あなたは遠くへ、そして永川へ

昨日の「ノムノムノム」に引き続き、今日は南浦洞の釜山劇場で「님은 먼곳에」を観た。

主演のスエと言えば、「4月のキス」の、いささか感情の起伏の激しい扱いにくい女性を演じるイメージがあったのだが、この映画ではそうした部分をうまく残しつつ、難しい役を見事にこなしている。「ノムノムノム」の陰に隠れた形になっているが、正直これは名作であると思う。

これはどういうジャンルの映画か。
ラブストーリーではない。そもそも始まりからしてそれとは程遠い。
戦争映画でもない。戦争における人間模様の描き方にはかなりの程度まで共感できるのだが、言い換えればそれ(現代的価値観の下での共感)は「リアリティがない」ということでもある。
けっきょくのところ、この作品は、「人間がいかに合理的でも理性的でもないところで突き動かされて生きるか」という一点を、これでもかこれでもかと見せつけているのではないか。金も命もどうでもいい。しかしそれを誰も嘲笑うことができない。合理的選択とは程遠い選択が次々となされ、そうするしかないと誰もが説得され、そして同じように突き動かされていく。
実にリアルな非合理。こういうものに魅せられるから、私は合理的なポリティカルサイエンスの人たちの議論が生理的に嫌いなのである。


ところで、上に書いたことは依然として本題ではないのである。

ああ違った。

永川の市外バスターミナルから座席バスに乗ってさらに約40分(1900ウォン)という実に不便な場所にある(陸軍3士官学校*1よりもさらに市街地から遠い)のだが、決して閑散としてはおらず、施設としてはまだ生命力に溢れていることを体感してきた。

考えることはいろいろとあるが、とにかくここは継続観察の対象であるので、まず予備調査的な下見をしたという感じであろうか。

*1:「第3士官学校」ではなく、「3士官学校」であるらしい。陸軍士官学校とは別に中堅幹部を養成するための学校のようである。この学校については、下記のリンクなど参照。「陸軍士官学校の卒業式に参加した盧大統領」「【写真】陸軍3士官学校で卒業式」「12月の朝雲ニュース これも初、韓国研修 88期」「ROTC·육군3사는 아직도 금녀구역」