姫路城をちゃんと訪れたのはものすごく久しぶりのことです。数年前に姫路に通っていた頃は、大修理の真っ最中でしたしねえ。
198段の石段を駆け上がって男山配水池公園から望むと、こんな風に見えます。いい眺めです。
⑥男山配水池公園(山頂)・世界遺産姫路城十景 | 姫路城(世界文化遺産)おすすめ・見どころ案内
やっぱり、ほんまもんの国宝のお城ですから、一見の価値はあります。天守を支える東西の大柱を目の当たりにするだけでも、来る甲斐はあるというものです。
近畿の中では端に位置するにもかかわらず、外国人観光客が多かったのもうなずけます。ただ、大阪からでも十分日帰り圏ですから、下の記事にある通り、観光政策としては温泉やグルメと併せて滞在型のスタイルをいかに提案できるかが課題なんでしょうね。
2016.5.10 09:40更新
大修理後の姫路城…経済効果615億円ナリ!城郭入場者数も初の全国一に
過去最高の入場者を記録した姫路城兵庫県立大学政策科学研究所(神戸市西区)は9日、昨年3月のグランドオープン後の世界文化遺産・姫路城(姫路市)の県内への経済波及効果が約615億5000万円だったとする推計を発表した。同市内だけに限った経済効果は約424億2000万円とされた。
経済波及効果は、昨年度の姫路城や市内の主要観光施設の入場者数、同市が実施した観光客の動向調査のデータなどをもとに、同研究所が交通費や宿泊費、飲食費、土産物の購入費などを推計した。
このうち、県内を訪れた人の飲食や土産物の購入などに伴って生じる直接効果は県内で約418億円、姫路市内で約320億円。原材料の購入増による第1次間接効果が県内で約105億円、同市内で約53億円となり、生産拡大による収入増を示す第2次間接効果が県内約92億円、同市内約50億円などと試算した。
姫路城は「平成の大修理」を終え、昨年3月27日にグランドオープン。今年3月31日までの入場者数は約292万7000人にのぼり、平成27年度の統計では、全国の城郭の中で初めて入場者数第1位を記録した。
同市シティプロモーション推進課は「この勢いを一過性に終わらせないことが大事。姫路には、夜もハモや姫路おでんなど地元のおいしいものを食べさせる飲食店がたくさんあり、滞在型観光のあり方を検討していきたい」としている。
http://www.sankei.com/west/news/160510/wst1605100021-n1.html
もう少し晴れてたら、もっと白さが映えたんでしょうけど、それはまあ、仕方ありません。
城郭の建物も見事なんですけど、それを支える石垣も、実に立派です。惚れ惚れします。
ということで、石垣を見ていくと。
まずここでは、古墳の石棺を転用したという積石を説明板とともに見ることができます。この丘陵地にもともとあった古墳群が築城時に壊され、そこから出た石棺を石材として転用したのだと推測されています。
近くにあるこれも、それっぽいですね。
こうした石棺の転用石は実はもっとあるらしいのですが、詳しくはこちらをご参照ください。
はじめての姫路城観光旅行レビュー - 姫路城の刻印石、墓石、そしてハ-ト石と人面石
そして、もっと下った場所にある下山里と上山里下段石垣。ここでも多くの転用石を見ることができます。
このあたりは、現在の姿となった池田輝政の修築以前の石垣が残っているのですが、ここではそれ以前にこの地にあった寺院の墓地から転用した墓石などの仏石が使われていたとのことです。石垣を見上げる一隅に、修築工事の際に出てきた仏石を集めて組み合わせて積み上げたものを見ることができます。
この部分の石垣は、以前にひらパー兄さんが扮した黒田官兵衛絡みで、改めて注目を集めたみたいです。
「転用された多数の墓石類がはっきり確認できる」という点では福知山城などの方が上でしょうが、古墳を破壊して石棺を転用するなど、その規模にふさわしい豪快な転用を見ることのできる姫路城の石垣は、これまた実に興味深い歴史の痕跡を現認することができるスポットです。
釜山の峨眉洞を訪れる時にも、世界文化遺産にして国宝であるこの姫路城のことを思い出しながら、歩いて回りたいものです。
【釜山の風景】【福知山の風景】峨眉洞碑石マウルと福知山城 - 大塚愛と死の哲学
追記: ネットでは、こういう論文も読めるようになってますね。
墓塔・墓標の二次的使用に関する一考察--中・近世における諸例の分析を通して : 1999-03|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
https://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/1324/1/rekisikenkyu36_p173-197.pdf