韓国の若者たちが置かれた現実:就職と結婚

目についた記事を備忘録的にクリップ。

こちらは昨年のクリスマスの日経の記事ですが、今年になって状況が好転したという話を特に聞いてはいません。この苦境は依然として継続しているのではないでしょうか。

起業も政策も不発 出口なき韓国の就職難
2017/12/24 17:27 日本経済新聞 電子版

韓国では、職を得ることが給料を受け取る以上の意味を持つ。社会的な地位は勤め先と役職に大きく左右され、有名企業に就職できない場合は脱落者のレッテルさえ貼られる。最も影響を受けているのが若者たちだ。15~29歳の失業率は10月時点で8.6%と、全年齢の平均の3.2%を大幅に上回る。

崔瑞尹(チェ・ソユン)さん(31)はソウルの大学を卒業したものの、希望するメディアの仕事に就けなかった。彼女は生活のため、自家製レモンティーを売る友人を手伝ったり、肖像画を描いたりした。就職試験に2年連続で失敗した後の2012年、逆境を生かそうと「剰余」という雑誌を創刊した。雑誌名は仕事を探すのをやめたか、平凡な暮らしを拒否したため、競争に取り残された人をあらわすという。

雑誌では政治からデートの仕方まで幅広いテーマを扱ったが、月刊・隔月刊で18号刊行した後、休刊した。崔さんは、別のパートの仕事で収入を増やすことに集中すべきと判断したのだ。短い期間の起業・廃業はよくあるパターンといえる。若年層が経営する小売店や飲食店の多くは、ソウルなど大都市に出店する。しかし賃料の高さや事業の判断力のなさから、すぐに廃業してしまうことが多い。国税庁の調べでは、11年に15~34歳の人が始めた22万8460の事業のうち、5年後も続いていたのは23.5%だけだった。

起業が職を得る解決策といえない中、文在寅ムン・ジェイン)政権は政策課題に雇用の創出をあげた。公共部門で雇用を増やし、民間企業が雇用を増やせば助成金を支給する。だが今のところ、大きな変化はあらわれない。韓国銀行(中央銀行)は17年、3年ぶりに3%台の成長を見込むなど、経済そのものは堅調といえる。企画財政省は「若者が好むIT(情報技術)業界などに適当な働き口がない」とみる。

韓国では、社会的地位を得る競争が幼いころから始まる。競争に備え、未就学児に家庭教師を雇うのも普通だ。小中学校では、生徒がソウルの難関大学などを目指し受験知識を詰め込む。国際通貨基金IMF)は、韓国の貧富の二極化と不平等がますます悪化し、若者に加え高齢者も社会から疎外される可能性を示唆する。

家計をやりくりするため、借金をせざるを得ない若者も少なくない。金利の高い消費者金融からの借り入れに頼る場合さえある。借金にまみれた若者は、自国を「ヘル朝鮮(地獄のように生きづらい韓国社会)」と呼ぶ。彼らの怒りは、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領を退陣に追い込んだ、昨秋からの「ろうそく革命」と呼ばれる抵抗運動の一因になったとみられる。より良い仕事と生活を求め、カナダやドイツといった海外に移住する人もいる。

IMFアジア太平洋局長の李昌●(かねへんに庸)(イ・チャンヨン)氏は韓国メディアに対し「若者の失業対策などに手をつけなければ、将来必要な国家予算はさらに増えるだろう」と語り、事態を懸念する。政府系シンクタンクの韓国産業研究院の研究委員、金周泳(キム・チュヨン)氏は「環境や少子高齢化人工知能(AI)などに関する産業への投資を通じ、質の高い雇用を生み出す必要がある」と警鐘を鳴らしている。

(ソウル=金再源)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24970610S7A221C1TM3000/

その上での、結婚「しない、できない」という話です。「したい人しかしない」という以前の、「できる人しかしない」という、言ってしまえば当然の話です。

かつての経済成長期なら、「できない人がしても何とかなった」かもしれませんが、今日日そんな楽観的な将来観測をできる人はまあ、減ってると思います。

就職難、住居価格高く、人口減って…結婚「しない、できない」韓国の若者たち
登録:2018-03-21 22:07 修正:2018-03-22 16:59

昨年婚姻件数“史上最低”
婚姻26万5千件…1年間で6.1%減
2012年以後、6年連続減少傾向
20代「結婚は必須」42%
初婚年齢は男性32.9才歳・女性30.2歳
婚姻減り離婚も減り、最近20年で最低
「20年以上暮らして離婚」10年間に1.3倍増加

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婚姻件数・粗婚姻率の推移=資料:統計庁//ハンギョレ新聞社

 婚姻適齢期の人口が減り、青年失業・住居負担などが重なり、昨年の婚姻件数が26万5千件に終わり最近40年間で最低を記録した。粗婚姻率(人口1千人当りの婚姻件数)も1970年に関連統計が作成されて以来、最低水準だ。

 統計庁が21日に発表した「2017年婚姻・離婚統計」によれば、昨年の婚姻件数は一年前より6.1%減った26万4500件で、1974年(25万9600件)以後最も少なかった。年間婚姻件数は、2012年以後6年連続で減少傾向だ。1996年に43万4900件で頂点を打った後、19年間にわたり30万件台を維持してきたが、2016年に20万件台になった。ただし、昨年の減少幅(6.1%)は2016年(7.0%)よりは鈍化した。歴代最低水準の粗婚姻率の場合、昨年5.2件(人口1千人当り)で前年よりさらに下がった。

 傾向的に婚姻が急減しているのは、人口構造の変動と青年が体験している社会・経済的現実、および認識の変化が複合的に作用したことに伴うものだ。イ・ジヨン統計庁人口動向課長は「昨年30代初めの人口が前年対比で5.6%程度減少し、20代後半の青年の失業率が高まる傾向であるのに加え、貸し切り住宅(伝貰)の価格指数も上昇を続けている状況なので、独立した生計を立てるための婚姻条件に否定的影響を及ぼしたと見られる」と説明した。

 結婚をしなければならないという認識も低下した。2年ごとに発表される社会調査結果によれば、20代のうち「結婚は必ずしなければならない」や「した方が良い」と答えた比率が、2010年の59.3%から2016年には42.0%に減った。実際、昨年の初婚件数は一年前より6.8%(-1万5千件)も減少し、特に男女共に30代初めの年齢で減少幅が目立った。また、平均初婚年齢は、男性は32.9歳、女性は30.2歳で、10年前に比べて1.8歳、2.2歳上昇した。

 初婚の減少と初婚年齢の上昇は、結果的に出産率の低下につながる。「2017年出生死亡統計暫定結果」によれば、昨年生まれた子どもは初めて40万人以下に下落し、合計特殊出生率は歴代最低値である1.05人を記録した。合計特殊出生率は、15~49歳の女性が産むと期待される子どもの数を意味し、韓国は経済協力開発機構(OECD)35加盟国平均(1.68人・2015年基準)を大きく下回る。イ・ジヨン課長は「初婚後2年ほど過ぎた後に最初の子どもを産む比率が高いが、2016年と昨年に初婚件数が5%以上減少したため、2~3年後には最初の出産に良くない影響を及ぼすだろう」と説明した。

 婚姻が減り離婚件数も減っている。昨年の離婚件数は10万6千件で、2015年に比べて1300件(-1.2%)減少した。1997年以後、最も低い水準だ。また、20年以上婚姻関係を維持した夫婦の離婚が増え、平均離婚年齢は上昇している。昨年20年以上夫婦の離婚は3万3100件で、2007年(2万5千件)より1.3倍増えた。平均離婚年齢は、男性47.6歳、女性44歳だった。10年前と比較すれば5歳近く高まった。

チョン・ウンジュ記者
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/837135.html
韓国語原文入力:2018-03-21 18:54 訳J.S

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30094.html