これ、面白い試みですね。
選手たちにとっても、新鮮でいい経験になるでしょうけど、それ以上に、指導者や保護者にとって、いい経験になるのではないでしょうか。少年スポーツや学校教育の問題の大半は、いい歳した大人の側にあるわけですからね。
誰を対象にした「教育」になるか、ってことですわ。
指導者も保護者も口出しなし 少年サッカー大会の試みは
編集委員・中小路徹 2018年11月14日13時57分
サイレントカップで、ハーフタイムに後半のフォーメーションを確認する子どもたち
サイレントカップで、ハーフタイムに後半のメンバーを話し合う子どもたち
サイレントカップで、ハーフタイムに話し合う子どもたち
サイレントカップのベンチにいるのは子どもたちだけだ指導者や保護者は口出しせず、黙っていよう――そんな少年サッカー大会が、愛知県で定期的に開かれている。その名もサイレントカップ。子どもたちの主体性を高め、問題解決能力やコミュニケーション能力を養おうという試みだ。
10月21日、愛知県東浦町の多目的広場に、西三河地区の地域クラブを中心とする小学5年の8チームが集った。
ハーフタイム。「疲れてできない人はいる?」と、キャプテンが交代希望を聞いているチームもあれば、「もっとサイドを使おうよ」と修正点を言い合っているチームもあった。
サイレントカップを主催するのは、刈谷市のワイヴァンFC。クラブダイレクターの今久保隆博さんは、始めたきっかけを「どの試合も監督やコーチが子どもたちを先導し、多くの指示が飛び交う。ミスを指摘され、ベンチに下げられた子どもが叱責(しっせき)を受ける。そんな様子に疑問を感じた」と振り返る。「子どもはこの年代からアクティブに取り組むことでこそ、サッカー以外の部分を含めて将来の適応能力がつく。そして、指導者には普段の練習のあり方を見つめる機会にしてほしい」と話す。
ピッチ脇に大人は入れず
ピッチ脇に大人は入れない。ハーフタイムのミーティングや選手交代はもちろん、試合前のウォーミングアップや先発メンバーの決定、作戦など、試合に関わるすべてを子どもたちに預ける。そして、試合に全員が出るのがルールだ。昨年11月に1回目を行い、今回が13回目だった。
名古屋市の守山FCは初参加。子どもたちに感想を聞くと、「味方に何をアドバイスしていいか、わからない」と戸惑いの声が出た。一方、メンバーの決め方は「試合に出る時間を平等にしている」という。
見崎渉コーチは「いつも作戦を授けてしまい、プレーを限定させているかも。もっと任せていいと思った」と話した。岡崎市の細川少年サッカークラブの高野克美監督は「もどかしい」と本音を明かしつつ、普段と違うフォーメーションを選択しているのを見て「固定観念にとらわれていない」と感心した。
試合では、一つの傾向が出る。相手のカウンターを受けての失点が多くなるのだ。指導者の指示がないと、スペースを突かれる場面が増える。かつてJ1名古屋で主に育成を担当していた今久保さんは、「守備意識が低いというより、得点をしたいという本能的な欲求の表れ」とみている。
大人が黙るサッカーは、子どもたちの主体性だけでなく、得点に結びつくプレーをめざす積極性も育む。(編集委員・中小路徹)