産経ニュースWESTによる韓国プロ野球紹介

若干ごく一部、気になる記述はあります(「弱小球団の林立」ってどこのこと?)が、その筋の第一人者である室井さんに話を聞いていることもあってか、おおむね事実に即してバランスの取れた韓国プロ野球紹介記事になっています。

韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑〈2013〉

韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑〈2013〉

具体的な個々の選手を知らなくても、やってることは野球ですから日本と変わりませんし、騙されたと思って野球場に足を運んで観てみれば、違いも含めてけっこう楽しめると思います。いろいろ問題はありますけど、プロ野球のレベルそのものは、日本プロ野球とほとんど変わらないところまで来ています。『海峡を越えたホームラン』や『スーパースター・カムサヨン』の時代はもう、今は昔のことですね。

ソウルなら蚕室(斗山ベアーズ・LGツインズ)か木洞(ネクセンヒーローズ)でやってます。が、ちょっと足を延ばしたところの地方球場もそれぞれに風情があって面白いです。

球団の変遷 本拠地マップ - 韓国プロ野球応援サイト ストライク・ゾーン


韓国野球「独裁政権主導」「育成システムなし」「お花見的興行」、日本とこんなに違う…ミス防止する日本、ミスより点取ることを重視する韓国
2013.12.18 07:00 [大阪から世界を読む]


アジアシリーズに出場した韓国の三星。日本とは異なる野球の姿が韓国にはある(ロイター)

 韓国球界から阪神に、待望の抑え投手がやってきた。その名は呉昇桓(オ・スンファン)。150キロ超の直球を武器に、三星ライオンズ韓国プロ野球歴代最多の通算277セーブを挙げた大物右腕だ。呉昇桓に限らず、過去にも日本で活躍する選手を多く輩出してきた韓国球界。意外と知られていない、その魅力と課題とは…。

独裁政権と財閥主導で発足

 韓国プロ野球を統括しているのは韓国野球委員会(KBO)。その創設は日本のプロ野球より50年ほど遅れて、1982年のことだった。当初は1リーグ6球団で発足し、現在は9球団でペナントを争っている。

 発足した経緯は、民間が主導した日本とはだいぶ異なる。当時は全斗煥大統領による開発独裁政権下で、三星をはじめとした財閥企業の実業団チームを母体に設立。ソウルオリンピックの誘致と並び、政権批判を回避するための“上”からのスポーツ振興策だった。

体育の授業乏しく、学外で練習

 「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」の著者、室井昌也さんは日韓の競技レベルの差を「代表レベルは一発勝負で、どう転ぶか分からない。ただ、リーグとしてのレベルでいえば、韓国の指導者やOBも日本が上と認識している」と語る。

 人口約1億2500万人の日本に対し、韓国は約5000万人と、そもそもの底辺が異なる。さらに、室井さんは「韓国ではスポーツに対する認識が日本と違う。学校でもほとんど体育の授業はない。プロを目指させたい親が子供の頃から、野球なら野球、サッカーならサッカーと学外でスポーツをさせている」と指摘する。

 このため、代表入りするトップクラスでは世界と肩を並べても、全体のレベルは下がりがち。韓国内でも問題視されており、チームから中学、高校の野球部に寄付をして部活動の活性化を図ったり、日本より数が少ない野球場の整備に乗り出したりするなど、競技人口の拡大に取り組んでいる最中だという。

球団増で戦力分散

 そうした環境面の課題に加え、近年の球団増もリーグそのものの質の低下に拍車をかけている。観客動員が好調に推移してきたこともあり、2008年にウリ・ヒーローズ(現ネクセン・ヒーローズ)が、13年にはNCダイノスが加入し、15年にも新球団の参入が控えている。「選手の所属先が増え、指導者も働き先が増える」(室井さん)というわけだが、1チームあたりの戦力が分散され、弱小球団が林立する要因となっている。

 700万人を超えた観客動員数も、13年は中心選手が次々とフリーエージェント(FA)移籍したロッテ・ジャイアンツの人気低落もあり、7年ぶりに前年を割り込んだ(約644万人)。

「お花見」的な興行

 KBOにも危機感はある。質の向上を目指し、今オフには原則2人に限られていた外国人選手枠を3人に増やすことが決まった。従来は計算できる先発投手の獲得が多かったが、投手、野手のどちらかで3人の枠を埋めることは禁止された。

 日本記録の60本塁打を放ったバレンティン(ヤクルト)らの派手な活躍に触発された球団もあるといい、室井さんは「外国人選手によって興味が広がるのでは」と外国人野手の増加によるレベルの向上を推測する。

 日本と同様に、さまざまな課題も抱える韓国野球。その魅力は「初めて球場に来た人が楽しめる環境」がそろっていることだという。イニング間の催しやチアリーダーによる応援など、日本に比べてグループで野球観戦を楽しむ傾向が強いファン向けの「お花見的」な取り組みが充実しているのが特徴だ。


三星のチアガール。「お花見的興行」の要素が強い韓国野球ならでは?(今野顕撮影)

取られたら取り返せ…

 野球そのものに関しては「日本はミスをしない、点を取られない野球。韓国は点を取りに行く野球。取られたら取り返せばいいと考えている」と室井さん。「いいことではないが比較的ミスがあり、逆転も多い。玄人的ではないが初めて見た人がはまりやすい」のが最大の魅力だという。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をはじめとした国際試合では、日本と火花を散らすライバルでもある韓国。国際試合からだけでは見えてこない韓国野球の真の姿が、そこにはある。


阪神に入団した呉昇桓(鳥越瑞絵撮影)


甲子園球場を見学した呉昇桓(中川春佳撮影)

http://sankei.jp.msn.com/west/west_sports/news/131218/wsp13121807000000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_sports/news/131218/wsp13121807000000-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_sports/news/131218/wsp13121807000000-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_sports/news/131218/wsp13121807000000-n4.htm