しばらく前に、「K-Pop論」みたいなものを何冊か読んでいたのですが。例えばこのあたり。
- 作者: 西森路代
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 単行本
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朝日新書 (なぜK-POPスターは次から次に来るのか 韓国の恐るべき輸出戦略)
- 作者: 酒井美絵子,鄭城尤
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/03/13
- メディア: 新書
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率直な結論から書けば、「雑すぎて参考にならない」ですね。
いえもちろん、それぞれに有益な内容はありますよ。でも、私の関心は「KARASIAという奇跡」を理解することにありますから、その基準に照らせば、このへんの本はぜんぜん使い物になりません。
前にも書いたことありますけど、「少女時代とKARAを一緒くたにしている論説」「SMエンタテイメントの言い分を丸呑みにしている論説」については、「依拠するに値しない」ものと判断しています。上に挙げた2冊は、どちらもそれにバッチリはまってしまっていて、私としては脱力させられます。
例えば…。
- 韓国音楽事務所の新人インキュベーションシステムとして長期間の練習生制度に言及するのはいいとしても、ではオーディションで途中加入して練習生期間のほとんどないクハラやカンジヨンを含むKARAがトップクラスのガールズグループとして成功した理由は…?
(「KARAの成功」は、そういう韓国アイドルの〈定型〉から外れたところを注目しないと、見えないんじゃないでしょうかねえ…。)
- SM・YG・JYPの三大音楽事務所を筆頭とする韓国音楽界の海外戦略に注目するのはいいとして、ではKARAの所属事務所であるDSPメディアの戦略は…?
(正直言って、DSPメディアに「戦略」と言えるほどの海外戦略があったと言えるかどうか、かなり疑問だなあ…。今、「KARAの戦略」があるとすれば、それはたぶんユニバーサルのものでしょうねえ。
少なくとも、韓国内での生き残りにすら必死だったKARAに対して、その頃から日本進出を企図されていたとは、とても思えません。実際問題、「日本への道」が描けるようになってきたのは、「劇団ひとりインパクト」以後のはず…。)
- 「日本でのKARAの成功」の要因は、「日本化」と「親しみやすさのアピール」・「頻繁な露出」くらいで分析終了…ですか?
(KARASIAでのMCを日本語でやり通し、日本の番組に出ても全員が通訳なしの日本語で受け答えするレベルに達しているのは、彼女たちの日本への適応の努力として認めるとして、ここで一つだけ例を挙げると、他方、BoAや東方神起や、最近ライブやっているT-ARAでも、日本でのコンサートでは全曲日本語に翻訳して歌っている中で、KARASIAのセットリストに韓国語曲は何曲ありますか?)
ともあれ、K-Pop的な基準からすれば決して優等生とは言えなかったKARAが、日本でこれだけ人々を惹きつけている、という事態は、どうもまだ誰もうまく説明できないらしい、というのがわかったことは、収穫でした。
東方神起やスーパージュニアの紹介としては、わりと面白く読めたんですけどねえ。女性の著者的にはそちらの分析の方に力が入るのは、まあ当然かもしれません。
今のところ、「KARAを理解する」という観点からいちばんいいと言えるのは、依然としてこちらです。
- 作者: 小野田衛
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2011/09/01
- メディア: 新書
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