旧香港上海銀行長崎支店の話
「孫文・梅屋ミュージアム」というだけではピンときませんが、あれですね、香港上海銀行長崎支店だったあの建物です。去年行きましたよ。
香港上海銀行の支店にして長崎最大級の石造洋館だったというだけあって、補修工事を経た建物は、中も外もなかなか立派な造りです。国指定重要文化財になっているというのもわかります。
長崎市は、この建物を取り壊す計画を一度は立てたようですが、こうして保存するだけの価値のある建物だと思います。
ここは、長崎の国際フェリーターミナルの真ん前、ど真ん前です。私がここを訪れた時にも、フェリーターミナルには中国行きの巨大フェリーが停泊していて、ものすごい数の観光客が建物の向かい側の広場で乗船時間を待っていました*1。
ともあれ、個人的には興味があったので、ミュージアムにも有料入場してみましたが、正直、「うーん」と思いました。
面白い展示や資料がないわけではないんですけど、いま一つピンときません。「何でここでこの展示なのか」がよくわからないんですよ。もっとハッキリ言えば、力の置きどころがズレてます。
長崎出身の梅屋庄吉と、かの孫文との交流関係を推したいのはとりあえずわかりますけど、それを香港上海銀行でやらなあきませんか?
せっかく国際フェリーターミナルの真ん前にあるんですから、私なら、長崎‐上海航路を通じた日中の近代交流史にもっと焦点を合わせます。上海だけ見ていても、長崎だけ見ていてもわからないことが、「長崎と上海」という視点を導入することで見えてくる。そういう展示なら、この建物とその立地にふさわしいのではないでしょうかね…。
そういう展示もあるにはあるんです。ただ、こういっては申し訳ないですが、ちゃちいんです。長崎を訪れる上海人を唸らせるような、見るに堪える展示は、できませんか?
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今のままでは、苦戦は続くでしょうねえ。
孫文・梅屋ミュージアム、苦戦の1年 入館者は目標の4割弱、長崎市[長崎県]
2015年04月23日(最終更新 2015年04月23日 00時18分)
「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」が入る旧香港上海銀行長崎支店中国の辛亥革命を指導した孫文と、彼を支えた長崎出身の実業家梅屋庄吉の資料を集めた「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」(長崎市松が枝町)が26日で開館1周年を迎える。ただ、今月20日までの入館者は1万914人で目標の3万人の4割以下。県文化振興課は「広報周知を図っていきたい」としている。
ミュージアムは、長崎市が所有する国指定重要文化財「旧香港上海銀行長崎支店」の2、3階にある。建物への同期間の総入館者数は4万9719人で目標の5万人に近い数字だが、有料のミュージアムに入館者の足が延びていない。
行政と市民の連携でまちの活性化に取り組む長崎伝習所で「孫文・梅屋庄吉と明治大正長崎事情塾」の塾長を務めた村崎春樹さん(68)は「ミュージアムに誘導する仕組みがない。展示内容も孫文と梅屋が長崎とどうつながっていたかが分かりにくい」と指摘する。
県文化振興課によると、団体の入館者が予想より少なく、近くに寄港地があるクルーズ船の客も取り込めていないという。「展示を入れ替えながら、県民無料デーなども行いたい」としている。
ミュージアムでは、開館1周年記念イベントが始まる。25日から5月6日までは先着20人にプレゼントを用意。長崎帆船まつりの花火が打ち上がる25、26日は館内テラスで花火鑑賞会がある。参加費500円、事前予約が必要。29日午後3時半からは、1階多目的ホールで無料コンサートがある。問い合わせは同ミュージアム=095(827)8746。
=2015/04/23付 西日本新聞朝刊=
*1:長崎‐上海間の定期フェリーは現在、運航していないみたいなので、あれはもしかしたら中国側のツアーによるチャーターだったのかもしれません。観光バスでフェリーターミナルに戻ってきた乗客はほとんどが中国人観光客のようでしたし。