中国のお墓問題

中国のお墓事情について、私はほとんど何も知りません。ただ、上海や北京では、市街地で墓地の類を目にすることはほとんどありません。その点、気にはなっていました。

中国「墓地足りない」 非合法なら取り壊し、無縁墓を再利用も
2013.4.2 08:10

「死んでも安心して眠れぬ」

 【北京=矢板明夫】多くの人が先祖の墓に参る4日の清明節を前に、中国各地で墓地の不足が深刻化し、非合法の墓売買が横行していることが社会問題となっている。墓の確保が困難なうえ、大枚をはたいて確保した「ついのすみか」が非合法と認定されれば、取り壊される可能性もある。インターネット上には、「死んでも安心して眠れない」といった不安や怒りの書き込みが寄せられている。

 中国民政省が3月末に発表した報告書によれば、中国全土に現在ある墓地では、今後6年分しか賄うことができない。北京、上海、広州などの大都市では墓地の供給が追いつかず、遺骨が埋葬できないケースも出てきているという。

 近年の経済発展で豊かになった中国人は、より広い墓を求める傾向があり、数十〜百平方メートルもの豪華な墓が多く作られたことで、墓不足に拍車がかかった。最近では農地や山間部など、他の目的の土地で勝手に墓地を建設し、売買する村や業者が続出している。

 同省の集計によると、北京市で2010年に亡くなった人のうち、合法の墓地に埋葬されたのは31.3%にとどまったという。

 墓地は性格上、いったん建設されれば立ち退きは難しいものの、非合法だとして取り壊されることもある。河南省周口市は農地拡大のため、11年から12年にかけ、市内約350万基の墓のうち許認可を受けていない約200万基を取り壊し、「祖先に対する冒涜(ぼうとく)だ」などと批判を浴びせられた。

 中国の墓地売買は、20年の期限付きが一般的で、その後は20年ごとに高い更新料を払わなければならないシステムになっている。民政省社会事務局の李波・副局長は中国メディアの取材に、「現状からすると、3代たつと無縁になる墓が多くなるため、再利用できる」とした上で、「各地で墓の建設計画も継続的に調整していくため、墓が足りなくなる事態は発生しない」と楽観している。しかし、このコメントにも「再利用とは何事だ」といった批判が出ている。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130402/chn13040208110001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130402/chn13040208110001-n2.htm

広大な中国ですから、政府の統一的な方針はもちろんあるでしょうが、各地で事情は様々に異なっているはずです。

知らないなりに論じるにしても、もう少し予備知識を仕入れる必要があります。

中国、「殯葬緑書」を発表
発信時間:2013-03-29 来源:中国国際放送局 筆者:

 「中国殯葬緑書2012−2013」が28日、北京で発表されました。2012年までに、チベット自治区を除く全国の30の省、自治区及び直轄市は人々に利益をもたらす恵民殯葬政策を実施しています。

 この政策は生活が困難な住民に殯葬(出棺と火葬、埋葬などを含む)に必要な費用を減免し、または補助金を出すというものです。

 この緑書は、恵民殯葬政策の実施が国民の経済負担を軽くすると共に、各地住民の殯葬改革の参与意欲を高め、殯葬改革の発展を推しすすめたと指摘しています。(万、KOKUSEI)

http://jp.showchina.org/01/201303/t1305646.htm

葬送業務の意味づけを考えよう
一般社団法人火葬研会長 八木澤 壯一

 われわれ一般社団法人火葬研は、火葬と火葬場のあり方からその改善と改良に叡智を集めてきた。葬送に関わる事業で、会員がそれぞれの努力を傾けてきている。しかし、葬送に関わる業務や事業の意味づけ、位置づけを行うことについて関わってきたであろうか。

 たまたま、東京神田の中国図書専門書店で上海文化出版社の『中国殯葬文化』(2012年3月発行)なる本をみつけた。編著者グループの代表の鄭曉江さんは、江西師範大学の哲学の教授である。本のカバーには中国では、改革開放以来、科学技術の殯葬は大発展したが、人文殯葬はおろそかになったと指摘しており、この本は中国の伝統的殯葬文化を見直そうということで刊行されたとしている。

 書かれた内容をみてみると、まず序論で、中国の殯葬業は遺体処理の技術工だけでなく生命伝承師としての役割であることを主張している。殯葬文化は、“喪儀”、“殯儀”、“葬儀“、“祭儀”の段階があることを明示している。

 総論として、殯と葬の歴史的考察を行っており、中国人の生死観の倫理的特性を“孝”、礼儀的特性を”礼”、神秘的特性を“魂隗、陰陽、鬼神”としている。

 殯葬業には、人性化、人道化、人文化の問題がある。生命教育の基地となるための可能性が述べられている。また、喪・殯・葬・祭の順に中国の殯葬について全面的に紹介・論述してあり、中国伝統殯葬の基本儀式、過程と内容、特に中国殯葬文化の基本精神を理解するものとなっている。主な内容は次の通りである。

 喪儀文化(遺体に対する処置と儀式)として、中国伝統の喪儀基本儀式として臨終における寿衣や喪服、喪儀禁忌について。殯儀文化(葬儀に関わる儀式)として、入殮(納棺)、喪葬服飾、中国伝統殯儀、殯儀擇吉、禁忌について。葬儀文化(火葬、埋葬等の儀式)として、墳墓の起源、変遷、中国伝統葬儀、中国伝統葬法と葬式、中国主要宗教葬礼、中国歴史上の陵園、中国民間葬の禁忌について。祭儀文化(墓参等の追悼の儀式)として、祭祀の起源と文化、中国伝統祭儀、中国祭祀の分類、中国伝統祭祀の祭品、中国伝統祭祀文、中国民間祭祀の禁忌について。哀傷撫慰(グリークワーク等)として、哀傷撫慰の中国モデル、“心霊環保”、殯葬業に関わる人の“心霊環保”について。

 すでに上海では、大規模霊園の『濱海古園』では殯葬に関する展示施設がある。都心部の『龍華殯儀館』には殯葬博物館が併設され、生命伝承の教育基地の役割を既に担ってきている。

 日本でも火葬場でのお別れだけで済ましてしまう、いわゆる“直葬”の増加にみられる葬送文化の簡略化に対して、葬祭業務の意味づけを明確にし、本来の葬送のあり方を考える時代になってきたように思う。

http://homepage3.nifty.com/kasouken/

http://www.ato-shoten.co.jp/newweb/sas/cienteg/10264574.php

殯葬文化学-死亡文化的全方位解読

中国殯葬礼儀学新論-国学新知文庫

葬礼改革と民族文化──雲南省大理市のぺー族の農村における公共墓地の導入── - ICCS国際中国学研究センター

Ryukoku University Institutional Repository - 中国の殯葬改革と殯葬の市場化

中国上海市における死者葬儀 (上) ― 清朝晩期から一九四九年までの死者葬儀を中心として ― - e-Lib Local書誌詳細

中国上海市における死者の葬儀(下) ― 1949年以降の変化 ― - e-Lib Local書誌詳細