど連絡が途絶えた状態で、近所に親しい人もおらず、自分の死後が不安になったためだ。タカシさんは悩んだ末、ある団体が運営する共同墓を契約した。タカシさんが契約した共同墓地には、すでに300人以上が登録している。共同墓は、縁故者のいない死者のために遺族に代わって遺骨を管理してくれる墓地施設だ。このような共同墓は、日本にすでに800カ所以上ある。死後、遺体を引き取る人がいない「無縁死」が年間3万2000人を超える中「死後に対する不安」が高まり、あらかじめ準備しようという人が増えているためだ。老後はもちろん、死後のことも自ら準備しなくてはならない時代が到来したというわけだ。NHKは昨年、家族がいないまま独りで亡くなる孤独死などの実態を扱った「無縁社会」という番組を放映し、日本社会に衝撃を与えた。日本人たちは、日本が誇った家族と地域共同体の崩壊を切実に感じ、自分の未来に対する不安と恐怖を感じている。
■葬式をせずに火葬するケースが急増
日本の伝統的な葬儀は「死亡→通夜→告別式→火葬」という過程で行われる。しかし、単身世帯が30%を超えた上、家族や地域共同体が解体される中、死を悲しんでくれる隣人や親しい知人もいない人々が増えた。そのため、葬儀文化も変化している。伝統的な葬儀の過程を経ずに、すぐに火葬する「直葬」が、東京など大都市で、最大30%にまで急増している。宗教学者の山折哲雄氏は、最近新聞に書いた寄稿文で「すぐに火葬を行う直葬は、遺体を生ごみ扱いしている」と批判した。しかし、高齢化と家族解体により、葬儀に掛ける費用は減らさざるを得ない状況だ。日本の平均寿命は83歳だ。両親がこの世を去る年齢には、子どもたちの年齢が60歳を過ぎていることも多い。その年齢になれば、両親の葬儀を行う経済的余裕がない。
記事入力 : 2011/08/01 13:44:30
孤独死増える日本、「臨終ノート」が人気(下)
10年後の韓国の姿、独り暮らしと孤独死が増える日本
■40‐50代も死後の心配祖父から孫までが共に暮らす3世代家族の割合は、1970年代の20%から、最近は8%台にまで急激に減少した。65歳以上の夫婦だけで暮らす世帯の割合は50%に迫っており、伝統的な家族の役割は「死後代行」をしてくれる業者や団体が、代わりに引き受けている。会員数4300人の「絆の会」の場合、急に体調が悪くなった際、入院を手助けし、死亡時には火葬や納骨など全体的なサービスを行っている。
死後の遺品整理などをあらかじめ予約する人も増えた。名古屋市にある「権利擁護支援ぷらっとほーむ」という団体は、会員が亡くなった場合、棺おけに一緒に入れてほしいと頼まれた家族写真や子どもの時に両親からもらった人形などを保管している。遺品整理業者「キーパーズ」の吉田太一社長は「100人以上の人々が、自分の死後、遺品整理をしてほしいと予約している」と話した。さらに「最近は、独り暮らしの40‐50代も死後のことを心配している人が多い」と話した。現在キーパーズのような業者が全国的に100社以上ある。
■臨終ノートは必需品
独り暮らしの人たちの間で、自分の死後についての処理手続きと計画を自ら書いた「臨終ノート」は必需品となった。臨終ノートには、葬式の手順、遺品処理方法、埋葬場所などに加え、関連業者の連絡先なども記載されている。東京で65歳以上の単身高齢者が自宅で死亡した場合、家族が発見するケースは34%にすぎない。大部分は住宅管理者や社会福祉関係者などが遺体を発見する。そのため、臨終ノートが死後に備える唯一の方法だと感じている人が多い。
独り暮らしの人が増加する中、40‐50代の人も不安を訴えている。東京・大手町の会社員が利用するウェブサイトの掲示板には「友達がいるが、それほど親しくなく、両親は亡くなり、きょうだいとも親しくない。今からでも少しずつ準備をしなくては」という書き込みがある。東洋英和女学院大学の春木育美教授は「日本では、たとえ親戚がいても何か頼みごとをすると迷惑を掛けると考えるため、自ら死後のことを準備する人が多い」と話した。
記事入力 : 2011/08/02 14:14:42
日本のシングル族、不況が生んだ「孤独死予備軍」(上)
10年後の韓国の姿、独り暮らしと孤独死が増える日本
【東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員】 北海道札幌市内にある豊平(ほうへい)館は、かつては年間500組が式を挙げた有名な結婚式場だ。しかし、来年3月に結婚式事業を中止することを決めた。結婚式を挙げる人が激減したためだ。日本の年間結婚件数は1972年の110万件から、最近は71万件に急減した。結婚する71万組のうち、式場で結婚式を挙げるケースは半数程度にすぎない。20年にわたり不況が続く中、結婚費用を準備できず、籍だけ入れて暮らす夫婦が増えたためだ。そのため近い将来、日本の結婚式文化自体が消滅するのではないかという懸念も出ている。
日本では、生涯を通じて一度も結婚せず、独りで暮らして独りで生涯を終える人も急増している。日本の生涯未婚者は男性が10人中2人、女性が10人中1人に迫っている。国立社会保障・人口問題研究所は、現在の30代が50代となる20年後には、この数値は男性が10人中3人、女性が10人中2人に増えているだろうと見込んでいる。
■華麗なシングルから孤独死予備軍へ
生涯未婚者は一時期「華麗なシングル」と呼ばれた。家族に気兼ねせず自由で余裕がある暮らしをしているとして、既婚者たちの羨望(せんぼう)の対象にもなった。しかし、最近の日本では、生涯未婚者は独りで寂しく暮らし、誰も見守る人がいないまま孤独に死ぬ可能性が高い「孤独死予備軍」にすぎない。
千葉県松戸市では昨年、50歳以上の住民のうち孤独死した人が155人に上った。このうち3分の1は、比較的まだ若い50‐64歳だった。この調査結果は「孤独死=高齢者」という社会的通念を壊し、日本社会に衝撃を与えた。孤独死防止運動を繰り広げる常盤平団地の中沢卓実自治会長は「孤独死の前提条件は、結婚しないで一人で暮らしていることだ。家族がいない30‐40代は、解雇など試練が迫ったとき、これを克服できずにすぐに挫折し、家の中に閉じこもっているうちに孤独死する可能性が既婚者に比べて高い」と話した。
記事入力 : 2011/08/02 14:15:05
日本のシングル族、不況が生んだ「孤独死予備軍」(下)
10年後の韓国の姿、独り暮らしと孤独死が増える日本
■賃金格差が結婚格差に日本政府はこれまで、女性が就業と育児の両立を負担に感じて結婚を避けていると見て、育児支援対策に集中してきた。しかし最近になって、結婚を妨げる決定的な理由が、賃金が少なく職が安定しない非正規職の増加にあることが分かった。
日本政府が20‐30代の1万人を対象にインターネットでアンケート調査を実施し、作成した『結婚・家族形成に関する調査報告書』によると、30‐34歳男性の結婚率は正規職が59.6%なのに対し、非正規職は30.2%と半分程度にとどまった。
高度成長期の1970‐80年代、日本で非正規職の割合は微々たるものだった。しかし、20年間続く不況のため、非正規職の割合は勤労者全体の34%を超えた。日本の男性の平均年収は正規職が338万5000円で、非正規職は228万8000円と、その格差も開き続けている。
日本では最近「華麗なシングルはない」ともいわれる。年収が高いほど結婚率が高いのが現実だからだ。30代男性の場合、年収300万円未満の結婚率が9.3%なのに対し、400万円台では29.4%、600万円以上では37.6%に達した。交際経験も所得が高いほど多かった。恋愛と結婚は年収に左右されるというわけだ。さらにこの調査で、34歳以下の男性のうち「今後も結婚しないつもりだ」と答えた人の割合も、正規職は9%にすぎなかったが、非正規職は27.3%に達した。
国立社会保障・人口問題研究所の金子隆一・人口動向研究部長は「日本や韓国など東洋文化圏では、結婚したら男性が家族を養わなくてはならないという責任意識が強く、欧米と違って賃金が低いほど結婚しにくい。結婚率と出産率を高めるため、政府は雇用の安定性確保にもっと積極的になるべきだ」と話した。
■生涯未婚率
生涯一度も結婚しない独身者の割合で、50歳を基準に統計を作成する。日本は2005年の調査で、男性16%、女性7.3%だった。男性の生涯未婚率は1990年の調査時に比べ3倍も上昇した。
記事入力 : 2011/08/03 13:52:04
【社説】孤独死増える日本、あすの韓国の姿(上)
このところ本紙が連載している『一人で暮らし一人で死ぬ社会、日本』の特集は、読者に強い印象を与えている。日本では、死後4日以上経ってから発見される「孤独死」が1年間で1万5600人に達しており、遺体を引き取る家族がいない無縁死も3万2000人に達する。東京では死者10人中3人が、いわゆる直葬、つまり葬儀をせずに直接火葬場に運ばれている。日本では現在、30代の男性は10人中3人、女性は10人中2人が、50代になっても結婚できないと言われている。日本は今まさに「一人で暮らし一人で死ぬ社会」になりつつあるのだ。伝統的な「家族の結び付き」が弱くなった上、急速に進む少子高齢化により親の世話をする子どもがいない、または20年にわたる景気低迷で高齢の両親を養う経済能力がない、というのがその理由だ。韓国の人口構成比は、10‐15年ほど遅れて日本の後を追っている。今の日本の寂しい姿は、明日の韓国の姿とも言える。
日本はこの20年間、人口が減少し続け、企業の売り上げも低下した。その上、雇用も減り、それが再び消費を減少させるという悪循環をたどってきた。昨年、日本のデパート226店のうち、売り上げが伸びた店舗は3カ所のみだった。子どもの人口(0‐14歳)が1990年の2248万人から、昨年には1648万人まで減少し、製菓店の倒産が相次いだ。青年失業も増加し、1990年に780万台だった新車販売台数が2009年には488万台まで減少した。金融資産の75%(1125兆円)を保有している高齢者は、余生が不安なためいっそう財布の紐をきつく締め、仕事のない若者たちは使いたくても使う金がないといった状況だ。
若者たちの性格も変化すると共に、社会の雰囲気も変化した。職場にも学校にも通わず、やることもないまま時間をつぶすニートや、定職に就かずアルバイトを転々とするフリーターが増え、自己に対する諦めを表す「下流志向」という言葉が流行語となった。30‐34歳の社会人のうち、結婚している人の割合は正規職で60%、非正規職で30%、フリーターでは17%だ。仕事が安定しない若者たちは結婚を避け、これが少子化や景気低迷をさらに悪化させている。
記事入力 : 2011/08/03 13:52:16
【社説】孤独死増える日本、あすの韓国の姿(下)
日本は1996年から生産年齢層(15‐64歳)が、2008年からは総人口自体が減少している。韓国でも2017年に生産年齢人口が減少し始め、2019年からは総人口が減少すると予想される。日本の65歳以上の高齢者は、1990年の1489万人から2010年には2941万人(総人口1億2800万人の22.9%)に増加した。昨年、韓国の高齢者人口は535万人だったが、2030年には1180万人(総人口4860万人の24.3%)となる見込みだ。日本の場合、韓国の老人長期療養保険に当たる介護保険の支出額が、2000年の3兆8000億円から、昨年には7兆9000億円と2倍に増えた。韓国の老人長期療養保険は、昨年の支給額が2兆5000億ウォン(約5900億円)だったが、2030年には15兆6000億ウォン(約1兆1600億円)となり、6倍に増加するものと試算されている。少子高齢化がこのように経済活力を低下させると、潜在成長率は、現在の4.1%から2020年には1.9%にまで低下すると予測されている。そうなると、小さくなったパイをもっと多く食べようと争う階層間、職業間、世代間の葛藤がさらに深刻化することになる。
少子高齢化は、一度流れが形成されれば、流れを変えるのが難しい。日本もあらゆる手段を試みたが失敗した。少子高齢化の流れが固定化する前に流れを転換しなければならない。今や、雲を突き破る勢いで急上昇している中国の未来に、懐疑的な視線を送る最も大きな要因も、中国の急速な高齢化のためだ。歴史上、少子高齢化に押し流されながら、繁栄を享受した国は存在しない。
韓国政府は少子化の流れを変えるため、GDPの0.7%に当たる予算を投入している。だが、少子高齢化という時限爆弾の雷管を取り除くには、あまりに少ない予算だ。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均は2.3%だ。少子高齢化の問題は、政府の閣僚に任せておくにはあまりにも重大な問題だ。大統領は10年後、20年後の国の運命を正しく見据え、少子高齢化に対し歴史的な問題という意識を持って臨むべきだ。