「4・19世代」による李承晩再評価

この手の記事に対する私のツッコミは決まっています。

「で、あんたらは?」

従来からの批判対象、例えば金大中盧武鉉の政権を、少し客観的に、余裕を持って見つめ直すなんてのは、どこがやるべき作業だと思いますか?

期待してますよ。辛抱強さを。

記事入力 : 2010/04/16 17:00:26
【コラム】「4・19世代」による李承晩大統領の再評価(上)

 政治学者の崔章集(チェ・ジャンジプ)高麗大学名誉教授は最近、金禹昌(キム・ウチャン)梨花女子大学碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)と行った『4・19革命50周年記念対談』で、当時民衆デモにより下野した李承晩(イ・スンマン)大統領について、「これまで行き過ぎた批判を受けてきたのは事実」とわずかながらも擁護する発言を行った。これは、金教授が自由党の独裁について、「李承晩大統領個人の問題ではなく、態勢そのものの問題に起因していた」という趣旨で主張を展開した直後に出た言葉だ。

 進歩陣営の代表的な政治学者として知られる崔教授は、「内乱に匹敵するような混乱の中で大韓民国は建国し、北朝鮮との激しい対立状況にあった」と前置きした上で、「戦争を経て、そのような対立の中で治安と秩序を懸命に守るためには、“独裁はほぼ必然的なものだった”」と指摘する。最近のイラクアフガニスタンなど、正常に秩序を守って法を適用することができない国では、民主主義を実現させることは非常に難しい。こうした世界の現状からも、韓国の当時の状況をうかがい知ることができるということだ。

 「これらの国々の最近の様子をみると、韓国の解放直後の状況が思い起こされる。われわれは今や、政治学も他国のケースについても学んだ。李承晩政権時代に国民は、民主主義に大きな期待を抱いていたかもしれないが、実際にこれを実現させるのは困難だったはずだ。今になって、このような時代背景についてようやく理解できるようになった」

 4・19革命当時、崔教授は高校3年生だった。デモに参加したいわゆる「4・19世代」では、一番若い年代に当たる。また当時、ソウル大学政治学科の3年生でデモに参加していたイ・ヨンイル氏も、「1960年代に新たに独立した国々では、民主主義の変質や歪曲(わいきょく)、憲法外政府の出現は珍しくなかった。また韓国でも、民主党政府を崩壊させた5・16革命以来、軍事独裁政権が25年間も続いた。こうした数々の歴史を振り返ると、李承晩大統領による反民主主義的な行為を絶対悪とばかりは断罪できないだろう」という趣旨の発言を、あるセミナーで行った。「4・19世代」も、50年が過ぎた今、李承晩政権時代について少し客観的に、余裕を持って見つめ始めたのだ。

http://www.chosunonline.com/news/20100416000067

記事入力 : 2010/04/16 17:00:35
【コラム】「4・19世代」による李承晩大統領の再評価(下)

 韓国社会が今も抱えている対立の多くは、韓国現代史、中でも歴代大統領をどのように評価するかという問題と密接にかかわっている。これまで知識人たちの間で否定的な評価が強かったのは、朴正熙(パク・チョンヒ)、盧泰愚(ノ・テウ)、金泳三(キム・ヨンサム)各大統領の時代だが、幸いなことに、これらに対しても、より柔軟に見つめ直す作業が行われている。文芸学術誌を出版する株式会社創批の編集人である白楽晴(ペク・ナクチョン)氏は、「持続不可能」としながらも、朴大統領による経済政策の成果を認めている。チョ・ヒヨン聖公会大学教授も、著書『朴正熙と開発独裁時代』で、「朴正熙体制は矛盾を抱えてはいたものの、開発を成功させたという事実については、一定の評価ができる」という趣旨の主張を展開した。朴正熙時代を完全に否定していた以前の支配的な見方が見直され始めているというわけだ。

 政治学者の姜正仁(カン・ジョンイン)西江大学教授は、昨年行われたあるセミナーで、盧泰愚、金泳三両政権について、「軍事政権が少しずつ後退できる退路を整え、民主化を比較的穏やかに実現させた」と評価した。このような見直し作業が今後も続けば、現在「失われた10年」などと批判を受けている金大中(キム・デジュン)、盧武鉉ノ・ムヒョン)両政権に対する評価も、新たに見直されるようになるかもしれない。

 4・19革命から50年、5・18光州民主化運動から30年、韓国戦争(朝鮮戦争)から60年、日本による強制併合から100年と、韓国は最近さまざまな意味で節目の時期を迎えている。これら大きな節目に、数々の紆余曲折を経た韓国現代史を改めて振り返り、その結果、「あくまでわれわれ内部の分裂だった」として国の力を結集するのか、あるいは立場の違いを再び明確にして、互いへの批判をエスカレートさせるのかはわれわれの行動にかかっている。辛抱強さという観点から韓国現代史を見つめ直せば、よくもこれほどまでに耐え抜いたといえるだろう。

金基哲(キム・ギチョル)文化部次長待遇

http://www.chosunonline.com/news/20100416000068