大卒だって高卒だ。

日本でも過去に同じことが問題になっていたことがありました。

その時からどうしても納得がいかないのは、大卒者だって高校を卒業している*1わけで、何故彼らが排除され、あまつさえ「学歴詐称」呼ばわりされねばならぬのか、ということです。

もちろん、現実問題として高卒者の就職先を確保するためには、そういう制限をかける必要があるかもしれません。しかし、その制限は、「学歴」という点からどこまで正当化できるのでしょうか。

記事入力 : 2013/07/13 12:29
韓国で新たな学歴詐称が問題に

 尹増鉉(ユン・ジュンヒョン)元企画財政部(省に相当)長官は先日の講演で若者の失業問題に触れ「前の政権で高卒採用ブームが起こった際、ある公共機関が高卒者30人を採用したが、後から調べてみると、そのうち27人が大卒だった」と語った。

 本紙が調べたところ、問題の公共機関とは韓国ガス公社だった。同公社は昨年初めごろ、現場でガス管の交換工事を行う作業員を採用する際「高卒」を条件としていたが、採用された30人のうち高卒者はわずか3人だった。同公社の関係者は「就職難が非常に深刻なため、高卒採用枠に大卒者が殺到した」「高卒者だけを採用すると『逆差別』との指摘を受ける恐れがあった。それでも高卒者を対象に募集を行ったが、大卒者からの応募も非常に多く、結果的に大卒者の採用の方が多くなった」などと説明した。

 就職のために大卒の学歴を隠す「新たな形の学歴詐称」が問題になっているが、韓国ガス公社の問題などはその典型例だ。大学生はかつて1970年代から80年代にかけ、労働運動の名目で自らの学歴を偽り、高卒者として九老工団などに就職していたことがある。これが「70−80年代式の学歴詐称による就職」だったとすれば、最近は本当に就職するため自らが大学に在学した事実や大卒の学歴を隠し、高卒者を対象にした募集に大卒者の応募が相次いでいる。

 ソウル大学社会学科の李在烈(イ・ジェヨル)教授は「1990年代に入ってから大卒者が急増した一方で、就職先はほとんど増えない状態が20年以上続いている。(新たな学歴詐称は)その影響による膨大なミスマッチの結果だ」「大卒者が高卒者の良質な働き口に進出するのは、ある意味当然の結果だ」などと指摘した。

 問題は、これら一連の「下向就職」あるいは「新学歴詐称」が徐々に深刻化しているという点だ。韓国職業能力開発院によると、これまで大卒者のうち高卒者対象の仕事に就職したケースは、1982年には24.1%だったが、これが92年には27.7%、2002年には31.0%にまで上昇した。

 昨年初めごろ、当時採用活動を行っていた韓国土地住宅公社LH)の人事チームは就職希望者のリストを見て非常に驚いた。特性化高校(特定分野の人材育成を目的とする高校)校長から推薦を受けた高卒者200人を採用しようとしたところ、何と1975人が応募してきたのだ。さらに驚いたのは、応募者のうち120人が大卒者だったこと。そのうち70人から80人は四年制大学に在学中だった。LHは特性化高校出身者を優遇するという当初の趣旨を貫くために、高校卒業後に失業状態にある若者や大学の在学生などに対しても、高卒枠への志願を認めることにした。LH人事チームの関係者は「高卒採用の場合は入社後に1ランク低い職責から仕事を始めるという違いはあるが、それ以外は(大卒者と)特別な違いはない」「大卒者や在学生は土木工学など工学系関連が最も多かった」と語った。彼らは「大学の卒業証書」よりも就職を選ぶことで、学歴や学閥をあきらめることにしたわけだ。「企業などの高卒枠に大学生が殺到している」との話が広まり始めたころから、LHの李之松(イ・ジソン)社長は「高卒者枠」への応募者に対しては学歴の確認を徹底するよう指示していた。

 ところが現行のシステムだと、志願者の最終学歴を確認する方法はない。そのためLHの人事チームは、最近の大学生はほとんどが奨学金など学資金の融資を受けている事実に注目し、志願者の学歴を確認するためその氏名を韓国奨学財団に照会する方法も使っているという。

 状況がこれほどまで深刻なことから、インターネットでは就職関連の掲示板などで「四年制大学出身者だが、高卒として履歴書を出してもよいか」など「新学歴詐称による就職」を考える求職者の書き込みが非常に多くなっている。在学中の大学名を明らかにしたある大学生は「1年生のときの成績が悪く、大卒でもよい就職先はない。それならサムスン重工業やポスコのような企業に高卒枠で入った方がよい。これは不可能なことなのか」「高卒ブルーカラーの年収は3000万ウォン(約265万円)以上で一定しており、職場も安定しているからだ」などと書き込んでいた。

 全羅南道にある私立大学出身のYさん(25)は、兵役を終えてから3年生に復学した2011年に大学を中退した。その理由は、地方の公営企業の高卒採用枠(事務職)に応募するためだった。Yさんの成績は決して悪い方ではなかったが、すでに大学を卒業していた先輩の多くが就職に失敗し、苦しんでいる様子を目の当たりにしたため、大学を中退して「高卒採用枠」に志願することを決めた。Yさんはその年に幸いにも就職に成功し、また昨年からは大学卒業資格を手にするため「サイバー大学」に編入した。Yさんは「普通の大学を卒業しても就職にはそれほど役に立たないため、あえて最後まで大学に通う必要はないと思った」「(入社後は)大学に通ったことのない人たちと競争するので、やりやすいと思う」と語った。

 現代自動車全州工場では、2007年4月に高卒生産職の枠で入社した400人のうち、四年制大学を卒業しながら高卒と学歴詐称していた5人を摘発し、1カ月後に解雇した。本人たちは会社に残れるようにしてほしいと強く求め、また社員の間からも同情する声が出ていたが、会社側は「四年制大卒者を受け入れれば高卒者が不利益を受ける」として正式に解雇を決定した。その後、現代自は「学歴を詐称した場合は解雇することもある」とするルールを取り決めた。

李仁烈(イ・インヨル)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/13/2013071300659.html

結局のところ、大卒無業者の失業の影響が高卒者の就職に及ばないように、大卒の就職希望者を就職市場から叩き出し、そうした人たちを「棄民」化するという選択が、されているわけですね。私には、就職のために必死に活動する「彼らが」非難されるべき理由が、どうしてもわかりません。

記事入力 : 2013/07/13 12:31
韓国の大卒、4人に1人は「高卒採用」の仕事に

若者の64%は大卒以上、OECD平均の39%を大幅に上回る
大卒無職は309万人

 キムさん(28)は2010年、大田にある四年制私立大学の経済学科を卒業した。就職は容易ではなかった。翌年からは、高卒を採用することにしている企業約20社に願書を送った。履歴書の学歴欄には、最終学歴を高卒と記載した。大卒者向けの求人で落ち続けたからだ。

 キムさんは「最初は『高卒向けの生産職は願書さえ出せばすぐに働けるだろう』と思っていたが、いざ応募してみると、そこすら簡単ではなかった」と語った。キムさんは昨年7月にようやく、専門大学(短大に相当)卒業以上なら応募できるIT(情報技術)関連企業に就職した。

 満足できる就職口を探すのが困難な韓国で、若年層の求職者が、自分の学歴よりも下の学歴しか要求されない仕事に就職するケースが増えている。それでも仕事が見つからないため、就職を諦める人も増え、大卒の無職は300万人を超えた。


■学歴を下げて就職する割合、OECD主要加盟国で最高

 大卒者が大半を占める青年層(15−29歳)は、深刻な就職難に直面している。20代の就職者数は、昨年5月以降14カ月連続で減っている。青年層の失業率も今年2月には9.1%となり、およそ2年ぶりに最高値を記録した。その後はやや下がったが、先月には7.9%となり、わずか4カ月で上昇に転じた。

 こうした状況から、大卒者が高卒と偽って就職するケースも増えている。職業能力開発院によると、大卒者の24%が「高卒採用」の仕事に就いているという。この割合は経済協力開発機構OECD)に加盟する主な先進12カ国と比べると、韓国が最も高い。英国(18%)、フランス(15%)、日本(14%)なども高い方だが、韓国とは大きな隔たりがある。OECDの平均は9%だ。

 韓国で大卒者が「高卒採用」の仕事に就くケースが多いのは、雇用主が要求する学歴水準より高い学歴を有しているからだ。2011年基準で見ると、韓国の25−34歳人口のうち、大学またはそれ以上の教育を受けた人の割合は64%に達し、OECD加盟各国の中では最も高い。OECDの平均は39%だ。

■大卒無職者300万人時代

 高卒と偽っても仕事が見つからない大卒者は、そもそも労働市場の外に押し出されてしまっている。現代経済研究院が統計庁の資料を分析した結果、今年の第1四半期の時点で、大卒以上の非経済活動人口は309万人に達し、過去最高を記録した。非経済活動人口とは、求職活動をしていなかったり、就職準備中だったり、そもそも就職に関心がない人のことを意味する。

 大卒の無職者が増える現象は、今後も続くとみられる。雇用労働部(省に相当)の推定では、2020年までに高卒の人材は32万人不足する一方、大卒以上の人材は50万人が供給過剰になる。

 現代経済研究院のキム・グァンソク先任研究員は「学歴と仕事の不一致現象を解決するためには、無条件に大学へ進学している現実を変えねばならず、また大卒者向けの雇用を多く創出すべき」と語った。

方顯哲(パン・ヒョンチョル)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/13/2013071300660.html

*1:もちろん、検定試験経由などの例外があるのはわかっています。