ハンナラ党、リアリスティックな「脱皮」の試み

一言でまとめれば、「民族統一」から「国民生活」へという重心移行の過程、といったところでしょうか。

記事入力 : 2012/01/30 08:30
与党ハンナラ党、政策綱領から「北の改革・開放」削除へ
非常対策委員会できょう議決予定
「現行の綱領は北朝鮮を刺激」

 与党ハンナラ党非常対策委員会の政策分科委員会はこのほど、現行の政策綱領第18条(韓半島朝鮮半島〉統一)で定められた「北朝鮮の改革・開放の支援または推進に努力し、北朝鮮住民の人権状況改善や自由民主義体制への転換のため取り組んでいく」という内容を大幅に修正する意向を打ち出したことが、29日までに分かった。政策分科委員会は、外交や安全保障、統一に関する綱領をこのように改正する内容を含め、新しい政策綱領の改正案を、30日に行われる非常対策委員会の全体会議に提出し、議決を図る方針だ。

 非常対策委員会の関係者は「政策綱領第18条の一部の内容が、北朝鮮の体制を過度に刺激する恐れがあるとの指摘を受け、一部の内容を修正または削除する方針を決めた」と語った。現行の綱領にある「北朝鮮の改革・開放の支援または推進」という表現は「北朝鮮の社会が国際社会の仲間入りを果たせるよう積極的に支援」に改め、また「北朝鮮住民の人権状況改善や自由民主義体制への転換」という部分は削除する方針を固めたとのことだ。一方、これらの内容とともに第18条で規定された「自由民主的な平和統一に向け、南北双方と韓民族朝鮮民族)全体が賛同できる統一案を樹立し、実現するため総力を傾ける」という内容については維持することとした。

 前出の関係者はまた「新たな綱領には、北朝鮮住民の人権状況や生活を改善するため、同胞愛的な観点からの人道的な支援は、相互互恵の原則に則って引き続き推進し、拡大を図っていく、という内容が盛り込まれた」と語った。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/30/2012013000660.html

記事入力 : 2012/01/31 10:14
ハンナラ党の新政綱、「国民」への言及が急増
6年ぶりの改訂
朴槿恵・非常対策委員長「党に大きな変化があるだろう」

 与党ハンナラ党は30日、党の政綱・政策を全面改訂した。2006年以来、6年ぶりに改訂された新政綱・政策は、福祉や雇用、経済民主化を中心軸に据え「韓国国民の幸福」を前面に押し出したのが特徴だ。4月11日の総選挙や、年末の大統領選挙を見据え、中道政策基調への大転換を予告したわけだ。朴槿恵(パク・クンヘ)非常対策委員長は「政綱・政策の改訂案を基礎として、これから党に大変な変化があるだろう」と語った。

朴槿恵氏が主導する「国民幸福」路線

 前文と10大約束、23項目の細部政策からなる新政綱・政策には「国民」という単語が合わせて43回登場する。従来の政綱には「国民」という表現は9回登場した。「政綱・政策」という名称も「国民との約束」に変わった。これまで、政綱・政策の冒頭に来るのは「大韓民国の先進化」だったが、新政綱・政策の冒頭部は「国民だけを見詰め、国民幸福を最優先の課題とすることを約束する」という内容で始まる。昨年12月の就任の辞で「国民だけを見ていく」と語っていた朴槿恵委員長は、30日のテレビ演説で「今やハンナラ党は、あらゆる意志決定の過程で、国民幸福を最優先の基準とするだろう」と語った。

■福祉・雇用・公正中心へ

 従来の政綱・政策が、国家や市場中心の成長に重きを置いていたのに比べ、新政綱・政策は、個人の生活保障を強化する方向へと変わった。「10大約束」第1条では、朴委員長が提示した「個人の生涯に合わせた福祉」を韓国型の福祉モデルと定めた。従来は綱領の第7条に規定されていた福祉政策を前面に出すことで、朴委員長は、今後の大統領選の過程で福祉政策を中心的な公約として持ち出すことを示唆した。第2条では「雇用率を経済政策の核心指標に設定する」と定め、雇用政策を国政運営の中心に置くこととした。第3条では、公正な市場経済秩序を確立するため、政府の役割を強化することとした。

 一方で「私有財産権の保障」「官治経済の清算」「規制撤廃」など、市場の自律を強調する表現は削除された。朴委員長は「憲法119条(経済民主化条項)の精神を反映し、政府の役割が必要な分野では果敢かつ断固たる姿勢で介入する“小さいが強い政府”を作っていく」と語った。新政綱には「公正」という表現も11回登場した。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/31/2012013101160.html

しかし、ハンナラ党がそんな風に「国民一番、民族二番」へと振れてしまうと、保守の側から統一を訴えてきた系譜が途切れてしまいかねない。朴世逸さんは、そのへんのことを言っているんでしょう。

ただし、そうした批判は、必ずしも世論が求めるところに沿ったものではありませんから、個人的な信念に忠実であるという意味での高潔さは保てるでしょうが、政治的な影響力を保てるかどうかは怪しいような気がします。

民族統一を何よりも重視する立場からは不本意でしょうが、「何故いま統一なのか」が大真面目に真正面から問われる時代がやってきているのではないかと思います。

記事入力 : 2012/02/01 09:08
朴世逸氏、ハンナラ党新政綱の対北政策を批判

 新党「国民の考え」(仮称)の結成を推進している朴世逸(パク・セイル)韓半島朝鮮半島)先進化財団理事長は先月31日「ハンナラ党の新政綱・政策の対北朝鮮政策には、北朝鮮の体制を変化させる意図も、そうした夢もないように見える。統一政策ならざる分断管理政策に過ぎない」と語った。

 朴理事長は31日、ソウル市内のプレスセンターで行われた韓半島先進化財団主催のセミナー「韓半島の未来と国家戦略」で朝食講演を行い「これは対北朝鮮政策の柔軟化ではなく、無原則に過ぎない」という趣旨の発言を行った。

 また朴理事長は、ハンナラ党が「先進化」にかわる新たなスローガンとして提示した「国民幸福国家」について「先進化には歴史的な使命という意識があるが、国民の幸福はとにかく国民を喜ばせる用語で、方向性がない概念。このようなものが出てくるのは、哲学の貧困、価値の貧困のため」と語った。朴理事長は2004年、当時の朴槿恵(パク・クンヘ)ハンナラ党代表によって比例代表の議員として迎え入れられ、同党が目指す目標として「先進化」という用語を作り出した人物でもある。

 朴理事長は、ハンナラ党で進められている刷新作業について「自ら“保守”の価値を恥じ、進歩のまねをしているが、朴槿恵・非常対策委員長はじめ現在と過去の党指導部が、韓国国民の前で伏して処罰を待つところから始めなければならない」と語った。

 朴理事長は、新党結成の日程について「来月13日に全党大会を開き、中央党を結成する。私たちが保守を分裂させるのではなく、ハンナラ党が保守の価値を破壊している」と語った。

宣政敏(ソン・ジョンミン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/01/2012020100641.html

ハンナラ党はすでに、生き残りを賭けて、韓国歴代政権与党と同様に、現政権との決別のしるしとして綱領や党名の変更に舵を切っているわけです。そうしたリアリズムと上記のような批判とが噛み合うことは、おそらくないでしょうね。「守るべきものがある人とない人との差」というのは、こんなところにも表れているみたいです。

そういう意味では、実際にどんな名前になるかは知りませんが、要するに「国民保守党」になるんでしょうね。「国民」の代わりに「生活」や「政権」を入れればやや生々しく、「進歩」や「先進」を入れればエグみが増します。残念ながら、「国家」や「民族」とは合わないですねえ。

いずれにしても、「哲学や価値の貧困」を言われれば、「まあその通りです」としか言いようがありません。

記事入力 : 2012/01/25 09:09
与党・ハンナラ党、党名変更を検討
党代表と最高委員を廃止へ

 与党ハンナラ党のイ・サンドン非常対策委員は24日「今月26日に行われる非常対策委員会の全体会議で、党の構造再編計画について報告する。基本的な方向は、党代表と最高委員を廃止し、中央党体制から全国委員会体制に移行するというものだ」と語った。

 非常対策委員会傘下の政治刷新分科会の代表を務めるイ委員はこの日「(全国委員会を中心とした政党という意味で)党の中央組織を廃止せず、党員や国民との意思疎通や底辺の拡大、政策開発などの役割を担っている米国の政党を思い浮かべればよい。国会議員は院内代表を中心にまとまり、事務局長など(党の役職)は全国委員会の議長が選ぶことになる」と述べた。米国の政党の全国委員会は、議員に対する統制の権限はほとんどなく、党費を集めることや、各地域の党組織の連携を図るといった限定的な役割を担っている。

 一方、ハンナラ党シンクタンク「汝矣島研究所」が旧正月(旧暦1月1日、今年は1月23日)連休直前に、同党所属の国会議員や、議員以外の党協議会委員長に対し、党名の変更についての賛否を尋ねたところ、賛成意見が多かったことが分かった。同党のある幹部は「(国会議員)総選挙が目前に迫っているため、できるだけ早く決めるべきだ。木曜日(今月26日)の非常対策委員会の会議で、党名変更の有無について合意できれば、直ちに全国委員会を開いて決定することが可能だ」と語った。

金時現(キム・シヒョン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/25/2012012500648.html