「KTX新時代」のあれやこれや

まずは天安牙山と大田との間に新設される五松駅のお話。ここでも書いた五松ですが、場所については下記の地図をどうぞ*1

韓国内では中部にあるにもかかわらず僻地感が否めない忠清北道が、この駅に相当の期待をかけているのがわかります。

記事入力 : 2010/10/29 11:34:25
KTX:20年の宿願、「五松駅時代」到来(上)

KTX来月1日からKTX京釜線の運行開始、湖南線駅も2014年に開通
「100年の繁栄をもたらす」

 清州や清原をはじめとする忠清道地方の住民にとって、20年来の宿願事業だった「高速鉄道五松駅」の時代がついに幕を開けた。

 忠清北道と韓国鉄道施設公団は28日、李始鍾(イ・シジョン)忠清北道知事や、地元選出の国会議員などおよそ700人が出席する中、五松駅(忠清北道清原郡江外面)で韓国高速鉄道KTX)五松駅完成記念式を開催した。五松駅は、11月1日にKTXが運行を開始する(ソウル−釜山間)のを皮切りに、本格的な高速鉄道時代を迎える。

 釜山駅でのKTX京釜線の第2期工事区間(東大邱−釜山)開通式と連携する形で行われたこの日の行事は、金滉植(キム・ファンシク)首相の祝辞中継に始まり、李知事の五松時代宣言、テープカットの順で進められた。

 李知事は五松時代宣言で、「五松駅舎の完成と開通は、大韓民国高速鉄道の歴史に長く残る記念すべき出来事だ。きょうは希望の五松時代の幕開けとなる日」と語った。また李知事は、「五松は、人と物流をつなぐ“夢のシルクロード”の主発点にして、“生命と太陽の地・忠北”を実現するけん引車であり、“大韓民国の疎通と統合”の中心になる」と語り、五松時代の開幕を宣言した。続いて「きょうは、忠清北道にとってこの先100年の繁栄をもたらす日」という言葉も添えた。


李始鍾忠清北道知事をはじめ多くの参列者が28日、KTX京釜線五松駅の完成記念式に出席した。/写真=シン・ヒョンジョン記者

http://www.chosunonline.com/news/20101029000045

記事入力 : 2010/10/29 11:34:38
KTX:20年の宿願、「五松駅時代」到来(下)

 五松駅の完成に伴い、来月1日からKTX京釜線の列車が停車するようになれば、五松からソウルまで40分、大邱まで60分、慶州まで80分、釜山まで100分台でアクセス可能になり、忠清北道は「2時間以内の生活圏」の中心となる。また、KTX京釜線五松駅の開通に伴い、2014年にKTX湖南線と江南・水西線が連結されれば、五松駅は韓国で唯一の融複合プラットホームとして、韓国鉄道網X軸の中心になると予想される。さらに京釜線、湖南線はもちろん、忠州−堤川−太白−江陵を結ぶ中部内陸圏の交通の要衝地としても注目される。

 五松駅は、KTX京釜線と同湖南線の分岐駅だが、まず2ホーム6線の京釜線駅が建設され、2ホーム4線の湖南線駅は2014年12月に開通予定だ。今回完成した京釜線五松駅には、一日当たり平日21本、週末25本が停車し、ソウルまでの運賃は平日1万6800ウォン(約1217円)、週末1万8000ウォン(約1304円)に設定されている。

 五松駅の完成は、忠清北道地域の産業経済にも少なからぬ影響を与えると期待されている。先端医療複合団地や保健医療行政タウン、生命科学団地、バイオ関連企業や研究所などが密集する五松を、韓国のバイオ産業の中心地として発展させる考えだ。また、近隣の清州国際空港、梧倉化学産業団地、曽坪・陰城・鎮川太陽光産業団地などと連携し、中部圏の産業中心地としての地位を確立するのに大きく寄与するものとみられる。

 忠清北道は五松時代の幕開けを契機として、忠清内陸高速化道路の建設、首都圏鉄道の延長、五松−世宗市−空港間連結道路の早期完工、忠北経済自由区域の早期指定などを韓国政府に求めた。また忠清北道側は、「五松時代の開幕にふさわしい道路、交通、学校、住宅など、独自インフラを早期に構築できるよう努力する」と語った。

 忠清北道、清州市、清原郡など関連自治体や地域の市民団体などは、高速鉄道の分岐駅を五松に誘致するため、1998年に対策委員会を結成し、積極的なPR活動の結果、2005年に五松分岐駅の誘致に成功した。

劉泰鍾(ユ・テジョン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20101029000046

京畿道は京畿道で、光明駅を除いてはスルーされていた*2KTXが道庁所在地である水原に停車するのを歓迎していることは、前にも触れました。

記事入力 : 2010/10/29 11:32:06
KTX京釜線、来月から水原駅に停車へ

 水原市は28日、韓国高速鉄道KTX京釜線の第2期工事区間(東大邱−釜山)の開通により、来月1日からKTXが一日8本(上り・下り各4本ずつ)水原駅に停車すると発表した。これに伴い、乗客が水原からKTXを利用し釜山に向かう場合の所要時間は、3時間7分となる。

 従来のセマウル号を利用した場合の4時間35分に比べ、1時間28分短縮。KTXの利用料金は、水原−釜山間の片道が金曜・土曜・日曜および公休日は4万2600ウォン(約3086円)、月曜から木曜までは3万9800ウォン(約2883円)。また、水原−蔚山間の片道はそれぞれ3万7100ウォン(約2688円)、3万4600ウォン(約2506円)。水原−新慶州間の片道はそれぞれ3万3400ウォン(約2420円)、3万1200ウォン(約2260円)となっている。KTXの水原到着時間は、下りが午前8時52分、10時48分、午後5時42分、7時32分で、上りは午後0時59分、3時33分、8時41分、11時10分。

 また水原市では、2014年に湖南線と首都圏高速鉄道が完成した場合、水原駅への追加停車も予想している。

梁熙東(ヤン・ヒドン)記者

http://www.chosunonline.com/news/20101029000044

そして、こうして(湖南地方を残して)高速鉄道路線をとりあえず完成させた韓国ですが、今後いくら路線を整備したところで、国土的にはやはり限界があります。ソウル・幸信から京義線を北上して平壌新義州までKTXを延伸させられるのなら話は別ですが。

将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情

将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情

そこで出てくるのが、「鉄道技術の海外輸出」ということになります。これまで日本の鉄道技術輸出のライバルと言えばフランス・ドイツと相場が決まっていましたが、韓国が今後そこに割り込んでくるのは間違いないでしょう。

記事入力 : 2010/10/29 11:06:51
韓国の高速鉄道技術、世界第4位に

 世界で5番目に高速鉄道を持つ国となった韓国は、フランス・ドイツ・日本に次ぐ、世界第4の高速鉄道の技術を持つことになった。1994年に韓国が高速鉄道の技術開発に着手してから、わずか16年でここまでの地位を築いた。

 高速鉄道の技術開発に着手した当時、韓国の技術で可能な最高時速は150キロ程度にすぎなかった。フランスなどの先進国に比べると、技術的に15年遅れていた。だが、韓国鉄道技術研究院のキム・ギファン次世代高速鉄道事業団長によると、現在その格差は3−5年程度に縮まり、高速鉄道車両の国産化率も88%まで上昇したという。

 速度も先進国と同程度の水準まで向上した。韓国高速鉄道KTX)の最高時速は300キロで、先進国の車両と大差はない。中国の高速鉄道の速度(時速330−350キロ)は韓国よりも速いが、技術面では劣っている。

 しかし、車両や信号設備に関しては、まだ先進国に比べ遅れを取っている。なお、電動車の分野では、「KTX山川(サンチョン)」を製作した現代ロテムが、世界で5位のシェアを占めている。

 土木や軌道の分野では、どの国にも引けを取らない状況だ。韓国鉄道施設公団のキム・ビョンホ高速鉄道事業団長は、「土木や軌道の分野は、先進国のフランスやドイツ、日本と比べても遜色(そんしょく)がない。外国の技術者たちも、KTX京釜線の第2期工事区間(東大邱−釜山)の試運転の際、異口同音に『世界最高水準だ』と認めた」と言う。世界的に高速鉄道の技術輸出が可能とされている国は、日本・フランス・ドイツに加え、韓国・スペイン・イタリア・中国ぐらいしかない。高速鉄道は電動車だけでなく、信号・通信設備、建設技術、運営などすべての分野が結合し、発展していかなければならない総合的な事業だからだ。

 韓国は現在、ブラジルや米国カリフォルニア州などに高速鉄道の技術を輸出するため奔走している。高速鉄道の関係者たちは、ブラジルの高速鉄道の受注の可能性について、「先進国に比べ技術的には若干遅れを取っているが、ブラジルが欲している技術はすべて備えており、価格面でも競争力があり、技術移転の面でも強みがあるため、やる価値のある競争になるだろう」と語った。

キム・ミンチョル記者

http://www.chosunonline.com/news/20101029000039

記事入力 : 2010/10/29 11:09:10
【社説】KTX新線開通、次は海外市場へ

KTX 大邱と釜山を結ぶ韓国高速鉄道KTX京釜線の第2期工事区間(東大邱−釜山)事業が完了した。1992年に工事が始まってから18年かけて、ソウル−釜山を結ぶ423.9キロの高速鉄道網を連結した。来月1日からKTXの運行が始まれば、韓国の人口5000万人のうち3500万人が片道2時間で行き来できる生活圏に入り、地域経済や観光・文化をはじめ、さまざまな分野に大きな変化をもたらす見込みだ。

 韓国は、KTX新線開通という慶事を迎えたきょう、高速鉄道関連事業のあすを懸念しなければならないという、矛盾した立場にある。もともと国土の面積が狭く、韓国国内に残る高速鉄道工事は、五松−光州−木浦を結ぶ湖南線を含め、計333キロにしかならず、高速鉄道関連産業をめぐる働き口を懸念しなければならないありさまだ。今回の第2期工事区間のうち、76%を橋やトンネルで結ぶ過程で18件の特許を取得し、先端新技術・新工法に関する経験も積んだ。時速400キロ台の高速列車も開発している。高速鉄道産業が生き残るためには、これを土台に海外市場や大陸路線へ出ていくしか道はない。

 2000年代は、鉄道のルネサンスだ。一時は時代遅れの輸送手段とさげすまれていた鉄道に対する投資ブームが、世界的に起こっている。鉄道車両の市場規模だけでも、09年の197兆ウォン(現在のレートで約14兆円、以下同)から、2020年には360兆ウォン(約26兆円)にまで膨らむという。全世界の鉄道産業の規模は、原子力発電の市場を上回る。拡大するのか停滞するのか、分かれ道に立つKTXも、輸出の道さえ得られれば、韓国経済に新たな成長動力を提供できる。

 韓国の鉄道技術のレベルは、フランスや日本、ドイツの70−80%程度で、高速鉄道の施工経験も少ない。中国は、高速鉄道への投資が遅れていたが、韓国より速い高速鉄道用車両を、極めて低価格で供給する能力を備えた。韓国の高速鉄道が、こうした「すき間」で生きていくためには、フランスのシストラ、日本の海外鉄道技術協力協会(JARTS)のような、海外鉄道事業を支援するための官民合同システムを構築してみるべきだ。

 韓国が単独で海外市場の競争相手国を追い出すのは難しい。高速鉄道の活路は二つある。一つは、建設工事、車両の開発・製造、保守・維持、運営システムの中で、韓国がたけている分野に集中投資し、他国を上回る技術を開発することだ。もう一つは、日本・ドイツ・フランス・中国のうち、何カ国かと共同会社を設立したり、プロジェクト別にコンソーシアムを結成したりして、海外市場攻略の突破口を探すというものだ。

http://www.chosunonline.com/news/20101029000042

*1:この地図、2004年ごろの時点のちょっと古いデータのようで、開通年・開通予定年は現時点での実際とは若干違っています。

*2:ソウル駅・龍山駅があるのは「ソウル特別市」で、京畿道とは別の自治体ということになりますし、天安牙山まで行くともう忠清道になってしまいます。