「呉善花との戦い」が噛み合うとしたら

…個人的には「田麗玉を置いて他に人はいない」と思うのです。ですがこの女史、ハンナラ党国会議員だったはずが、朴槿恵と袂を分かって「国民の考え(국민생각)」から先の総選挙に出馬し、落選しているんですね。

新・悲しい日本人

新・悲しい日本人

こんな話題が持ち上がっているときに、朴槿恵の周辺に田麗玉がいないとは、それ自体は失敗に終わった朴世逸さんの政治的実験の、思わぬ余波と言えましょう。

記事入力 : 2013/05/21 12:38
【コラム】呉善花教授の場合

 韓国出身の呉善花(オ・ソンファ)拓殖大学教授(57)は、日本社会で影響力を持っている知識人の1人だ。呉教授は先月26日、首相官邸安倍晋三首相と夕食を共にした。大学で教えている教授が、一国の最高の政治指導者と食事を共にし、自分の意見を語る場を得るというのは、なかなか容易なことではない。

 呉教授は1990年に、日本でホステス生活を送る韓国人女性の暮らしを通して韓国文化を批判する著書『スカートの風(チマパラム)』を出版、これがベストセラーになって注目を集めた。その後『韓国併合への道』『「反日韓国」に未来はない』『私は、いかにして「日本信徒」となったか』など、40冊以上の本を出版した。主に韓国を非難し、日本を称賛する内容だ。

 日本メディアのインタビューなどで伝えられるプロフィルによると、呉教授は83年に27歳で日本に渡り、東京外大の北米地域学修士課程を修了。94年(または98年)に日本国籍を取得、2004年に現在の職に就いた。日本に渡る前は、大邱のある専門大学(日本の短期大学に相当)に通い、また女性兵士として4年ほど韓国軍に勤務したという。長期間にわたって外国で孤軍奮闘し、現在の地位を築いた呉教授のストーリーは、立志伝的な成功談と呼べるだろう。

 呉教授が日本国籍を取得したことを非難する理由はない。「グローバル時代」に重要なのは、国籍よりも能力だからだ。韓・日の歴史や文化を専攻したわけでもない呉教授が、関連本を年に2−3冊のペースで出していることについて、一部では、日本の極右勢力が「集団創作」しているとの疑惑を提起している。しかし人というものは、努力によって並々ならぬ業績を挙げられるものであって、呉教授の業績を低く評価する根拠はない。

 呉教授が「新たな祖国」日本を礼賛するのも、問題はない。韓国人はトウガラシを食べるからよく興奮し、日本人はわさびを食べるから冷静だという論理には失笑を禁じ得ないが、それも呉教授の「祖国愛」だと理解できる。

 問題は、日本の過去の植民支配や侵略戦争まで擁護する場合があることだ。日帝が犯した人間性の破壊には目をつむり「総督府の統治は平和的だった」と主張するのは「グローバル市民」の常識に照らして見ると、受け入れ難い。日本の極右勢力は、韓国を非難する際、しばしば呉教授の主張を論拠にする。韓国出身者でさえも韓国を非難するという「客観」の仮面をかぶるためのものだ。呉教授も、名声を得るためこれを利用しているという点で、極右勢力とは「共生関係」にある。

 安倍首相は、植民支配や侵略を謝罪した「村山談話」、慰安婦の強制動員を認めた「河野談話」に代わる「安倍談話」を2015年に出したいと語った。談話に向けた「安倍首相の専門家グループ」に、呉教授が加えられるとの見方も浮上している。呉教授の主張には同意しないが、これまでは一知識人として呉教授の見解を尊重することができた。しかし今、日本の国粋主義政権に参加して日帝の侵略を否定し、韓国人・中国人をはじめとするアジアの被害者たちの傷をえぐるのなら、呉教授は許されざる歴史の罪人になるだろう。呉教授にはまだチャンスが残っている。今からでも「日本信徒」を越えて「グローバル知識人」へと飛躍するという道だ。

李漢洙(イ・ハンス)国際部記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/21/2013052101321.html