少し間を空けて、大分合同新聞と毎日新聞に同じお寺さんの記事が出ていました。
韓国の「葬事等に関する法律」第2条では、「「自然葬」とは、火葬した遺骨の骨粉を樹木・草花・芝生などの下や周囲に埋めて葬ることをいう」と定義されています。大分合同新聞の記事にある「特殊な土」というのがどういうものだかわかりませんが、見る限りでは粉末化した遺骨を地面に直埋めして自然還元を図るという韓国的なスタイルに通じるものであると思われます。ポイントは、「散骨」ではなく、「埋葬」する形式だという点です。
これが、次の時代の葬り方・葬られ方として目立つケースになるのか、それとも目立たなくなっていくのか、中長期的な目で見ていく必要がありそうです。
大分市の霊山寺、遺骨を土に返す「自然葬」 墓の管理困難、ニーズに応える
2020/09/09 03:01
(左から)自然葬のモニュメントを設計した松田周作さん、稙田恵秀住職、池や遊歩道を整備する木原寛さん=大分市岡川
水面にモニュメントや周囲の緑が映り込む弁天池。インスタ映えスポットとして早くも人気を集めている【大分】大分市岡川の霊山(りょうぜん)寺(稙田恵秀住職)が今月から、遺骨を土に返す「自然葬」を始める。少子高齢化などで先祖代々の墓を管理、継承するのが難しいケースが増え、「墓じまいしたい」「跡継ぎを必要としない永代供養墓がいい」といったニーズに応えるのが狙い。寺によると、同市では初めてという。境内の埋葬場所にモニュメントを設置し、9日に完工式を開く。
稙田住職(89)によると、最近は「自然の中で土に返って眠りたい」といった要望も増えている。「かつては自然葬が当たり前で、多くが土葬されていた。残された家族への負担も考慮し、こうした埋葬の形を選ぶ人が増えるのではないか」とみる。
寺は霊山(596メートル)の中腹にある。敷地の一角にステンレス製の円形モニュメント(高さ約4・5メートル、直径約5メートル)を設置し、中央には本尊を模した十一面観音菩薩(ぼさつ)像を祭った。像の足元には特殊な土を配しており、遺骨を埋めると長い時間をかけて大地に返る仕組みという。
設計は住職と交流があった建築家の松田周作さん(41)=同市府内町=が手掛けた。「自然の中にあえて現代的な人工物を置き、約1300年にわたる寺の歴史や景観を際立たせた」と話す。
周辺には本堂や鐘突き堂、展望台、オオイタサンショウウオが生息する弁天池があり「回遊庭園としての可能性を感じた」。
寺で座禅会や写経会を開いている木原寛さん(44)=同市勢家町=と一緒に昨年9月から弁天池の土砂をかき出し、竹や雑木を伐採して遊歩道などの整備を続けている。
松田さんの下で学ぶ大学生や、フェイスブックで取り組みを知った市民らも参加し、週末に汗を流している。
一帯は由布岳や鶴見岳、高崎山、別府湾が一望でき、秋は紅葉狩りが楽しめる。市認定の森林セラピーロードとしてトレッキングを楽しむ人の姿も多い。
稙田住職は「山や草木のエネルギーがあふれる場所。新たな憩いの場として末永く親しんでもらいたい」と願っている。
<メモ>
霊山寺は708年創建。かつては最澄(さいちょう)、空海ゆかりの修験道場として栄えた。松平忠直が寄進した山門は大分市の指定文化財。自然葬の費用は1人35万円。月1回法要し、親族はいつでもお参りできる。生前予約も受け付ける。問い合わせは同寺。※この記事は、9月9日 大分合同新聞 13ページに掲載されています。
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2020/09/09/JD0059545361
変わる墓のあり方 大分の寺に自然葬モニュメント 火葬後に散骨
毎日新聞2020年9月18日 12時23分(最終更新 9月18日 13時16分)
霊山寺に新しく建築された自然葬モニュメント=大分市で、河慧琳撮影死生観や死との向き合い方が変わりつつあるなかで、墓碑を作らず、海や野山、大樹の根元などに散骨する「自然葬」が注目されている。大分市の霊山寺では、今月から自然葬を始めた。稙田恵秀(わさだ・えしゅう)住職(89)は「自然に返りたいと要望する声が増えてきている。高齢化や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、墓の在り方は変わってきている」と話す。【河慧琳】
故人を火葬した後に、希望の場所に散骨し、自然に返す自然葬は、法務省が1991年に「節度を持って行われる限り問題はない」との見解を示したことなどから、少しずつ浸透している。
2019年に107件の自然葬をしたNPO法人「葬送の自由をすすめる会」によると、自然葬の普及には少子高齢化や核家族化によって墓の継承が難しくなっていることや、環境保護への観点からも自然葬を希望する人が増えているという。
稙田住職は「社会の要請に応えて、自然葬モニュメントを建造することを決めた」と話す。
霊山寺では、ステンレスで覆われた円形のモニュメント(高さ約3メートル、直径約5メートル)を用意。遺骨は粉末にしてモニュメント内の土に混ぜるようにした。
モニュメントの中央には、十一面観音菩薩(ぼさつ)像を設置し、遺族が墓参りに訪れた時に手を合わせることもできるようにした。
稙田住職は「高齢化社会や都市に定住する人が増えたことで墓の継承が容易ではなくなっている。今後、新型コロナウイルスの影響もあり、自然葬は増えるだろう」とした上で「墓碑という目に見える形がなくても、亡くなった方を思う気持ちが大事」と話す。