独立紀念館よ、どこへ行く…

昨日までとは一転、酷寒の中、何を好き好んでか、吹きっさらしのところに行ってしまった。

천안(天安)までは、ソウルからは高速バスターミナルの一般高速バスか、ソウル南部バスターミナルの市外バス利用で4800ウォン。東ソウルからだと5300ウォンと優等バスでもないのにちょっとお高くなる。


高速バスだと天安の高速バスターミナルに、市外バスだと市外バスターミナルに到着することになるが、両ターミナルはほぼ隣接している。そこから目的地までは、市外バスターミナルが入っている百貨店前のバス停から400番のバスに乗って30分弱。料金は1100ウォン。このバスはほぼ10分おきに出ているので、目の前で行かれてしまっても慌てる必要はない。ちなみにソウル地下鉄1号線が運行している天安駅も経由する。

さて最近、独立紀念館が展示の改革を進めていると噂には聞いていたのだが、実際かなり展示が刷新されている。

このようにまだ工事中のところもあって、全体としては改革途上ではあるが、相当大規模に装いを新たにしている。数年前までのイメージでいると面食らうかもしれない。




こうしたパネルを多用した展示形式を見ていて私が思い出すのは、靖国神社遊就館である。上記の3・1運動に関する展示など、容易に九段坂上への連想を誘う。



個人的には、それらの展示の歴史観の是非などには興味はない。ただ、こうしたものにはやはり定型的な様式が存在するのだということを、ここでは確認しておきたいと思う。


さて、今回の酷寒日帰り行の目的は、このような新しい展示を見ることだけではなかった。

朝鮮総督府庁舎の廃材を展示したエリアに向かう道の途中にぽつんと置かれたこの石碑。実はもともと独立紀念館の正面に置かれていた。この碑に刻まれている建立文を書いたのが時の大統領・전두환(全斗煥)。時代の流れによって元の場所からは撤去され、敷地のセンターラインを外れた総督府の廃材の手前に移されてしまった*1


かつてこの碑があったと思しき場所には、新しい碑が建てられていた。

独立紀念館なりの過去清算なのだろう。
だが、この持て余し気味の土地の具合と、展示のイノベーションの方向性からして「万博公園内の遊就館」といった趣が濃厚なたたずまいから、施設としての明るい未来を感じ取ることは可能なのであろうか。
酷寒の中でそういうことを考えても、なかなか前向きにはなれないということだけは、実感として確かであった。
 

*1:ちなみに、この道を案内する表示には、「朝鮮総督府部材展示公園」の名はあるが、この碑の案内はない。トイレの案内はあるのに…。