倉敷・水島の歴史散歩的郷土史

こういう地域での自発的な歴史調査や活動が、「郷土史」というジャンルを作り上げ、歴史研究の厚みを増しているんですよねえ。

こういう本を読んでから水島臨海鉄道に乗れば、車窓の風景の見え方もまた違ってくるかもしれません。

www.youtube.com

水島の歴史や史跡、深掘り解説 倉敷の杉原さん、本発刊

f:id:bluetears_osaka:20200317112959j:plain
著書を手に「本を読んで、実際に水島を訪ねてほしい」と話す杉原さん

 倉敷市の杉原尚示さん(75)が、同市水島地区の歴史や史跡にまつわるエピソードをまとめた「歴史散策は楽しい―倉敷市水島のまち・ひと・自然」(吉備人出版)を発刊した。杉原さんは「工業地帯の印象が強い水島だが、多様な歴史がある。調べれば調べるほど面白い地域」とまちの魅力を語る。

 杉原さんは市中心部に近い帯江地区で生まれ育ち、同地域について書籍を出版している。2016年に現住所に転居したのを機に周辺の水島地区でも調査と執筆を開始。「歴史散策は―」には、同年以降に書きためた文章を中心に掲載している。

 「倉敷に70年以上住んでいるが、私にとって新発見の連続だった」と杉原さん。1516年に鹿児島沖で薩摩軍と戦い敗死した連島水軍の三宅国秀については、琉球を攻めに行ったという従来の見方と異なる、幕府の意向で琉球航路を開拓しようとしたとの説を紹介。福田町古新田の開発では、大庄屋の佐藤九郎兵衛が6年にわたり幕府に求め続け、大岡越前守が参加した裁判で認められた逸話などを取り上げた。

 現在の水島に関しても戦争遺跡やコンビナート企業、公害など多様な観点から解説。公害訴訟の和解金を基に誕生した水島地域環境再生財団(みずしま財団)の活動をはじめ、住民や企業が協力して環境を守る運動をしているとして「未来社会の一つのモデル」と評している。

 自身の手法を「ワイドショー的」と称する杉原さん。まちを歩いて興味を引かれたことを、書物で調べたり人に聞いたりして深掘りするという。今作でも、史跡を訪れた感想や調査過程を織り交ぜ、軽いタッチで古代から現代までをたどった。

 杉原さんは「本を読んで、実際に水島を訪ねてほしい。きっとそれまでのイメージとは違う姿を感じられると思う」と話す。

 四六判、230ページ。1540円。
(2020年03月15日 21時52分 更新)

https://www.sanyonews.jp/article/993483