日本の科学研究の羨ましがられているところ

うーん。

どう考えても、ここで羨ましがられている部分を、日本は今、どんどん投げ捨てているような気がするんですけど…。私の思い過ごしですかね?

それとは違う道を進んでいるという韓国の後を、何故か日本が追っている、そんな図に見えなくもありません。

だとしたら、「日韓の科学研究は今後、手と手を取ってともに落ち込んでいく」って未来予想図が描けてしまうのですが。このコラム、途中からどっちの国のことを言っているのかわからなくなりましたよ。

【取材日記】ノーベル賞シーズンになると憂鬱なソウル大
2014年10月15日07時49分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

先週、ソウル大の教授の間で最大の話題になったのはノーベル賞だった。教授に会えば、尋ねもしないノーベル賞の話に向かう。教授は専攻分野に関係なく、一方では恥ずかしさを、もう一方では危機意識を感じていた。特に日本科学者3人のノーベル物理学賞受賞に衝撃を受けていた。

「韓国もある程度成長したと思っていた。ところがノーベル物理学賞のニュースに接すると、両国の科学研究レベルに顕著な差があることを改めて実感する」。

工学部のA教授は日本科学者のノーベル賞受賞について、「日本科学のシステムが、教育から研究費支援までどれ一つ欠くことなく充実しているという意味」と解釈した。「ある教授が青色LEDに対する理論を開発した後、その弟子とともに大学で実験に成功し、また、中小企業研究員が商用化に成功した。重要なのは、彼らがノーベル賞を受けた青色LED研究は当時ではあまり知られていない分野だったが、20年間ほど着実に研究できる環境が作られていたということだ」。

B教授は新入生と面談した時のことを語った。幼い頃から科学者を夢見て英才教育の学校を卒業した後、ソウル大に進学した学生だった。この学生は「私は科学に飽きました。科学ではなく他の進路を選びたい」と話したという。B教授は「ノーベル賞は日本のオタクのように研究に没頭する人たちが出てきてこそ可能だ」とし「その学生が科学に対して持つ熱意を、詰め込み式の教育と大学教育が守れないということだ」と述べた。

両教授の言葉には共通点がある。「馴染みがなくとんでもない研究がノーベル賞を作る」「胸中の情熱の火を絶えず守ることができる時、ノーベル賞が出てくる」ということだ。日本のトヨタと中小企業の日亜化学工業が研究を着実に支援しなかったとすれば、2014年ノーベル物理学賞は他の国が受賞していたかもしれない。

しかし韓国の科学政策は違う道を進むようだ。人文学部のC教授は「韓国の政策は、ノーベル賞受賞者を出すといって可能性がある学者に巨額を集める」とし「さらにノーベル賞を受賞できそうな学者を韓国に迎えようという雰囲気もある」と述べた。ノーベル賞という花を咲かせることができる基本の土壌を作るより、苗木を移して植えるということだ。ノーベル賞はその国の科学が世界的なレベルに発展したという証拠にすぎず、目標にはならない。一つの分野に没頭する研究者が増え、その研究者の熱意を後押しするシステムを構築するのがもっと重要だ。「科学に飽きた」という学生の心がまた科学に向かう時、私たちはノーベル賞を話すことができる。

イ・サンファ社会部門記者

http://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=191329

上の話にはたぶん、この記事も関係しますね。そこにあるように、所得格差や下宿・通学費用の問題もありますけど、根本的に「身近に大学がある/大学生がいる」かどうかという点での「環境」問題が、かなり効いているような気もします。

大学進学率の地域差、20年で2倍 大都市集中で二極化
岡雄一郎 2014年10月14日21時51分

 大都市と地方で高校生の大学進学率の差が広がっている。今春の文部科学省の調査から朝日新聞が算出すると、都道府県別で最上位と最下位の差は40ポイント。20年で2倍になった。家計状況と大学の都市集中が主因とみられる。住む場所の違いで高校生の進路が狭まりかねず、経済支援の充実などを求める意見がある。

 文科省の学校基本調査(速報値)から、4年制大学に進んだ高卒生の割合を、高校がある都道府県別に算出した。今春は全国で110万1543人が高校(全日・定時・通信制中等教育学校)を卒業。大学には浪人生を含む59万3596人が入学(帰国子女など除く)。進学率は53・9%だった。

 都道府県別では東京の72・5%が最高で、次いで京都(65・4%)、神奈川(64・3%)、兵庫(61・7%)など。最低は鹿児島の32・1%で、低い順に岩手(38・4%)、青森(38・6%)など。40%未満は5県だった。

 大都市圏では愛知と大阪が58・1%、福岡52・8%などだった。

 進学率は20年前に比べて全都道府県で上昇し、全国平均も32・8%から21・1ポイント伸びた。一方、都道府県別の最大差は広がり、1994年の19・4ポイント(東京=40・8%と沖縄=21・4%)の約2倍になった。

 拡大の一因は大都市圏での進学率の急上昇。大学の集中が進み、20年間で東京は32ポイント、京都は27ポイント、神奈川は25ポイント伸びた。今春は南関東京阪神の全7都府県が上位1〜10位に入り、2大都市圏の高い進学率が目立つ。

 下位地域は伸びが鈍く、20年間で鹿児島8ポイント、岩手16ポイント、青森17ポイントだった。下位には従来、北海道・東北・九州の道県が並ぶ。上下位地域の固定化と差の拡大で、二極化が進んでいる形だ。

 進学率が伸び悩む地域には、県民所得の低い地域も多い。都市部の大学を選ぶ際に、下宿代などがネックとなるケースもある。

 「大学進学の機会」の著書がある小林雅之・東京大教授(教育社会学)は「選択は個人の自由だが、能力や意欲のある若者の進路が居住地の環境で限られるのは社会的損失だ。大学整備は専ら私学に依拠し、大都市集中につながった。その結果、私学の半数近くが定員割れで苦しむ一方、地方では多くの高校生が望んでも進学できないという矛盾も生じている。家計負担軽減には給付型奨学金の充実が急務。地方の短大や専門学校の活用も有効だ」と話す。(岡雄一郎)

http://www.asahi.com/articles/ASGBG5HCKGBGUTIL03K.html

家計に負担、遠い大学 地方の生徒「本当は行きたい…」
岡雄一郎 2014年10月15日05時33分

 地域によって広がる大学進学率の差は、能力があるのに進学できないという状況を生んでいる。大学の少ない地域から、大都市圏の大学をめざす高校生を持つ家庭には下宿代などの経済負担がのしかかる。

 「本当は大学に行きたいんだけど、親から言われたんだよね」。青森県立の高校で進路指導を担当する50代の男性教諭は今春、3年生の女子生徒が冗談めかした言葉に、切なくなった。提出された進路調査の第1志望欄には「公務員」。国立大も狙える学力だが、重い費用負担が理由だ。大学生の兄がおり、「妹の学費まで賄えないのだろう」と推し量った。

 例年、約300人の3年生全員が進学を志望するが、今年は就職希望者が約20人。同僚と「経済的な理由だろう」と話した。かつて成績上位の生徒に東北大(仙台市)を勧めたら、生徒の親から「金がかかる。余計なこと言わないで」と怒られたこともあった。

 隣の秋田県。小中学生の全国学力調査で上位の常連だが、高校生の大学進学率は42%で全国平均(54%)を下回る。「経済状況もあり、単純に『学力調査=進学率』とはいかない」と県教育委員会の担当者は言う。

 「進学の機運を高めて、頑張る高校生を応援しよう」と県教委は2010年、東大など難関大学の現役合格者数を数値目標に掲げた県高校総合整備計画を策定。希望する高校生向けに予備校講師による「ハイレベル講座」を開くなどの支援に取り組んでいる。

 「大学進学の機会」の著書がある小林雅之・東京大教授(教育社会学)は「地域別の進学率は、家計の経済力や地元の大学数に影響されやすい」と指摘する。

 高校生の大学進学率の下位10道県の1人あたりの県民所得(11年度)は、30〜40位台だった。全国大学生協連合会の昨秋の調査では、下宿生の生活費(1カ月)は約12万円。自宅通学より平均約6万円多い。家賃が高い大都市での下宿はさらに経済負担が大きい。

 自宅から通おうにも地方は大学が少ない。文科省の調査結果によると、大学進学率の下位10道県では今春、地元大学に入学した総数は、各道県の高校卒業生数の10〜30%台。高校生に対して、大学の数が少ないことが浮き彫りになった。青森県立高校の男性教諭は「優秀な学生が多い大学に進めば人生がどう広がるか、と夢を描く子が少ない。それは社会的に損失でしょう」と話す。

■大都市に集中する大学、国が影響

 大都市圏では大学の集中が進む。文科省の調査から朝日新聞が算出すると、今春、東京都内の大学に入学した学生は、都内の高校を卒業した生徒数の1・4倍。数字上は地元の高校生が全員進学できる状態だ。京都府も同様。南関東の4都県や大阪と兵庫を含めた3府県に広げても、高校卒業生数に対する地元の大学入学者数の割合は、20年前より大幅に伸びていた。

 大学が集中する背景には、大都市圏での大学増設を制限してきた国の方針転換がある。人口集中防止が目的だった「工場等制限法」が02年、規制緩和の一環で撤廃された。大都市圏では国公私立を問わず、高校側の進学熱も高い。

 「少子化が進む中、若年人口が多い都市部に大学が集まるのは当然。学生は語学学習や資格取得など将来に備えた学外活動をしやすい都市の大学に目が行く。一方、競争の激化で特色の無い大学の多くが定員割れという事態も生まれている」。駿台予備学校の石原賢一・進学情報センター長はそう話す。

 こうした状況の中、政府の教育再生実行会議は7月、職業教育を充実させるために新たな高等教育機関の制度化を提言した。文科省内では、教育内容の高い一部の専門学校を「大学化」し、公費助成の対象とする案も検討されている。文科省幹部は「教育機会の地域均等が望ましく、大学が少ない地域では新増設も選択肢。だが、財政難と少子化の現状で増やすのは簡単ではなく、専門学校の活用も有力な方法だ」と話す。(岡雄一郎)

http://digital.asahi.com/articles/ASGBG5KG3GBGUTIL03T.html

大学進学の機会―均等化政策の検証

大学進学の機会―均等化政策の検証

私からはとりあえず、東京一極集中の象徴たる「箱根駅伝体制」の解体・解放と、「東京六大学の東北地方移転」を提言させていただきます。前者は説明するまでもありませんが、後者はほら、ちょうど一県一大学ですし。どの県に移転するかは、次のリーグの順位通りに選択権を与えるとか何とか、当事者の皆さまにお任せします。